【考える葦】

某男性アイドルグループ全活動期メンバーで、左利きな彼(稲垣吾郎)を愛でる会

『編集長 稲垣吾郎 #24』(2017.06.14放送分)

6月14日(水)に放送された『編集長 稲垣吾郎』の第24弾。

 

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吾郎稲垣吾郎です。僕が編集長となって皆さんと一緒に、女性誌を作っていくというラジオ番組。今週はどんなネタが届いているんでしょうか。それでは、“編集会議を始めましょう♪”」
2017年6月14日(水)『編集長 稲垣吾郎 #24』より一部抜粋

 

■「GORO's Column」……編集長、こんばんは。家の前に小さい川が流れているのですが、今年も蛍が飛び始めました。この季節限定というのもあって、毎晩外に出て小さな光を見るのを楽しみにしてます。

f:id:kei561208:20170403190324j:plain へえ、羨ましいですね。岡山県の小さな小川には蛍がいるんですね。東京ではなかなか見られないですよね。昔ね、僕の半同居人のヒロ君に連れていってもらった八王子の山でも蛍が見えましたけどね、季節によっては。懐かしいですけどもね。またちょっと男二人で、ちょっとご飯に行きたいなと思ってますけれども。いいですね、季節限定で。とても風流で羨ましいです。岡山県もなかなか最近行っていないので、いいですね。行きたいですね。昔、金田一耕助とかの撮影でよく行きましたけれども、はい。

 


A Cozy Place - Andrew Gold

 

■「GORO's Search」……今回は2011年の塩麹ブーム、皆さんあったの憶えていますか? 今でも使われている塩麹ですが、そのブームから最近は飲む点滴と言われている甘酒ブームとなっているんですね。そこで今回は美容や健康にもいいと言われている麹を「GORO's Search」していきたいと思います。お話を伺うのは、以前の草鍋のときにもお世話になったフードコーディネーター料理研究家の三島葉子さんです。⇒『フードリリース/food release』 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain そもそも麹とは?

日本の気候でしか育ったないアステルギルスオリゼ*1という良い働きをするカビがありますが、そのカビを蒸したお米に種付けして麹は作られます。その麹を発酵させることで日本酒になったり、大豆と合わせてお味噌になったり、甘酒にもなって日本特有の発酵食文化の一つとなります。

今年になって甘酒が注目されるようになった理由の一つが、肌の綺麗な女優さんが毎日飲んでいるという情報が発信されたからだと言われています。 

www.marukome.co.jp

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 飲む点滴『甘酒』の効果

吾郎さんにとって甘酒といえば、子どものころにお酒が飲めなくても飲ませてもらって美味しかったなあという思い出がありますが、甘酒は必須アミノ酸の量が点滴の中に含まれているアミノ酸量とほぼ同量といわれるぐらい栄養価が高い食品

ビタミンB群はもちろんのこと、肌を綺麗にしたり、髪の毛を綺麗にしてくれる"ビオチン"という成分が入っており、美容効果も期待されているそうです。後は脂質の燃焼、脂肪の代謝が良くなるといわれているため、ダイエットに利用される方も多く、またリラックス効果もあるので、寝る前に少しだけ飲むとゆっくりと良い睡眠がとれるそうです。また最近はスーパーだったり、製菓材料屋でも入手できるようになったため、若い方でも毎日飲まれている女性もすごく増えてきているのです。

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 甘酒のスムージー

実際に甘酒を使用した料理として、今回は甘酒と豆乳、それからフルーツを合わせた甘酒のフルーツスムージーを2種類作ってきました。 

イチゴのスムージーについては砂糖の代わりに甘酒を使用しているため、甘すぎずさっぱりとして爽やかで、男性でも飲みやすい味になっています。また女性ホルモンに似た働きのイソフラボンが取れるということで人気の豆乳も入っています。 

マンゴーとオレンジのスムージーは、吾郎さんはこちらのほうがより好みだったようですが、2種類のフルーツを使っているからか、豆乳や甘酒のまったりした感じはなくよりフルーツ感が強く、すっきりとした口当たり。

作り方としては簡単。吾郎さんは普段スム―ジーを毎朝作っているようですが、それに大さじ2杯の甘酒を加えるだけで飲む点滴のスムージーが出来上がる手軽さ。もちろん、お野菜のスムージーの中に入れても問題なし。吾郎さんはオリゴ糖を入れているそうですが、甘酒の中にもオリゴ糖は入っているため、砂糖代わりに甘酒を。

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 甘酒の生姜焼き

そしてもう一つが甘酒を使った生姜焼き。 

作り方は簡単。甘酒をお醤油と生姜、これだけで大丈夫。甘酒には麹効果があり、お肉がふっくらする効果とたくさんのビタミンアミノ酸が接種できる非常にヘルシーな生姜焼きになっています。食した吾郎さんの感想としては、こちらのほうがより生姜が引き立つ感じだそうです

甘酒と豚肉の組み合わせは非常に疲労回復に良いとされるので、これから夏バテとなる季節にはもってこいの料理かもしれません。

ちなみに三島さん曰く、甘酒を手軽にスーパーなどで手に入れてもいいのですが、ご自宅で作って生の甘酒を飲んだり、料理に使われるのが一番いいそうです。⇒簡単に作れる魔法瓶を使った甘酒の作り方 | レシピ|越前有機味噌蔵 マルカワみそ

⇒今回のレシピは番組HPに記載されていますので、試してみようと思われた方はぜひご利用ください。また、三島さんのブログでは『編集長 稲垣吾郎』当日の様子が詳しくレポートされています。実際に吾郎さんが食した甘酒のスムージーや生姜焼きの写真もありますし、読むと改めて吾郎さん、番組スタッフはもちろんのこと、参加される出演者の方々も一つ、ひとつ丁寧にプロとして番組に参加しているのだなあと。その結果が「GORO's Search」の面白さに繋がっているのだなというのがよくわかりますので、よろしければ一読くださいませ。 

ameblo.jp

■「GORO's Break Time」……6月は雨の季節。そこでSMAPの『そっときゅっと』をリクエストします。ミディアムテンポの曲にもかかわらずガンガンに踊る振り付けも大好きです。

f:id:kei561208:20170403190324j:plain 踊りは確かに凄いですよね、この曲ね。何か、クセのある独特なダンスなので僕なんかはてんてこ舞いでしたけどね。へえ、僕もでもこの曲好きですよ。

 

f:id:kei561208:20170411005834j:plain SMAP『そっときゅっと』

 

■「GORO's Essay」……森くんが出演していたラジオを聴き直していたら、当時、森くんが舞台をやるということでメンバーからのお祝いメッセージが紹介されていました。吾郎さんのお祝いメッセージも紹介していたのですが、「ええ、何喋るの? 森くんへ? まあ、あの~気をつけて。いつになるかわかりませんけど、観に行くからよろしく」とだけ。それに対して森くんは「これだけ? 何でこんな短いの? 他のメンバーのコメントは10分以上あったのに、吾郎のコメントはたった29秒。20……ふざけんなよ、吾郎」と話してました。吾郎さんは当時のこと憶えてますか?

f:id:kei561208:20170403190324j:plain 舞台に出るときのコメントで、逆に10分以上って長くない? え~、なんなんでしょうねえ。しかも29秒って凄い、ちゃんと計ったんでしょうか。まあ、こんな関係だったんじゃないでしょうか。どうなんでしょう。まあ、あっさりした関係……同じ年だったんでね。何か、もしかしたら一番気を遣わなくてすむ関係だったのかもしれないですね。年上でもないし、年下でもないし。だから僕はすごくある意味、甘えていたというか……まあ、こんな真面目に分析、当時のことを分析しなくてもいいと思うんですけどね。うん。まあ、同じ年としての何か、甘えなのかな。お友達みたいに思っていたから、身近だったのかな。はい、当時のことはまったく憶えてませんでしたけれども。ちょっと懐かしい、ほっこりした気持ちにさせてくれてありがとうございました。

 

■「GORO's Music Library」……ドラマ「ブスの瞳に恋してる」の主題歌、倖田來未さんの「恋のつぼみ」をリクエスト。吾郎さん演じる放送作家さん、おさむさんがとても素敵で、このころから私は吾郎さんに一目惚れした思い出の作品です。実話を元にしたフィクション、ドラマ化されたのを中学生のころ毎週楽しみに観ていたのを思い出します。森三中の村上さんがフィアンセのみゆきさん、モデルのエビちゃん、キレイで可愛くてあこがれの存在でした。こんな吾郎さんのラブストーリーがまた見たいです。よろしくお願いします。 

f:id:kei561208:20170403190324j:plain ありがとうございます。あの~、ねえ、懐かしいです。あの10年、ちょうど10年ぐらいなるのかなあ。ねえ、懐かしいです。あのラブコメディは、やりたいです。ま、「不機嫌な果実」もある意味ラブコメディみたいなもんなんですけど。うん、何かそういう機会があればまたやらせていただきたいな思いますしね。あの、コメディも大好きなんで。うん、いいですね。

 


倖田來未 / 恋のつぼみ

f:id:kei561208:20170403190324j:plain これ何か打ち上げて最後、倖田來未さんが実際に出てきてこの歌を歌ってくださった記憶がすごく思い出しますけど。あの~、すべての女性に元気と勇気を与えてくれるような、そんなドラマで、楽しかったですねえ。でもあれですよ、鈴木おさむさん。結構、これ後編とか書き続けているよね。また何か書いてほしいですよね。「ブスの瞳シリーズ」ね。そのときはぜひまた僕におさむを演じさせてもらいたいなと思いますけれども。

 

吾郎「皆様からのメッセージをお待ちしております。季節感のある話や、ちょっと僕に聞いてみたいことがある方は『Goro'sColumn』へ。特集コーナーに取り上げて欲しいことがあれば『Goro'sSearch』。リクエストは『Goro'sBreakTime』へ。お仕事やプライベートな話題は『Goro'sEssay』へ。
メールのアドレスは“goro@joqr.net”、葉書きの方は郵便番号105-8002 文化放送「編集長 稲垣吾郎」まで。お相手は吾郎編集長こと、稲垣吾郎でした。それではまた来週、バイバ~イ♪」
2017年6月14日(水)『編集長 稲垣吾郎 #24』より一部抜粋

  

www.joqr.co.jp

シネマナビと『セールスマン』

6月14日(水)発売【anan No.2057】の稲垣吾郎シネマナビ!では『セールスマン』(2017年6月10日(土)全国公開)を紹介。

 

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《あらすじ》

小さな劇団に所属し、作家アーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」の舞台に出演している役者の夫婦。ある日、引っ越したばかりの自宅で夫が不在中に、妻が何者かに襲われる。事件が表ざたになることを嫌がり、警察へ通報しようとしない妻に業を煮やした夫は、独自に犯人を探し始めるが……。(映画.COMより抜粋)

 


映画『セールスマン』予告篇

 

監督&脚本:アスガー・ファルハディ
出演者:シャハブ・ホセイニ/タラネ・アリシュスティ/ババク・カリミ/ファリド・サッジャディホセイニ/ミナ・サダティ/他
配給: スターサンズ、ドマ
制作国:イラン・フランス合作(2016年)
上映時間:124分

 

ここから先はシネマナビに書かれた『セールスマン』について触れるため、"続きを読む"をクリックください。

 

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『罪の声』と『ゴロウ・デラックス』

2017年6月8日放送の『ゴロウ・デラックス』第252回目のゲストは、日本中を震撼させたある事件をモチーフにした小説が話題になっている作家の塩田武士さん(38歳)

神戸新聞の記者の傍ら小説を書き続け、2010年『盤上のアルファ (講談社文庫)』が小説現代長編新人賞を受賞し、作家デビュー。2016年には今回の課題図書となる『罪の声』で山田風太郎賞*1を受賞。さらに本屋大賞3位に選出され、現在16万部を突破するなど、今勢いのある作家の一人なのです。

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 山田風太郎賞受賞!

その山田風太郎賞受賞すると賞金は100万円だそうですが、いつの間にか気づいたら奥様に取られていたらしく、ある日、百貨店に連れて行かされて、これは何か買わされるなと思ったら生命保険に入れられた塩田さん。奥様は売れたら絶対に生命保険に入れようと前々から狙っていたそうです。そんな塩田さんの本日の課題図書はといえば、

 

罪の声

罪の声

 

 

昭和最大の未解決事件であるグリコ森永事件を題材に、フィクションで推理する社会派ミステリー。

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 昭和最大の未解決事件、当時のことは?

塩田さん自身は現在38歳ですので、グリコ森永事件時には4歳とあまり事件について詳しく知るわけではないものの、関西在住ということでより事件はよりリアルに、そしてキツネ目の男と母親にお菓子は食べたらあかんと言われてたのは覚えているそうですが、事件は2000年時効を迎えます。

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 昭和最大の未解決事件を題材に選んだわけ

大学3年生の21歳のときにそのグリコ森永事件関連の本を読んでいた塩田さん。その本を読んで始めて、"子供の声を録音したテープ"が利用されていたのを知ります。その声の主が塩田さん自身と同じ年くらいで、同じ関西で生まれ育っている人なんだと感じた瞬間、ひょっとしたらどこかですれ違っている人かもしれないと鳥肌が立ちます。この子の人生はなんだったのだろうと思い立ったのが小説を書こうとしたきっかけ。ただ、この当時に描いた構成を小説にするまでには紆余曲折がありました。

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 『罪の声』を書くまでは苦労の連続

デビューした2010年に最初の担当編集者にこのアイデアを話した塩田さん。"確かに面白い"とは言われたものの、"今の塩田さんの筆力じゃ書けない"とも言われてしまいます。ただ、"このネタは講談社のネタだから絶対他社には言うな"とも口止めされて以降8作品を積み重ね、2015年になってやっと当時の担当編集者さんと今の担当編集者さんに"そろそろやりませんか?"と声がかかります。

しかし21歳のころから書きたい、書きたいと思い続けてきた題材ですから、思い入れが強すぎてどうしても失敗は出来ないという怖さが立ってしまい一度は断ってしまいます。そしてその2ヶ月後、再度、担当編集者さんたちが集い、"僕たちも人事異動があります。今だったら講談社が全面バックアップ出来ます。だから今しかない"とを人事異動という奥の手を使われ、ならばやりますと気合いを入れて、作品へと着手することになります。 

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 衝撃のプロローグを朗読

罪の声』とは、 テーラーを営む曽根俊也と新聞社に勤める阿久津英士の二人を軸に動く物語。まずは衝撃のプロローグを吾郎さんが朗読。ある日、曽根俊也が自宅で父の遺品から黒革のノートとカセットテープを見つるシーンより。

 

吾郎「"何やこれ"
黒革のノートを開いた俊也は驚いて声を上げた。
日に焼けた紙にぎっしり英文が埋まっている。濃いブルーのインクは恐らく万年筆のものだろう。ノートの状態からして、かなり古いものだと分かる。
俊也は代わりにカセットテープを聞くことにした。
"ばーすてーぃ、じょーなんぐーの、べんちの……"
幼いころの自分の声だ。
"きょうとにむかって、いちごうせんを……にきろ、ばーすてーぃ、じょーなんぐーの、べんちの、こしかけの、うら"
テープが切れた。
"何やこれ"
俊也には録音したという記憶が全くなかった。
俊也は考え過ぎかと、もう一度黒革のノートのページをめくっていた。
【ギンガ】【萬堂】
突然目に飛び込んできた言葉に手が止まる。"ギン萬事件"という言葉が浮かんだ。俊也が幼少のころ、関西を中心に起きた有名な事件だ。
俊也の心臓が早鐘を打ち、一瞬の寒気の後にじわっと毛穴が開いたような感覚がした。
額から流れ出る汗にも気づかず、俊也は天を仰いだ。
これは自分の声だ」
※『罪の声』より一部抜粋

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 世間を震撼させた!脅迫に使われた子供の声

実際のグリコ森永事件もそうで、警察が記者に脅迫テープを公開したときに、記者の方々は成人した男性の声だと思い込んでいたのもあり、子供の声が聞こえてビックリしたそうです。

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 『罪の声』軸となる二人の男

 

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物語はテーラーを営む曽根俊也が自分の声が【ギン萬事件】に利用されたことに気づき、自分の身内が事件に関与していたのではないのかと疑うところから始まります。そしてもう一人が、

 

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全国紙である大日本新聞社の文化部記者・阿久津英士。普段はテレビ局などを担当している記者が社会部の鬼ディスクから過去の未解決事件をやるから手伝えと言われます。そこから取材が始まり、曽根俊也と阿久津英士のそれぞれの視点から物語は展開。

ちなみになぜ曽根俊也をテーラーに仕立てあげたのかといえば、最初は静かな日常だった場がテープを聞くことで非日常に突き落とされる。この落差を表現したくて職人がいいなとテーラーを選んだそうです。

もう一人の阿久津英士については、この作品は勝負作品となるため、自らを投影しようと記者にしたとのこと。ただし、事件記者ではなくあえて文化部の記者にしたのは、事件のことを知らない記者目線から物語を進めていくことで、調べて事件を知っていく読者目線にもなり、自然と記者が知識を得ることによって読者も物語へと強く惹き込まれるよう狙ったのです。

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 主人公を二人にした理由

追う者追われる者という設定をする。ただし、追う者と追われる者という設定だけでは過去と現在だけで話が終わってしまうため、途中から共に追う者へと変化し、未解決事件だからこそ未来を描くようにしよう。そういうコンセプトが塩田さんの頭の中で浮かんだそうです。

 

山田風太郎賞選考委員:京極夏彦氏】
「"罪の声"の素晴らしいところはノンフィクションフィクション境目が分からないところ」と絶賛。

  

f:id:kei561208:20170523013943j:plain その象徴的な部分を朗読

 

外山「あるドキュメンタリー番組の映像。
滋賀県警の捜査員がベンチに座り、指示書を貼り付ける動作をしている。
同番組で新たに発掘された事実。
高速道路上の仕切りは大阪府警だったにもかかわらず、実は滋賀県警が大津サービスエリアや草津パーキングエリアに捜査員を極秘潜入させていたというものだ。
この捜査員は大阪府警の先行班がサービスエリアに到着する前から警戒態勢を取っていて、まず、レストランでキツネ目の男を目撃する。
跡をつけると、キツネ目の男は尾行確認のために、入ったばかりのトレイでUターンしてすぐに戻るというような不審な動きを続けたという。
そして、男は屋外のベンチに座り、ひと目で犯人だと分かるような行動をとる。
捜査員は"一生懸命何かを貼っている状態が確認できた"と言っている。
だが、実際指示書が貼り付けられていたのは、いわゆる"観光案内板"の裏だったのだ。
このズレはなんだ―――――。
キツネ目の男は二人いたのではないか―――――
※『罪の声』より一部抜粋

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain フィクションとノンフィクションの境目

実際に怪しい人物を大阪府警も目撃しているものの、極秘潜入していた滋賀県警の刑事も見ていた。滋賀県警の刑事はキツネ目の男がベンチに何かを貼り付けていたとは言ってはいますが、1984年11月14日の地点ではキツネ目の男の似顔絵自体、警察内でも公表はされていないのです。つまり、知っている可能性はありはするものの、滋賀県警は犯人の似顔絵を知らない可能性がとても高い=あの目撃された犯人は本当にキツネ目の男なのだろうか?という疑問が塩田さんの中に浮かび、なら小説家としての視点で二人いたのでは?という可能性にもたどり着き、物語へと組み込んだのです。

もちろん、実際にキツネ目の男だった可能性はあるし、そうでない可能性もあります。

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 『罪の声』を書くための膨大な資料を徹底収集

ここまで大きな事件になると公開情報も膨大な量になります。そのため、読んでいなかったり、忘れられたりしている資料を全部読み直し、当時の地図を国会図書館でコピーをして、それを元に聴き込みに行ったりと徹底取材。その小説を書くために集めた貴重な資料がこちら↓

 

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脅迫状や挑戦状、そして捜査資料などを入手すべく、お願いします、お願いしますと警察の人に懇願し、手に入れた貴重な資料の数々。初めて警察の捜査資料を見た吾郎さんは"怖いね"とコメントを。

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 単行本化されるまでにはまた大きな苦労が

罪の声』は 「小説現代」にて連載された小説で、完結した際に打ち上げをしたのですが、そのときの担当者の様子がおかしく、なんでかなと思いつつ、単行本の発売が楽しみですねと塩田さんが声をかけると、"塩田さん、発売できません。この原稿、大手術が必要です。書き直しです"と非情な言葉がかかります。もちろん、納得できるはずもない塩田さんに、過去を含め歴代の3人の担当者が原稿にえんぴつ*2を入れます、それを見てもらえませんかと。じゃあ、送ってくださいよと塩田さんが言えば、それぞれの担当者によるえんぴつが入った原稿が三部届いたのだとか。

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain エンピツの入ったダメ出し原稿

 

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とにかくその指摘は"文章が長すぎるのでこのプロローグは直せ"だとか、"文章のブラッシュアップ"だとか基本的な部分にまで至ります。中には"旅行ガイド/紀行文的な要素は読者はこの本に求めていないと思います。別作品でぜひ"といった面白……冷たいコメントまでw

当初は酷いと思ったものの、担当者からの熱意は感じ取り、最終的には大手術に至った塩田さん。連載原稿が生まれ変わった瞬間にイケると感じたそうです。

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 塩田さんからゴロウさんへお願い

そんな塩田さん、今回吾郎さんにお願いがあって、過去は新聞記者だった塩田さん。当時は上司にプレッシャーをかけられながら働いていたものの、やはり段々と忘れつつあって、それはダメなんじゃないかともう一度厳しく躾けてもらいたく、当時の気持ちを思い出すためにも社会部の鬼ディスクを吾郎さんに完璧な関西弁で朗読していただきたいという無茶ブリをw

吾郎:大丈夫です。プロ✨ですからこっちは

というわけで、鬼ディスクに阿久津がバリバリの関西弁でお説教されるシーンを塩田さんと吾郎さんの掛け合いで朗読することに。

 

吾郎「おまえはイギリスに取材に行ったんか、それとも紅茶を仕入れに行ったんか。さあ、どっち? 取材か紅茶か」
塩田「取材です」
吾郎「ほぉ。じゃあ、これで企画の原稿一本書いてみるか? まあ、この内容やったら、せいぜい五、六行やな。高い取材費かけて、ええ? おまえ一行なんぼの記者やねん。引退前の落合か」
※『罪の声』より一部抜粋

 

吾郎さん、酷いwww

"さすがプロ、全編やり直しです"と塩田さんに言われ、収録から1時間半経ちますが、始めて汗が出てきたという吾郎さん。そして容赦なく"もっとがんばりましょう"マークを出すゴロデラスタッフが大好きです♡

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どの辺がダメだったのかを聞こうとする外山さんに、吾郎「どのあたり?全部だよ。わかんないんだもん、関西弁」と駄々っ子になってしまう吾郎さんですが、いずれ関西弁のオファーが来たとき大変だ気づく吾郎さん。外山さんもこの作品だって映画化されるかもしれないしといえば、さっきの醜態を見せてしまった以上、絶対オファーは来ないと断じる吾郎さん。一生懸命取り繕い、なんとか修正しようとするものの半笑いを堪えきれない外山なのでした。いやあ、吾郎さんと外山さんの関係いいなあ。そして、そこに関西人らしくツッコミを入れる塩田さんも。

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 作家と二足のわらじを履いていた記者時代

当時の新聞記者は兼業禁止のため、皆には内緒で作家として活動していた塩田さん。しかし賞を受賞し、文化部部長に報告し、さらに編集局長に事情説明に行くことになりました。ただ兼業禁止な以上、どちらかを選ばざるを得ないため、編集局長の元へ行く際は胸ポケットに辞表を入れ、記者を辞めるつもりでした。ですが、理解ある編集局長だったので両方頑張れと言っていただけてホッと安堵したものの、編集局長の元を立ちさったエレベーターのところで文化部部長より"塩田、受賞記事、自分で書いて"と言われてしまった塩田さん。"自分の受賞記事を自分で書くんですか?"と尋ねれば、"そうや、おまえが一番詳しいからや"と言われ、わからないところは講談社に電話して、自分で自分の受賞した内容を書いた記事がこちら↓

 

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f:id:kei561208:20170523013943j:plain 山田くんの消しゴムハンコ

そして恒例の消しゴムハンコはやや髪の毛が長いバージョンの塩田さん。

 

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今回は本格的なTV出演は初めてではありましたが、関西人で高校生時代には漫才コンビを組んでいただけあり、話術に長け、和気あいあいとした雰囲気で貴重な話を、何よりも貴重な資料も見せていただけた回でした。ちなみに放送前と放送後にFacebookで『ゴロウ・デラックス』出演について告知されている文章が素敵でしたので、合わせてこちらに紹介しておきます。

 

www.facebook.com

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そして恒例、『Book Bang』さんによる『ゴロウ・デラックス』塩田武士さん出演回の記事がこちら↓

 

www.bookbang.jp

というわけで、公式HPにも番組の感想をお願いします⇒『ゴロウ・デラックス』ご意見・ご感想大募集!| TBS

 

 

*1:山田氏の独創的な作品群とその作家としての姿勢への敬意に、有望な作家作品を発掘顕彰するために創設されたのが本賞。ジャンル問わず、対象期間中に発表され、もっとも面白いと評価された作品に贈られる

*2:赤入れ・今回は校正というよりは校閲の役割に近いかも