『編集長 稲垣吾郎 #23』(2017.06.07放送分)
6月7日(水)に放送された『編集長 稲垣吾郎』の第23弾。
■「GORO's Column」……編集長、こんばんは。マレーシアのクアラルンプールでゴルフをしてきました。自然豊かで巨大な石がシンボルになっているゴルフ場。コースではおさるさんもたくさん見かけて可愛らしかったのですが、キャディさん曰く「いろいろ取られるので気をつけてね」と言われビックリ。途中ではオオトカゲもいて怖かったです。ほぼ初心者の私は進歩なく、暑さにバテましたが南国らしい鮮やかな花に癒されました。18ホール後には突然のスコールで雷がゴロゴロ、熱帯雨林らしいレアな体験もでき面白かったです。
いいですね、マレーシアでゴルフですか。クアラルンプール、マレーシア……行ったことないですね。どんな感じなんでしょうねえ。熱い南国で、じめじめしたところだと結構大変だったんじゃないかなと思うんですけれども。
でも、ちょっとでもゴルフ楽しいなと思っていただけたらすごい嬉しいなと思いますけれどもね。一ゴルフファンとしても、ゴルフをススメている僕としても。
マレーシアはないですけど、僕はタイとかはありますね。チェンマイのほうは結構ゴルフ場有名で、気候も比較的涼しかったりもしますし良いですね。後、ビンタン島ってどこだ? シンガポールかなあ。高速船で1時間ぐらいのところにあるビンタン島に行ったときゴルフ行きましたけどね。そこは熱帯雨林気候で確かにトカゲがいたりそういう雰囲気だったんですけどね。東南アジア結構好きなんです。昔、タイに行ったり、ベトナムに行ったり、仕事でシンガポールに行った思い出もありますしね、結構好きなんですけどね。最近はちょっと東南アジア行ってないですけど、何かいいですよね。すごくアジア熱というか、混沌としていて町中も楽しいですし、ご飯も美味しいですし、いいかもしれない。
■「GORO's Search」……編集長は「ヘアドネーション」を知っていますか? 病気などでウィッグが必要な人達のために30cmほどの長さの髮を寄付受付している団体があります。提供する美容院も増えているようですが、まだあまり認知されていないと思うので、ぜひ「ヘアドネーション」について取り上げて欲しいと思います。
僕も知らなかったですし、非常に興味深いので、今日は「NPO法人 Japan Hair Donation & Charity」代表理事・渡辺貴一さんにお話を伺います。
「ヘアドネーション」とは
従来、美容院で切ると基本的に産業廃棄物というゴミとして処分されてしまう髪の毛。そのまま捨ててしまうのはもったいないので、そのゴミとして処分されてしまう髪の毛を使ってウィッグを作り、18歳以下の病気やケガなどで髪の毛に困っているお子さんに無償で提供しようという活動をいいます。
世間ではウィッグは出回ってはいますが、大人用にS、M、Lといった規格品では子供向けは作れないのです。そのため、必要とされる人が作ろうとすればかなり高額になってしまうのだとか。「NPO法人 Japan Hair Donation & Charity」では長い髪の毛を切られるのであれば皆様から寄付をしていただきたいと広く募集しています。
髪の毛の寄付方法
①協力美容室
「ヘアドネーション」に対する協力美容室は広がりを見せ、全国でも2000店舗と増えています。まずは「NPO法人 Japan Hair Donation & Charity」で協力店舗の検索ができますので、行きつけの美容室がない方はお近くの協力美容室で髪を切ってもらい、そこから郵送する方法があります。⇒ドネーションサロン検索システム|Japan Hair Donation & Charity(ジャーダック)
②行きつけの美容室、自宅でカットする
協力美容室以外の行きつけの美容室でカットしてもらう、自宅でカットする場合は「ヘアドネーション」の流れと方法が下記HPにありますので、こちらを参照ください。⇒髪の毛を寄付する|Japan Hair Donation & Charity(ジャーダック)
ちなみにウィッグにできる髪の毛の条件としては"31cn以上の長さがある"これだけです。よほどのダメージがなければくせ毛であろうと、パーマ、カラー、ブリーチをしていても構いません。年齢も国籍も問いません。技術は進歩しても人毛と人工的に作られたウィッグというのは大きな違いがあり、艶とかが不自然なほど人工的な光方をしてしまうそうです。その点、人毛は1本、1本の髪質や毛の太さにも違いがあるため、艶が自然になるのです。
今のところ「ヘアドネーション」の提供としては9割が女の子、1割が男の子という実績が。男の子の割合が少ないのは、やはり保護者も女の子と比べるとそこまで気にしないだろうという思いがあって、申込自体されないことが多いと。でも、実際には我慢して気にならないフリをしている子もいると思うので、これからは男の子もどんどん来ていただきたいなと渡辺さんは思っているそうですし、そのためにもこの活動がもっと認知され、「ヘアドネーション」に提供してくださる人が増えることを期待しています。
なお、「NPO法人 Japan Hair Donation & Charity」が運営を続けていくためには、ウィッグに必要な髪の毛の寄付はもちろん、活動を支えるための資金も必要としています。何か活動のお手伝いをしたい、でも髪の毛は短いし……とお思いの方は、寄付金で活動を支援するという方法もありますので、もしよろしければ下記をご覧ください。
⇒『編集長 稲垣吾郎』の「GORO's Search」という素晴らしいコーナーが持てたこと、本当に文化放送さんには感謝です。吾郎さん自身が知らなかったことを知る。それだけでなく、稲垣吾郎という知名度を活かし、それを少しでも周知して、広げていく。吾郎さんの年齢に合わせ、彼の社会貢献の場を提供していただけることのありがたさ。この小さなコーナーが少しでも広がりを見せ、社会へと循環していくことを期待したいですし、そのために自分に出来ることも模索していきたいと思います。
■「GORO's Break Time」……吾郎さん、こんにちは。リクエストはOwl City featuring SEKAI NO OWARI で「Tokyo」をお願いします。大学進学を機に18歳から数年前まで東京在住でしたが、今は仕事で年に何回か訪れるのみに。先日の羽田空港特集楽しかったです。先日、出張で東京に来ました。羽田から都心に向かうたびに帰ってきたような不思議な懐かしさを感じます。東京はいつまでも温かくてキラキラ、ワクワクする都市であってほしいです。帰りの便は少し余裕を持って吾郎さん絶賛の羽田空港スイーツをお土産に買って帰りました。
僕、まだ羽田行ってないです。あんな行くとか調子のいいこと言っておいて。絶対行きますね!なんて言ってたけどまだ行けてないですw 行きたいんですけどねえ、夜景を観に。まあ、ずっと東京にいると東京を少し嫌いになったりするときもありますし、たまに来るとワクワクしたりとか。僕はずっと東京生まれ、東京育ちなんでね、ありがたさなんかも分かんなくなってきてるかもしれないですけれども。まあ、僕も東京は好きですね。実際に東京以外に住むかって言われちゃうと、う~ん、憧れはありますけどね。海外に住むとか違う都市に住むとか、でもやっぱり僕も東京が好きなのかな。
Owl City - Tokyo (Official Visualizer) ft. SEKAI NO OWARI
■「GORO's Essay」……G.Wに神保町シアターにてSMAPの映画「シュート!」が上映され見に行きました。懐かしく、メンバーの若さも可愛く、時折、館内で笑いも起こっていました。またロビーではシュートのポスターなども展示されていたり、メンバー色6色で繋げたクリップのゲートがありました。吾郎編集長の「シュート!」の思い出を教えてください。
へえ、何でこれまた映画館でやってるんでしょう。何でって言っちゃいけないけど。これねえ、僕ほとんど撮影してないんですよ。3、4日ぐらいしか撮影してない。だってさ、ブラジル帰りの天才ストライカーですよ。おかしいでしょ、サッカーやったこともないのに。もうね、思い出したくもないですよ、別にw 本当にw
僕サッカー蹴ってね、ゴールする撮影のシーンで、蹴れないですから、稲垣吾郎サッカーボールなんてまともに。僕、足でボール蹴るフリして、横に機械置いて、その機械からボールが発進してましたね。あのバッティングセンターにあるピッチングマシーンみたいなやつ、あれのサッカーバージョン。足のすぐ横に置いて、酷いですよね。何でこれあんまり出演、3日間くらいなんですね。これね、要するに僕、ドラマやってたんですね。「嘘でもいいから」って。で、ちょっとスケジュールが上手くこう出来なくて、そうなんですよ。だからあまり参加出来なかったんですよね、これ。
懐かしいなあ。劇場内で時折笑いが起きてたって、辱めですよね、どちらかって言うと。うん、まあ、いいんじゃないでしょうか。はい、ふふふw
■「GORO's Music Library」……リクエストは伊勢正三さんの「NEVER」。20年以上前に吾郎さんが出演されていたドラマ「嘘でもいいから」の主題歌です。若かりしころの吾郎さんが体当たり演技で挑んだこのドラマを今でも見返してます。樋口可南子さんとのそれはそれは切ないラブストーリー。年齢差やさまざまな障害を乗り越えようとする二人の姿に毎回ドキドキしつつ、涙しています。
ありがとうございます。先ほど悲しんでいた「嘘でもいいから」ですね。昔のことを僕に思い出させて何か楽しいですか? 皆さん。そんなこと言っちゃいけないですけどw
もう20年以上も前ですからねえ。今でも時々見返してくれているんですね。これ、VHSでしょ。当時、だってDVD化してないですから。VHSで録ったものをDVDとかに落とす。PCとかに入れてるってことなんですかね。「嘘でもいいから」見たいわ、だってDVDないし。そういうこと言うと、昔のドラマで見たいなあと思っても、僕持ってないの多いんですよね。もちろん、初めて月9出させていただいた、いわゆる「二十歳の約束」とか、「東京大学物語」とか、「嘘でもいいから」このくらいの世代のドラマって僕、持ってないんですよ。CDとかっていうのは持ってるじゃないですか。出演したドラマってもうないんで。DVD化されてないんでね。多分、僕がね、20代のころの作品はDVD化されてないんですよ、ドラマ。豊川悦司さん、藤原紀香さんとやった「危険な関係」とかね、フジテレビで。あれも見たいんですよね。30過ぎぐらいはDVD化されてるんですよね。VHSで持ってたりもするんですけど、再生できないじゃないですか。今、もう持ってないんで、ちょっと見たいなあ。何か、こういう話を聞くたびに久々に観てみたいなあという思いはあったりするんで。
伊勢正三「NEVER」
懐かしいですね。「嘘でもいいから」これ、僕、すごい好きなドラマでしたね。本当に切ない、切ないラブストーリーで、確かに。これは映画「僕の美しい人だから」をオマージュに作られた作品でね。当時、話題だったハリウッド映画だったんですけども。
いやあ、キレイでしたね、樋口可南子さんね。でも、当時の樋口可南子さんすごく当時僕まだ20歳くらいだったので、すごく年上な大人の女性で大女優って感じがして憧れていたんですけれども。う~ん、樋口可南子さん。それからお芝居で共演させていただいたことは。一度でもね、「SoftBank」のコマーシャルでちょっとお会いしたんですよね。樋口さん、今でもやられてるじゃないですか。そうなんですよね、お芝居でまた共演させていただきたいですね。
まあ、旦那様の糸井重里さんとよくお二人でコンサートにも来てくださったりとかもねしてて。またお芝居でね、樋口さんといつか共演させていただきたいなあとずっと思ってるんですけどね。
メールのアドレスは“goro@joqr.net”、葉書きの方は郵便番号105-8002 文化放送「編集長 稲垣吾郎」まで。お相手は吾郎編集長こと、稲垣吾郎でした。それではまた来週、バイバ~イ♪」
シネマナビと『20センチュリー・ウーマン』
6月7日(水)発売【anan No.2056】の稲垣吾郎シネマナビ!では『20センチュリー・ウーマン』(2017年6月3日(土)全国公開)を紹介。
《あらすじ》
1979年のサンタバーバラを舞台に、15歳の少年ジェイミーとシングルマザーのドロシア、そして彼らを取り巻く人々の特別な夏を描いた。思春期の息子ジェイミーの教育に悩むシングルマザーのドロシアは、ルームシェアで暮らす写真家アビーと、近所に暮らすジェイミーの幼なじみのジュリーに、ジェイミーを助けてやってほしいと頼む。(映画.COMより抜粋)
出演者:アネット・ベニング/エル・ファニング/グレタ・ガーウィグ/ルーカス・ジェイド・ズマン/ビリー・クラダップ/他
配給:ロングライド
制作国:アメリカ(2016年)
上映時間:119分
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『漱石を電子辞書で読む』と『ゴロウ・デラックス』
2017年6月1日放送の『ゴロウ・デラックス』第251回目のゲストは、日本の教育学者であり、明治大学文学部教授の齋藤 孝さん(56歳)
2001年に出版した『声に出して読みたい日本語』は260万部を超える大ヒット。
吾郎さん自身も読んだこの本。日本語ブームの火付け役にもなり、それ以降も日本語にまつわる本を数多く出版。さらにはニュースやバラエティ番組でも活躍する、元祖・先生タレントなのです。
吾郎さんは初対面ですが、外山さんとは一度ラジオでお会いしたことがある齋藤先生。実は上にある『声に出して読みたい日本語』は素晴らしいと永六輔さんがご自身のラジオ番組にゲストで呼ばれたことがあるのです。だから、日本語のプロである齋藤先生を相手に今日は言葉を緊張しちゃいますねと語る吾郎さんに、実は先生は言葉を間違えたことに対しては"面白い発想ですね"とポジティブに受け止められる方で、困ったときには"ファンタスティック"と言ってしまうお茶目な方だと伝えてくれる外山さん。そんな先生をお迎えして今夜の課題図書はといえば、
何気に知っているつもりで見過ごしてしまう単語を電子辞書で調べることで語彙力が上げられるという、新しい齋藤メゾットが書かれた1冊。
実は6冊以上も漱石にかかわる本を出版するほど漱石ファンな齋藤先生。今夜は夏目漱石生誕150年ということで、漱石の本に登場する面白い単語を電子辞書で調べて、楽しく語彙力をアップする方法を伝授♪
単語・熟語・慣用句などの知識量と利用能力
では、なぜ語彙力をあげる教材として夏目漱石の本が選ばれたのかといえば、齋藤先生曰く、今の日本語を作ったのは夏目漱石だと。今でも国語の教科書に夏目漱石の小説は載るほど彼の作った日本語はスタンダートとなったため、漱石の語彙を知ると日本語の基盤は出来るのです。(例:ロマン⇒浪漫と初めて当て字にした)
なぜ、電子辞書を使うのか?
ちなみに今回使用する電子辞書は齋藤先生も使っている、XD-G20000。多数の日本語の辞書を搭載しているため、言葉の広がりが出てきます。それになんといっても紙ベースの辞書は幅を取り、なおかつ種類も多いのですが、1つの電子辞書でそれは補えますし、キーボード入力をするだけで検索してくれるので紙の辞書よりも圧倒的に調べるのも早いのです。
それでは漱石を電子辞書で読んでいきましょう。最初の教材は、
負けん気が強く、いたずらが過ぎたため、両親から可愛がられなかった"坊ちゃん"が学校を卒業し、1人で四国の中学校に赴任した先での波瀾万丈な日々を描いた不朽の名作。主人公の坊ちゃんが同僚の教師にアダ名をつけるシーンを吾郎さんが朗読。どの単語がアダ名か注目してください。
それ以来蒼くふくれた人を見れば必ずうらなりの唐茄子を食った酬だと思う」
『坊ちゃん』で語彙力をアップ
読み終えた瞬間から、"いやあ、ゴロウさん上手いですねえ。心に入ってきますね、エクセレントですね"とまさにポジティブに褒めてくれる齋藤先生w
では、この朗読したシーンでわからない言葉は何かといえば、
⇒『うらなり』:①瓜などの、伸びたつるの末の方になった実。つやがなく、味も落ちる。②顔が長く青白くて元気のない人
⇒『唐茄子』:かぼちゃ(南瓜)人を罵る言葉。容貌の醜いこと、間が抜けていることなどにいう。
つまり、青白い顔をした栄養が行き届いていない人なのです。
つづいては『坊っちゃん (新潮文庫)』の冒頭部分を外山さんが朗読。そこには全体のストーリーを物語る重要なキーワードが。
⇒『無鉄砲』:「無手法」の変化した語。理非や前後をよく考えないで事を行うこと。
⇒『理非』:理と非。道理に合っていることとそむいていること。
齋藤先生曰く、漱石は冒頭でこの"無鉄砲"という一言で、この物語がどう展開されていくのかを目線づけたのです。
続いては教科書の教材として知られ、日本で一番売れている文庫本でもある、
奇妙な友情で結ばれている「先生」と私。ある日、先生から私に"遺書"が届いた。あなただけに私の過去を書きたいのです……まずは先生と主人公・私の重要なやり取りを吾郎さんが朗読します。
"私は過去の因果で、人を疑りつけている。だから実はあなたも疑っている。しかしどうもあなただけは疑りたくない。あなたは疑るには余りに単純すぎるようだ。私は死ぬ前にたった一人で好いから、他を信用して死にたいと思っている。あなたはそのたった一人になれますか。なってくれますか。あなたははらの底から真面目ですか"
"もし私の命が真面目なものなら、私の今いった事も真面目です"私の声は顫えた」
終わるなり拍手をし、"朗読CDとして売りたいぐらい。いやあ、気品がありますね、吾郎さんの声にはね"と仰る齋藤先生に気分が良くなる吾郎さんw いや、でも実際にそのとおりなので、ぜひ吾郎さんで朗読CDを検討していただけないでしょうか、齋藤先生。
『こころ』で語彙力をアップ
⇒『真面目』:①真剣な顔つきであること。本気であること。②誠実であること。まごころがこもって飾り気がない事。誠意があること。
改めて辞書で引くことで、今の時代に捉えている"真面目"という言葉と、漱石の時代で捉えられていた"真面目"には大きな違いがあるのがわかります。
⇒『はらのそこ』:胸の奥深いところ。また、胸の奥深くで考えていること。
例えば"切腹"という言葉がありますが、腹を切ることで本当の本心を出すという意味もあるのです。そして"腹黒い"という言葉も、今は軽く捉えられがちではありますが、心の奥底まで真っ黒、つまり人として終わっている意味を持つのです。同様に"腹が立つ"や"はらわたが煮えくり返る"という言葉も。
最後に『こころ (新潮文庫)』のクライマックスシーン、「先生」がKの自殺場面を発見するシーンを外山さんが朗読します。
私はわざとそれを皆なの眼に着くように、元の通り机の上に置きました。そして振り返って、襖に迸っている血潮を始めてみたのです」
美しい言葉ではあるものの、ホラーでもある文章。
⇒『血潮』:①潮のように流れ出る血。ほとばしり出る血。鮮血。②燃えるような激しい感情。
⇒『迸る』:①とびあがる。とびはねる。おどりあがる。②勢いよく飛び散る。たばしる。噴出する。
つまり"迸っている血潮"とは相当な状況にあることがわかるのです。それはKの最後の命の形、それを襖絵に残したのです。
ちなみに上の文章にもある"襖"、この"襖"に着目される方はほとんどいないと思いますが、斎藤先生はこの『こころ (新潮文庫)』を『襖小説』と呼ばせていただきたいと。
襖というのは部屋と部屋を仕切るものですが、この物語を書いている私と自殺をしたKの部屋とは襖1枚で隔てられています。物音も聞こえてくるものの、会話をしたいときは襖を少し開け、会話をしないときは襖を閉じ、と襖には2人の関係性がよく表れているのです。しかもこの襖、この物語の中で21回も出てくるという頻度。その2人の関係を表している襖に血潮が迸ったということは、それを見てしまった私に強い印象を残してしまうのです。
"真面目"、"血潮"、"襖"の3つのキーワードを踏まえた上で、改めて『こころ (新潮文庫)』を読んでみるとまた違った印象を受けるのかもしれません。
山田くんの消しゴムハンコ
そして恒例の消しゴムハンコは、夏目漱石のファンということで、お札になった齋藤先生。アイデアが素晴らしいとポジティブなお褒めの言葉をいただきました。
今週はいつもとは違い、齋藤先生のスタンダードな形である授業という体で電子辞書を使い、言葉が持つ面白さというのを教えていただきました。『ゴロウ・デラックス』は読書バラエティー番組として本を取り扱う番組ではありますが、そもそもの原点である"言葉"、これに着目し、その始まりの楽しさを伝えるのはとても大切ではないでしょうか。
そして恒例、『Book Bang』さんによる『ゴロウ・デラックス』齋藤孝さん出演回の記事がこちら↓
というわけで、公式HPにも番組の感想をお願いします⇒『ゴロウ・デラックス』ご意見・ご感想大募集!| TBS