『東京ワイン会ピープル』と『ゴロウ・デラックス』・前編
2018年1月18日放送の『ゴロウ・デラックス』第281回目のゲストは、ワインの世界では知る人ぞ知る樹林 伸さん(55歳) 実は樹林さんは作家ではなく、漫画原作者。漫画原作者とは、漫画の元となるアイデアやストーリを作り出し、絵を担当する漫画家さんに提供する職業。
その代表作品といえば、
- 作者: オキモト・シュウ,亜樹直
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/03/23
- メディア: ペーパーバック
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天才的なワインの感覚を持つ主人公・神咲雫がライバル遠峰一青との戦いを通じ、父が残した伝説のワイン「神の雫」を探す物語。累計発行部数は1,000万部を超え、7ヵ国語に翻訳。各国でワインブームを巻き起こした作品。そんな樹林さんが今回、満を持して書いたのが今夜の課題図書となる
東京の真ん中で夜な夜な行われる秘密のワイン会、ある日偶然、そのワイン会に参加することになった普通のOL紫野が巻き込まれる大人の世界の物語。
小説じゃないと表現できないこと
ではなぜ今回、いつものように漫画原作ではなく小説として書かれたのかというと、ワインの漫画となった『神の雫(1) 』は主人公の対決話となるため、ワイン会の話はあまり書いていないのです。ただ、樹林さんらが日々良いワインを飲むのは大体ワイン会で、自身の経済力であったり、経験値であったり、年齢であったり、自分では入手できないようなワインを持ってきてくれる人もいるため、そういう経験もしてほしくて、「日本にワイン会を広めたい」という気持ちから小説を書いたのでした。
ワインに嵌ったきっかけ
そんな樹林さんがワインに嵌ったきっかけはDRCエシェゾー「Domaine de la Romanee-Conti(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ)」85年を飲み、まさに雷に打たれたような衝撃に、気づけばワインを収集、その数約4,000本となったのです。
ワインの本場フランスでも究極だとされ、数百年の歴史を持つあの「ロマネコンティ」を作る会社です。ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティは「ロマネコンティ」以外でも
ロマネコンティ/リシュブール/グラン・エシェゾー/ロマネ・サン・ヴィヴァン/ラ・ターシュ/モンラッシェ/エシェゾー
いくつかのワインを製造しており、そのうちの一つがDRCエシェゾー。年間生産数が1~2万本、価格帯は10~20万円程度という最高級ワイン。
DRCエシェゾーとは一体、どんな味がするのか? 小説の主人公・紫野が飲んだ感想部分を吾郎さんが朗読。実は『神の雫(1) 』でも、今回の課題図書でも、ワインの味の表現が独特なのが樹林さんの作品の特徴。その点に注意して聞いてください。
まぶしさに目を閉じると、瞼の裏に花畑の幻想が拡がっていた。
無数の大柄な花々が咲き誇る畑の真ん中に、まっすぐに延びる道が続いている。
どこまでも続く道を歩くと、傍らに自生するハーブの匂いが風に乗って通りすぎていく。
向こうから籠を提げた少女が歩いてくる。
日除けの白い帽子。
そこから覗く表情は、微笑みかけているようだ。
すれ違いざまに籠の中を覗き見ると、そこにはたくさんのフルーツ。
フレッシュな苺、ラズベリー、ブラッドオレンジもある。
思わず振り返ると少女は立ち止まり、苺を一つ差し出した。
受取って口に含むとそれは、思い出のように甘く、そして切なかった……。」
『東京ワイン会ピープル』より一部抜粋
樹林さんのワインの味の表現は、ワインとは関係のない音楽や絵画、風景などに例えられるのが特徴。例えば『神の雫』の中ではエレガントなワインはクレオパトラ、時には絵画や音楽などの芸術作品に例えられることもあり、一口飲めばある光景が数ページにわたって続くこともあるのです。
樹林ワールド炸裂!ワイン表現の世界
基本的にお姉さまと仕事を一緒にしていた樹林さん。仕事の打ち合わせなどで“ガソリンが欲しいよね”と当時、すでに1,000本単位でワインを所蔵していたお二人は、そこからワインを持ってきて飲み始め、「このワインは男かな? 女かな?」と言い始め、「これは女でしょう」→「黒髪の……」→「黒い目に浅黒い肌」といったような1本のワインを飲んだ感想をお互いに告げるようになったのがきっかけ。それが次第に景色になっていき、絵画や音楽となり、“これ、このまま漫画に出来るんじゃないのかな?”と漫画にしてみたのが『神の雫』だったのです。
『ゴロウ・デラックス』でもワイン会を
4,000本のワインもどこで置いてあるのかと尋ねられ、自宅の地下にワインセラーがあり、そこで保存をしていると聞き、見てみたいという吾郎さんのコメントにより、今回は樹林さんのご自宅に伺うことに。
ワイン御殿に突入!
実は樹林さん、漫画業界の中では知る人ぞ知る人で、これまで手掛けてきた作品も『シュート』や『金田一少年の事件簿』、『サイトメトラーEIJI』に『GTO』などなど、累計発行部数は1億部以上。個人的にもほぼ樹林さんが手掛けた漫画を読んでいます。というわけで、もちろん大豪邸。
地下に降りる手前で見えるテラスも素晴らしく、しかしその地下に降りる途中に飾ってあるワインボトルのラベルを確認、“ベル・エポックのシャンパン……シャンパンといったら怒られちゃうから、シャンパーニュ”だと食いつく吾郎さん。
こちらで使っているワイングラスは樹林さんご自身がデザインしたもの。⇒神の雫 WINE SALON|公式通販サイト
今まで飲んできたワインの中には1870年という150年前のワインも。ワインセラーを見せたほしいとお願いする外山さんにシーと静かにという樹林さん。“ワインが起きちゃいますからね”と吾郎さん。そのワインセラーはというと、
いや、もう凄すぎて……ちなみに吾郎さんが飲んでみたいのは“シャトー・オー・ブリオン*1”だそうで、瓶のキャップシールだけでわかっちゃうのは凄いと樹林さんも褒めてました。
『ゴロウ・デラックス』ワイン会スタート!
今回、樹林さんオススメのワインを試飲するにあたって、樹林作品と同じように様々な例えを使ってワインの味を表現するというルールが。
まずは『東京ワイン会ピープル』第1章に出てきたワイン、
歴史は古く、17世紀にはすでに著名なワインの一つでした。しかし、20世紀初頭に相次ぐ恐慌や戦乱で経営が行き詰まり、ワインの質が低下してしまいます。そのピンチを救ったのが日本のサントリー。 1983年、経営に参画し、徹底的な改革を行い、『シャトー・ラグランジュ』は復活。今や世界に認められるワインに成長しました。
試飲をする前に樹林さんからのワンポイントアドバイス。
飲む前の「スワリング」*2で、グラスを机から離すときは反時計の方向に回すのが基本。右に回すと何かがあったときには相手にワインをかけてしまうため、左回りにしておけば自分がかかるのでエチケットとして良い。だから置いてやる場合は右でもOK。
何か意外でした。香りはすごい軽やかなんですが、飲むとしっかり重厚感というか、意外性というか。この意外性は僕が青山当たりのBARでちょっと苦手だなあと思うような女性と知り合って、会話をしているうちに意外にもフランス映画が好きだったり、僕の大好きなレオス・カラックスの「ポンヌフの恋人」が好きだったり、どんどん話が盛り上がって、そんな見た目じゃなかったのに、意外に意気投合しちゃった(外山:何カッコウイイこと言ってる)
本と同じようなことを言わないようにしようと思ったんですけど、どうしてもこれを飲むとね、感じてしまうのがテノール。男性の声、高い方のような何か響きですね。そう感じるんですよね。作り手が男性だってことなんでしょうけれど、とテロワール(土地)の特徴で、オペラのテノールが響き渡るようなね。やっぱり飲むと思っちゃう。
というわけで、残念ながら今週はここまで。次週も引き続き、樹林伸さんのご自宅で『ゴロウ・デラックス』ワイン会を開催。次々と貴重ワインを開栓!!
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