『[実践]小説教室』と『ゴロウ・デラックス』
外山:吾郎さん。
吾郎:何?
外山:最近、ブログとかTwitterやられてるじゃないですか。
吾郎:まあ、やってますよ。
外山:文章書くの楽しいですか?
吾郎:楽しいですよ。
外山:でも私、ブログとかで文章読むと思うことがあるんですけど、言っていいですか?
吾郎:はい。
外山:小説家デビュー狙ってません?
(吾郎さん、固まる……そしてオープニングへw)
そんな小芝居から始まった2018年5月10日放送の『ゴロウ・デラックス』第296回目のゲストは、先日、第158回芥川賞受賞して出演された石井遊佳さん、若竹千佐子さんが受講していた小説教室の講師・根本昌夫さん(65歳)
元は文芸誌「海燕」や「野性時代」の編集長として吉本ばななさん、島田雅彦さん、小川洋子さん、角田光代さん、瀬名秀明さんなど錚々たる作家のデビューを指南。そして現在は小説講座の講師を務めており、先日の芥川賞では教え子のお二人が受賞するという快挙を達成。
根本さんの小説講座の受講者が殺到しているというまさに今、大注目の方なのです。というわけで今夜の課題図書は、
教え子が芥川賞W受賞
石井さんと若竹さんが受賞するなと思っていたのかを外山さんに尋ねられると「思っていた」と答える根本さん。若竹さんに関しては100%獲れるなと思っており、石井さんとのW受賞も20~30%の確率であるだろうと思っていたそうで、教室では若竹さんは必ず獲ると語っていたので受賞にホッとしたそうです。ただし、編集長として文芸誌に携わっていた時代は担当者としては10連敗と落ちていたとのこと。
若竹さんへの指導
若竹さんに対しては、最後お孫さんが訪ねてくるところは本来なかったと。そして冒頭が桃子さんとおばあさんのお話から入っているので、最後は繋がる形でお孫さんか、娘さんを出したほうがいいと指導されたそうです。
根本さんの小説講座とは?
根本さんは現在、朝日カルチャーセンターで6種、早稲田大学で2種、明治学院大学で2種、法政大学で1種、そして小説の実践サロンと計12講座を持つ売れっ子。今回はその中でも作家デビューを目指す人が集まるもっともハイレベルな授業をお訪ねしました。そこにいる生徒さんの中には15年通い続けている方やはるばる大阪から通っている人、すでに作家デビューしている人など、30代から60代が11名。そしてその授業方法としては、生徒は自由に小説を書き、それを事前に読み、批評しあう"合評"と呼ばれるスタイルで、お互いがお互いに激しく批判する。
小説とは読者の数だけ読み取り方が異なり、様々な読み方に幅広く耐えられるものが良い小説
そのため、根本さんの小説講座では生徒は自由に批評をぶつけ合い、作者はその中から修正すべき点を見つけていく。そして合評と直しを数回から数十回と繰り返し、生徒たちは小説を完成させ、文学賞へと応募するのだ。ちなみに1回の授業は2時間、全生徒の合評を行い、お値段は4,000円。
そしてここからは小説を書くためのテクニックについて、執筆する上で一番大切なことについて書かれた部分を吾郎さんが朗読。
それだけに作家たちは、おそらく相当考えて書き出しの一文を書いていると思います。
ぱっと思いつくこともあるかもしれませんが、多くの場合、最初の一文が決まるまで何度も何度も書き直しているのではないでしょうか。
"初めの一文が出てこないと続きが書けない"とは、多くの作家が語っていることです」
『[実践]小説教室』より一部抜粋
小説で一番大事な「書き出し」
島田雅彦氏の書き出し
デビュー作品:「優しいサヨクのための嬉遊曲」より
「待ち伏せは四日目に入った。オーケストラ団員である彼女はもうすぐ、この場所に現れるはずだった。練習を終えた彼女はまっすぐ家に帰るため五時にここを通る計算になる」
冒頭の一文からはミステリーっぽさを感じさせ、なおかつその前の3日間は何をしていたのか期待を抱かせる良い書き出し。
これこそがこの小説のテーマであり、引き込まれる書き出しだと。
と書き出しがいかに大事かを知った中、今回は吾郎さんと外山さんのお二人に、収録の1週間前に根本先生より小説のプロットを考えてくるようにと宿題が。その考えてきたプロットに添って、それぞれオリジナル小説の書き出しに挑戦してもらうことに。ちなみにテーマは「ラブストーリー」と「ミステリー」の二つ。
根本先生による小説講座
外山「肉じゃがのじゃがいもは、固いほうが好き? それとも崩れてるくらいドロドロに煮込んだ方が好き?」
と彼女が聞いた。
⇒センスあり、直しなし。
吾郎「美しいダイヤモンドだって気付かぬうちに汚れてしまってるものなんだよ」
私の体温によって微かな熱を帯び、日々の生活のなかで少しずつ油膜が付着してしまったネックレス。を、彼はそっと私の首に手を回し後髪に隠れたその留め具を探りあて、自分のものと一緒に洗剤をいれたコップへ一気に沈めてみせた。
二つの輪っかがガラスの底に到着したことを知らせる小さな振動(揺らぎ)を確認すると(感じて)、私は呟いた。
「それってなんだか恥ずかしいよ…」
ガラスの向こう、青く滲む水の中で漂う二人のネックレス。
書き出しを超えてしまったものの、そのほうが根本先生が講評しやすいと思ってと吾郎さん。男女のこれからの展開が見えてとても良き書き出しながら、細かい部分での直しが入り、その説明を面白いと聞く吾郎さん。
外山:冬に露天風呂に入ると、家に帰りたくなる。
だから、来たくなかった。
⇒センスあり、直しなし。タイトルも「女子アナ温泉殺人事件」と決まり、ベストセラー間違いなしだそうです。
吾郎:なだらかな曲線を描く額の麓にある漆黒の瞳は、先端までメリハリ(起伏)のある横顔の印象の中に静かに存在している。
彼女の美しい横顔に見惚れている時間が僕は好きだ。
しかし、そんな物静かな彼女からは想像も付かぬ過激な一言に僕は一瞬で凍りついた(く)。
「あなたは美しき世界からやってきたクソ野郎ね」
クソ野郎を入れる吾郎さんw 書き手は伝わるかが不安でつい説明過多になりがちですが、それが逆に伝わりにくさに繋がってしまうのだそうです。吾郎さんも丁寧に書こう、伝えたいという気持ちが過剰な情景を入れてしまう要因になってしまったのかな。コツさえわかれば吾郎さんらしさを出しつつも端的に表現できると思うので、ぜひ小説にチャレンジしていただければと思います。
山田くんの消しゴムハンコ
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昨夜の「 #ゴロウ・デラックス 」は、教え子二人が芥川賞同時受賞で話題・『[実践]小説教室』を刊行されたばかりの根本昌夫さんがご出演でした。
— 河出書房新社 (@Kawade_shobo) 2018年5月11日
吾郎さん、の気合の入り方に驚きました。耽美な世界観が素敵。こちらの本で吾郎さんが受けたのと同じ指導を追体験できます。https://t.co/wH9LhqvC8G
(´-`).。oO(吾郎さんの小説、根本先生、とても楽しみにしておいででしたよ!)
— 河出書房新社 (@Kawade_shobo) 2018年5月11日
(´-`).。oO(河出も!)#ゴロデラ #ゴロウデラックスhttps://t.co/wH9LhqvC8G
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