【考える葦】

某男性アイドルグループ全活動期メンバーで、左利きな彼(稲垣吾郎)を愛でる会

『おちゃめに100歳! 寂聴さん』と『ゴロウ・デラックス』

2017年12月21日今年最後の『ゴロウ・デラックス』放送第279回目のゲストは、4年ぶりの登場となる瀬戸内寂聴さん(95歳)。95歳となった今でも多くの人を導く尼僧であり、現役のベストセラー作家。しかし今夜のメインゲストは、寂聴さんの秘書を務める瀬尾なまほさん(29歳)。25歳で秘書になってからおよそ4年、仕事面はもちろん、身の回りのサポートまでこなすまなほさんは、寂聴さんから絶大な信頼を寄せられている。普段、滅多なことではTV出演をされない寂聴さんも、まなほさんのためと出演。

ということで今夜の課題図書は、

 

おちゃめに100歳!  寂聴さん

おちゃめに100歳! 寂聴さん

 

 

秘書として一番近くで見てきた寂聴さんの知られざる素顔や、お二人の絆の深さが書かれた一冊。読んだ外山さん曰く、"寂聴さんがこんなにお茶目な方だとは思わなかった。寂聴さんがすごく元気になられた気がする"と語れば、寂聴さんも"この人(まなほさん)が来てからそうなりました"と。

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 毎日笑う!元気の源は秘書。

朝来てすぐに「おはよう」と言ったらおかしなことを言ったり、したりするまなほさん。だから笑うので、それが元気になった要因だと寂聴さん。

例えばまなほさんはとても器用で寂聴さんをマッサージしてくれるそうなのですが、そのマッサージをしながら"どうしてあなたはこんなに鼻筋がないんでしょう"と言われてしまうと。実際、そのとおりなので寂聴さんも言い返せないのですw

そんなまなほさんの秘書としてのお仕事といえば、

 

【秘書としての仕事】
作家としての執筆活動のスケジュール組んで、締め切りの催促をしたり、出版社とのやり取りを行う。また出張がある場合にはそのスケジュールを組み、交通手段の確保もしたりする。

 

とやることは多いのですが、後やることの一つに出版社に謝らなければいけないことも。実は締め切りを守らない寂聴さん。"すみません、すみません"と電話で謝罪をするまなほさんの隣で笑っている寂聴さん。そんな締め切り間際の2人のバトルの様子を吾郎さんが朗読。

 

吾郎「文芸誌『群像』に「いのち」の連載をしていた頃は、わたしは毎月、胃が縮こまるような思いをしていた。
執筆時間として締め切り前の10日間は、何も入れないようにスケジュールを組んでいるのに、先生はいつも違うことを始め、関係のない本ばかり読んでいるからだ。
締め切りがいよいよ近くなると、
「先生、もうやばいですよ、『群像』やばいですって!」
と私が叫ぶのが決まりだ。
「え、そう?」
いつかの朝の会話が、ここで繰り返される。
ハァ……。
「書くことは、頭の中で決まってるから大丈夫よ」
と先生は言い、
「そんなことできりきりしてたら、命がもたないよ」
と唇をとがらす。
「わたし、もう既に寿命縮んでるんですけど、先生のせいで」
と泣き声を出すと、
「ははは。あなたが寿命縮んで、私が延びる~」
と呑気な答え。
でもやっぱりこうじゃなきゃ作家として生きてこられませんよね、納得。
机に向かっている先生の背中。
後ろからそっと広げた原稿用紙をのぞくと、
瀬戸内寂聴
しか書いていない……。
そんなときは白目になって、卒倒しそうになる。
「先生。これならわたしでも書けます」
と怒っても、
「執筆のために世の中のことを知っておかないと」
と週刊誌から目を離そうとしない。
締め切りが迫っている時は、心を鬼にして
「後にしましょうね」
と取り上げる。
「全部必要なのよ」
と惜しそうに言うけれど、占いのページも必要なの!?(笑)
わたしは一体誰を相手にしているんだろう?
子どもじゃなくて、95歳の大作家だよね……? 確か。

おちゃめに100歳! 寂聴さん』より一部抜粋

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 寂聴さんの秘書の仕事

なまほさんが電話の前でお辞儀をしながら「すみません、すみません」と出版社に謝る姿を見ては"ざまぁみろ"と思っている寂聴さんw よくまなほさんが意地悪されていたり、嫌なことをされているのを喜んでいるそうです(吾郎:友達ですよね)

実はなまほさん、寂聴さんが行っていた祇園お茶屋さんのおかみさんに「若い子がほしいんだけど」という寂聴さんの言葉で紹介され、働くことになったのです。面接は寂聴さんご自身が行いましたが、なまほさんに決めた理由が、

文学少女ではない……文学少女掃除は下手だし、片付けは下手だし、料理は下手だし、全然ダメだと。瀬戸内という名字はどこかで聞いた覚えはあるものの、寂聴は知らなず、本も1冊も読んでいないまなほさんに決まったそうです。

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 2人の日常に密着

www.jakuan.jp

実際にまなほさんのお仕事ぶりを拝見すべく、京都にある寂庵へ。まなほさんは寂庵内にある事務所で作業を。朝は9時から出社して、台所を掃除したり、タオルを替えたり、花瓶の花を替えたりしてから事務所に来て、メールとFAXのチェック。寂聴さんのスケジュールを調整したり、

 

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寂聴さんが出版者と打ち合わせ中にはお茶出しをしたりと立派に秘書を熟しているのですが、寂聴さん曰く、"普段、こんなお茶出したりしない"→まなほさん"するじゃないですかあ!"と普段からこんな様子w

この日、寂聴さんは特別法話を開催。その間、まなほさんはおやつの準備をして、法話の後におやつタイムでしばし休息を。そこでもやはりこんな会話が。"先生、お菓子好きですもんね""「食べたい!」とは思わな。あなた達みたいに""それやったら無理して食べんでもいいのに""無理して食べてるんじゃないけど、さほど美味しくもない""こんだけ食べといてよう言うわ"ととにかく仲良し。そんなお二人の密着を続けていると、以前『ゴロウ・デラックス』にも出演くださった佐藤愛子先生との対談という貴重なシーンにも遭遇。

 

寂聴「人をいじめたり、嘘ついたり、悪口言ったり、それを書くのは作家として何もマイナスじゃないのよ。書けばいい、いい小説を書けたばいい」
佐藤「私は男の運を悪くする女でよかった。そうでないと作家になれてない」
2017年12月21日放送『ゴロウ・デラックス』より
 ※この対談は『群像 2018年1号』にて掲載中。

 

しかし、そんな大御所な寂聴さんでもまなほさんのダメ出しは止まらず、そんなお二人の関係を周囲はどう見ているのか。当初ははっきりダメ出しをするまなほさんに、"けしからんな"とは思ってはいたものの、まなほさんも素直だし、言い返す寂聴さんにそれが若さの秘訣、元気の素でとても良い関係だと受け入れているそうです。

4年という年月をかけて築き上げてきた寂聴さんとまなほさんの関係ですが、2人の関係がより深まったのは、まなほさんが寂庵に就職してから3年目の2013年。それまで共に働いていたスタッフが、まなほさんを除き全員辞めてしまうという事態が発生します。

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 緊急事態!スタッフ全員が退職

それまでスタッフが5~6人いた寂庵。ある日、一番古参のスタッフが話があると聞いてみれば、最近の先生はやはり年をとったと感じる。けれど、昔と同じように仕事をしているのは「働くのは従業員を養わないといけないからお金がいる。これ以上、先生を働かせるのも辛いので、先生を働かせないためにも私たちが辞めます」と涙を流しながら言われたそうです。そのおかげもあり、寂聴さんは今、これまでとはまったく違う生活を送れているそうです。そんな91歳の寂聴さんを25歳のまなほさんが支える当時の葛藤を外山さんが朗読します。

 

外山「一人でできる?」
先生に聞かれたときは、だんだん心細くなってお風呂場で泣いた。
でも、
「できると言わないと何も進まない」
と腹をくくり、二人三脚で歩むことを決めた。
食事、洗濯、掃除などの身の回りの世話と、仕事の管理。
4月からは先生と二人きりで、全てをこなさなくてはいけない。
傍にいた2年間、身にしみてわかった、先生のすごさ。
そんな人を背負っていくことができるだろうか。
心配で仕方なかった。
「25歳の女の子が秘書です」
なんて言ったら、相手にふざけてると思われないだろうか。
なめられたくないし、ミスをしても若いから仕方ないと先生の評判を落としたくない。
先生は、
「分からないことは何でも聞きなさい」
と言ってくれた。
「91歳のおばあさま」
とふざけて呼んだこともある。
気を遣わずに、何でも言いやすいのか、二人になってからの先生は、よく笑うし、怒ることも少なくなった。
先生とわたしは一心同体。
歩くときは、わたしの右手に先生に左手がかかる。
握られた力強さ、先生の体温・重さを体で感じると、頼ってくれている。
守らなくてはと背筋がピンとなる。
最初がぎこちない歩き方だったけれど、いつからか同じ歩幅になった。

おちゃめに100歳! 寂聴さん』より一部抜粋

 

とにかく先生の名前に傷をつけたくなかたまなほさん。「あそこの秘書は若いからダメなんだよね。寂聴さんのところダメだよねえ」と評判を落とすのがすごい不安だった。

寂聴さん自身はまなほさんに「出来る?」とは聞いたものの、彼女なら「出来る」と思っていたそうです。やはり90歳まで過ぎて生きていたら人を見たらわかると。

 

いのち

いのち

 

 

先日、瀬戸内寂聴さんが発表されたこちらの最後の長編小説。2014年には圧迫骨折・胆のうがんの手術。そして2017年には心臓・足のカテーテル手術などの壮絶な闘病生活を乗り越える日々でしたが、そこにもまなほさんの支えが。

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 生涯作家の影には……

やはり療養中は"ペンを持つ気にはなれない"と憔悴されることもあったのか尋ねる吾郎さんに頷く寂聴さん。もう"おしまいだ"と思っていた寂聴さんですが、まなほさん自身も初の介護。とにかく優しかったまなほさんに、まだまだ書けると意欲も。ただ、年齢的にはやはり死ぬことも考えてしまうそうです。

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 理想の死に方

寂聴さんの理想としてはペンを手にし、原稿を書きながら亡くなること。机にうつ伏せする寂聴さんを朝、まなほさんたちが来て寝ていると思って起こそうとしたら亡くなっていたのが理想。それを聞いたまなほさんは、とりあえず寂聴さんが理想とする死に方が出来たのだと証拠の写真を撮ると。

⇒お互いが友達のような関係でありながら、壮絶な覚悟も心に決めているまなほさんは、きっと闘病生活の中で寂聴さんを看取るという意味を心から理解したのかもしれません。そう思うと、今、二人が笑顔で過ごす凄さを感じずにはいられません。

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 「結婚式に出てほしい」

おちゃめに100歳! 寂聴さん』の中では寂聴さんに結婚式には参列してほしいという願いを持つまなほさん。しかし、その願いに対して寂聴さんは"無理よね"と。なかなか結婚しないまなほさんに『おちゃめに100歳! 寂聴さん』が出版されたお祝いをするので、それを結婚式と代えようと思っているそうです。

そこで"ゴロウさんとか素敵じゃないですか"と促せば、"え? 独り? 独り?"と今日一番すごいリアクションをして驚く寂聴さん。一人なんですよ、どうしましょうと聞く吾郎さんに、"女たらしだから独りなの?"と。今は落ち着きましたが、かつてそういう時期があったかもしれませんw

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain かけがいのないあなたへ

番組では最後にまなほさんにとって寂聴さんはどんな存在なのかと質問をすると、

 

まなほ「そうですね、一言では言い表せられないんですけど、やっぱり私の最強の味方かなと思います。この世で本当に瀬戸内がいるだけで不安もかき消されていくし、悩みも解決できるし、前を向いていける。本当に私の最強の味方だなと思います」
2017年12月21日放送『ゴロウ・デラックス』より

 

寂聴さんにとってのまなほさんという存在については、

 

寂聴「死ぬ時に、どこか遠くにお嫁に行っていたら会えないのかなと思って。できたら死に目にそばにいてもらいたいと思います」
2017年12月21日放送『ゴロウ・デラックス』より

 

⇒本当に素敵な関係で、年齢を超えてお互いを尊敬できる。同性・異性関係なく死に目にそばにいてもらいたいと思えるほどの相手と出会えることの幸せを思います。出来るのなら、このお二人の関係がいつまでも続くことを願わずにはいられません。

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 山田くんの消しゴムハンコ 

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