【考える葦】

某男性アイドルグループ全活動期メンバーで、左利きな彼(稲垣吾郎)を愛でる会

映画『クソ野郎と美しき世界』感想

4月6日(金)から始まり、4月19日(木)という2週間の期間限定で全国86館上映していた映画『クソ野郎と美しき世界』観客動員累計も280,021人となり、当初の目標だった15万人をはるかに超える観客動員に有終の美を迎えることが出来ました。

 

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というわけで、期間中はネタバレになってしまうだろうとUPせずにいた感想を自分のメモとして残しておこうと思います。

 

Episode.1『ピアニストを撃つな!』
監督&脚本:園子温
出演:浅野忠信満島真之介馬場ふみか稲垣吾郎/他 

 

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恐らく観る人によって一番賛否が分かれたエピソードだとは思いますが、個人的にはこの映画の根幹をしっかり伝えてくれるエピソードとして一番好きです。
今回は通常のオムニバス映画とは違い、3編からなる物語が最後のEpisode.4で一つの物語として集結する流れとなっていることもあり、Episode.4に委ねる感が強かったパート。逆にいえば、Episode.4に至ることでEpisode.1にようやくエンドマークをつけられる、評価が出来るお話ではないかなとも思うので、初見の人には何が言いたいのかよくわからないといった感想を抱かせるかもしれません。

随所に極彩色の園子温ワールドは感じられますし、本能に従って疾走していく感はらしいとも思えますが、ただ時間がないのか、深く踏み込めずに終わった感もあり、そういう意味でも賛否分かれる内容なのだろうなとも思います。
何も持っていないゴローが静で、愛という衝動にひたすら走り続けるフジコちゃんと大門たちが動という対比。そして静だったゴローが愛に気づいて動へと変じていく様もなかなか面白かったですし、カメラワークも音楽の使い方も良いですし、2回、3回と鑑賞を重ねるたびに発見もあってなかなか面白い世界でした。ぶっ飛んでいる登場人物を役者が楽しそうに、この世界で存在しているのもいい。

またこの極彩色の園ワールドの中にゴローという異物が、その世界に染まり切らず、でも違和感なく存在しているのも面白かったです。ただ、ゴローが予想以上にキュートな人物になってしまったがために、ちょっとゴローのクソ野郎っぷりが伝わり切らなかったのが惜しかったかも。多分、それぞれのエピソードを通して一番クソ野郎だと思うのですよ、ゴローが。そこがより伝わるとEpisode.4での表情がもっと活きたかもしれないですが、まあ、園監督がゴローは可愛い認識しちゃったからしょうがいないw

世間が思うであろうパブリックイメージであるゴローをさらにデフォルメして演ずるという役者としてなかなか難しい役どころでしたが、出来るのなら園ワールドに染まり切った役者・稲垣吾郎を観てみたいなとも思いますし、今回で互いの相性がいいのはわかったとも思うので、次の機会をぜひとも作っていただいて、がっつりと監督・園子温×役者・稲垣吾郎でタッグを組んでいただきたいなと思います。もちろん、吾郎さんのファンとしては色んな意味で園監督ありがとう♪でしたが。

 

Episode.2『慎吾ちゃんと歌喰いの巻』
監督&脚本:山内ケンジ
出演:中島セナ香取慎吾/他 

 

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ファンタジーな設定でありつつ、一番現実とリンクしているエピソード。キャスティングは一番好きかもしれません。歌喰いというファンタジーな存在を認識させてしまう中島セナさんが持つキャラクター性。他にも芸達者な役者さんたちが多く、舞台好きな方にはたまりません。女刑事もいいですが、キーヨのマネージャーがいい。

世間一般だと香取慎吾というと天真爛漫……というイメージが強いのかもしれませんが、こういうちょっと影のある役のほうが慎吾くんにはあっていると個人としては思うので、出来ればこれからもこういう等身大の役を演じていただけると嬉しいです。いや、役というか、今回は本人役なんだけどねw

現実と虚構の世界がリンクしつつ、そのさじ加減が素晴らしい。さすが山内ケンジ監督。ただファンが思う感動と、一般の人が観た感動にはちょっと温度差はあるエピソードでもあるかなとは感じました。

 

Episode.3『光へ、航る』
監督&脚本:太田光
出演:尾野真知子/草なぎ剛/他 

 

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多分、物語としては一番わかりやすい回だろうなと。粗はあったものの、それを役者が力でねじ伏せた回でもあったかなとちょっと思います。そういう意味では、久々にメガホンをとった太田さんの作品を、剛くんと尾野真知子さんという演技のある人たちが演じたのは太田さんにとって幸せなことなのか、不幸なことなのかがちょっとわかりません。

個人的にはこれは太田さんが漫才師だからかもしれませんが、必要以上に言葉で埋めちゃうんだなあと。観ている人の想像に委ねてもいい部分なども言葉で説明して、余白がないのは少し面白味に欠けているかも。後、きっちりと物語として完結させてしまってるんですね。いや、本来はそれでいいんですが、今回のちょっと特殊な構造をしているオムニバス映画としてはどうなんだろうなとは思います。完結させてしてしまった分、Episode.4の児玉監督は大変だったかもしれません。そういう意味でも本来のオムニバス映画として一番成立している回だし、観ている側には優しい、わかりやすい物語だったろうなと思います。

 

Episode.4『新しい詩』
監督&脚本:児玉裕一
出演:クソ野郎★ALL STARS

 

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1になるしー、2になるしー、3、4がなくて5になるしーと言いたくなるぐらい、Twitterで語っている人がいましたが、世界で一番正しい池田成志さんの使い方でした。現場からは以上です(おい)いや、本当に全編を通した主役は大門こと、浅野忠信さんだったかもしれませんが、Episode.4だけは完全に池田成志さんが主役でした。

このそれぞれ異なる3編の物語を1つとしてまとめるためにはCLUB「KUSO UNIVERSE」という架空の世界で、誰よりも胡散臭い支配人が必要だっただろうなと思いますし、そうなると自ずと世界はミュージカルとなるのも必然だったかもしれません。いやあ、本当に児玉監督は大変だったろうなと、そのご苦労を思うと涙が……(嘘)

そしてクソ野郎だったときのエピソードとの対比で、彼らがそれぞれ得た表情が素晴らしい。慎吾くんが朗々と明るい表情で高らかに歌う様も、吾郎さんのフジコちゃんという愛を得た柔らかな笑みも、腕を取り戻し、夫婦らしさを取り戻した剛くんの穏やかな表情も、それぞれの明るい未来を感じさせて。そしてまったく交わることなく終わるであろう三人が、このCLUB「KUSO UNIVERSE」で一瞬だけ交差するのも素晴らしいENDだったと思います。

 

そして最後にエンドロールで流れる「地球最後の日」で実はEpisode.4は架空の物語で、本当は大門ではなくゴローの手が潰されていて、慎吾ちゃんは歌を取り戻すことができず、工藤は子どもを……という説があるかもと吾郎さんや慎吾くんらが舞台挨拶で語っていましたし、映画の中にはいろいろ隠されたメタファーがあったりと盛り上がりましたが、個人的にはそういう楽しみ方もあるよと。そのままハッピーエンドで終わりましたという受け止め方もあるし、また見方によってはアンハッピーエンドの、でもその中でも彼らはそれぞれの道を歩み始めたんだよとか、観た人が感じたもの、それを否定するでもなく、肯定するでもなく、映画という楽しみ方は自由でいいんだよと語っているのがこの映画だったように感じました。

POP UP SHOPに始まり、舞台挨拶も含め、映画『クソ野郎と美しき世界』は最後の最後まで観客を楽しませたい、まさにエンターテインメントに徹した映画だったのではないでしょうか。

もちろん、プラスの評価だけではなく、もっと時間をかけてがっつり映画を作ってほしかったなどなど、いろいろマイナスな面があるのも確かですが、まずは吾郎さん、剛くん、慎吾くんの顔見せ的に映画を作り、目標である観客動員の結果を出した。彼らにはまだまだ集客力がある、これを見せつけることが大切だったのだろうと思います。これによって次からスポンサーがつきやすくなりますし、映画館ももっと多くを望むことが出来る基盤が出来た。ですので、本当の意味での評価は第2弾以降になるでしょうから、そこはがっつりと時間をとって、誰もが観て楽しめるエンターテインメントに徹した映画を制作してほしいなと期待したいです。