【考える葦】

某男性アイドルグループ全活動期メンバーで、左利きな彼(稲垣吾郎)を愛でる会

「Happy End」な舞台への誘い

2月6日(土)より大阪の梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて開演した稲垣吾郎さん主演による舞台「恋と音楽FINAL - 時間劇場の奇跡 -」へと2月7日(日)のマチネ(13:00)観劇へと行ってまいりました。

思えばあの大感動を呼んだ「No.9 - 不滅の旋律 - 」の福岡公演大千秋楽を迎えたのが2015年11月15日(日)で、それから約1ヶ月と10日ほど経ち、暮れも押し迫った12月25日(金)に発表された「恋と音楽FINAL - 時間劇場の奇跡 -」まさにクリスマスプレゼントだわと大喜びしつつ、短いスパンでのお芝居の発表に財布の中身を確認し、そっと閉じてため息をついたのがすでに懐かしく感じられる今日この頃。

東京のPARCO劇場で繰り広げられるこの「恋と音楽」シリーズは、劇団ラッパ屋の主宰である鈴木聡さんが脚本、演出をされ(第一弾のみ河原雅彦さん)、音楽をジャズピアニストであり作曲家でもある佐山雅弘さんが担当し、真飛聖さんを共演者にしてこよなくミュージカルを愛するちょっと小粋で大人なラブコメディなオリジナルミュージカルです。第一弾の吾郎さんはミュージカルの作曲家で、第二弾がミュージカルスターのマネージャー、そしてFINALと銘打たれた第三弾が待望のミュージカルスターな役。

一応あらすじとしては下記のようになりますが、こういったあらすじも一切目にせず、何の情報も持たずに舞台当日を迎えたい方は、これから先は極力気をつけますが多少のネタばれが含まれるかもしれませんので観劇後にお読みくださいませ。

 

舞台はとある地方都市の歴史ある劇場「グッドタイムシアター」。劇場100周年記念公演に出演するミュージカル界の大スター・北沢修司(稲垣)と同じくスター女優の峰今日子(真飛)は周囲には犬猿の中を装いながら実は熱烈な恋に落ちていた。二人は夢を分かち合い理解し合える理想の異性に出会えた幸福を感じていたのだが、そこへ突然、謎の老紳士(小倉久寛)と老婦人(北村岳子)が現れて……。

          『シアターガイド / 演劇ニュース:2015.12.25』

 

舞台としては楽屋というワンシュチュエ―ションで繰り広げられる話で、吾郎さんと真飛さんのお二方は美しく華やかな、まさにミュージカルスターなキラキラとした王子さまとお姫様。そしてそこに登場する小倉さんと北村さんがピエロ役として場を面白おかしく盛り上げてくれます。もちろん、吾郎さんと真飛さんも彼らとの対比があるからこそ生まれる笑いを、そして吾郎さん自身のパーソナリティーを活かした笑い、そういった笑いが随所に生まれ、本当に鈴木さんらしい舞台です。

演劇情報誌「シアターガイド」2016年3月号では吾郎さんと小倉さんとの対談で冒頭から素晴らしいほどのネタばれがなされていますが、その対談にも、

 

稲垣:鈴木さんの作品に共通して言えるのは、人間味や懐かしさ、古き良き美徳が感じられること。それにどんなに辛いことがあっても、必ず救いがあるんですよ。

小倉:そこに独特のユーモアが入ってくるのがいいですよね。

            【シアターガイド】2016年2月2日発行289号

 

随所にそれを感じられる舞台であり、どこかノスタルジックな気分にも陥るからこそ、今回の荒唐無稽なシチュエーションを観客も当たり前のように受け入れられるのかもしれません。後、剛くんが吾郎さんについて語った『地に足がついていないファンタジーな存在(吾郎さんが)』というのも手伝ってはいると思いますが。

そしてそれぞれのキャラクターが活きている素晴らしさ。吾郎さんは後で感想を述べるとして、真飛さんは真飛さんらしく美しく、可愛らしく、でもミュージカルスターとしてツンとした部分も感じられて。北村さんは北村さんとして相変わらずパワフルに存在して、小倉さんはミュージカル初挑戦ではあるものの、豊富な舞台経験に素晴らしい間を駆使して笑いを提供してくださるし、福本さんは途中からの代役でしたのに冒頭からの台詞量でしたがさすがなクオリティでしたし、杉さんはあの細身の身体にどこにそんなエネルギーがと思うほどの声量をお持ちだし、まさに出演者全員が大人チャーミングでいっぱい笑って、ちょっぴり切なくて、それでも最後はほっこりと温かな気持ちになれるそんな素敵なミュージカルなのです。

 

吾郎さんに関して言えば、ミュージカルスターですから冒頭からの衣装が素晴らしい。特に某衣装に関してはまさに感嘆の声が思わず漏れてしまうほどの素晴らしさですが、他も吾郎さんの長い脚とか、キレイなスタイルの良さが十分に堪能できますので期待してお待ちください。ダンスもね、本当に美しいのですよ。SMAPとしてダンスは弄られやすい吾郎さんですが、改めて観ていただければそのスタイルを駆使したダンスの良さ、そして指先まで行き届いた所作の美しさを実感していただけるのではないかと。そう、長い脚とか(ウルサイ?)それにダンスではありませんが、演技中のとあるシーンで時間にするとさほど長くはないのですが吾郎さんの体幹の素晴らしさが感じられる場面があるのですよ。それを見ると吾郎さんのダンスで止めの美しさをよく感じるのも、きっとこの体幹トレーニングをした結果、背筋や太ももとかがね、細身でもがっちりとした筋肉で覆われているからこその止めの美しさなんじゃないかなと。だから早くその筋肉の美しさを披露していただかないと、世間が求める美への冒涜なんじゃないかとも感じるわけです……(そろそろ黙ろうか)

そして歌、もうこれは吾郎さんの唯一無二の美声が響きます。男性パートとして魅惑の低音を響かせるのになぜか透明感のある声、そして伸びやかに広がっていく声。今回は第三弾ということもあり、前回以上に難しい楽曲にも挑戦されていますが、しっかりと一音、一音丁寧に気持ちを込めて歌っている印象です。音楽はさほど詳しくはないんですが、絶対この人まだ歌の伸びしろがあると思いましたので、「恋と音楽」シリーズとしてはFINALとなってしまいましたが、これからもこういったミュージカルというか音楽劇に挑戦していってほしいと個人的には思います。

 

後ですね、佐山雅弘さん(Pf.)、仙波清彦さん(Perc.)、高橋香織さん(Vn.)、バカボン鈴木さん(B.)、三好“3吉”功郎(Gt.) らの生バンドの威力。日本屈指の奏者の素晴らしさはいうまでもありませんが、第三弾ともなれば奏者と役者も互いの呼吸もわかってくるのか、音楽が芝居を鼓舞し、芝居が音楽を煽るといった感じでまさに芝居と音楽が一体となり、盛り上げてくれます。ロックがねえ、格好いいんですよ!! それに開演15分前になりますと、彼らによるミニライブが始まるのです。これから芝居が始まるのだという気持ちの盛り上げに、そして素晴らしいジャズの音に、もしよろしければ早めに着席されて音楽そのものを堪能するのもこのお芝居ならではの楽しみではないでしょうか。

吾郎さんも含め、カンパニー全体を包む優しい雰囲気がそのまま舞台に出ていて、先ほども書きましたが観た後に優しい、幸せな気持ちになれる舞台だと思います。まだ観劇を迷っておられる方がいらっしゃいましたら、絶対とは言いませんが観て損はさせない舞台だと思いますので、2月13日(土)より始まる東京PARCO劇場をよろしければ観劇くださいませ。当日券は発売されますので。

 

チケットぴあ 当日券予約専用ダイヤル:0570-02-9998

ご希望公演日の当日:朝10:00~昼12:00まで受付

※但し2月22日(月)/ 3月7日(月)12:00開演の回は前日の13:00~15:00の受付となります。

◎ 当日券は上記の時間にお電話にてご予約ください。当日券販売整理番号をご案内いたします。

ご予約いただけた場合、開演1時間前までにご来場いただき、整理番号順にお並びください。整理番号順に開演1時間前より入場券を販売いたします。

● 当日券予約方法に関するお問合せ/チケットぴあ0570-02-9111(10:00~18:00)

                        【PARCO STAGE “恋と音楽FINAL - 時間劇場の奇跡 - ”】

 

後、パンフレットも吾郎さんの美しさは最早言うまでもありませんが、鈴木さん×佐山さん×吾郎さんの対談、そしてキャストの皆様による対談もカンパニーの雰囲気を感じるのに十分な内容にもなっています。舞台前に見るも良し、舞台後に改めて見て舞台を思い返すのも良しでオススメです。

 

 

 -蛇足-

今回の舞台に関しては、年が明けた2016年1月13日(水)にいきなりSMAPへの衝撃的なニュースが走った最中に稽古が行われ、そして事態は何の解決にも至らないまま、悪戯にマスコミが騒ぐだけ騒いだひと騒動の後で幕が開いてしまいました。メンバーがこの件で言及したのは木村くんが1月15日(金)の『木村拓哉のWhat's up SMAP!』で「ちゃんといつか自分の言葉で話せる時がきたら、自分の言葉でこのワッツでお話させていただきたいと思っております」と言及し、1月18日(月)の『SMAP×SMAP』にて衝撃的な生放送があったのみ。しかも、生放送では何を語っているのかもわからない状態で。メンバーの一人としても大変な時期に、このクオリティの舞台を提供するだけでも精神的に大変だったろうとは想像に難くありません。でも何気ない顔をして舞台の上に立ち、ファンが望むレベル以上のものを提供するのが稲垣吾郎という男の美学です。そういう稲垣吾郎だからこそ、ファンは惹かれるのです。

それに観劇したときに思ったのです。きっと観劇された方々も言葉にできない色んな気持ちをカーテンコールの吾郎さんに拍手としていっぱい、いっぱい送っているだろうなと。ただひたすら吾郎さんを自分たちがついているからと鼓舞したい気持ち、SMAPの一人である吾郎さんへ向けてグループを応援していきたい気持ち、その他諸々が一緒くたになり、芝居へのブラヴォーな気持ちはもちろんですが、最後のカーテンコールに込められているんじゃないかと。多分、それは我々が想像する以上に重く、息苦しいものかもしれません。それを百も承知の上でいつものにこやかな表情で「皆さんの思いは受け止めてますから」と言える吾郎さんに海のごとく懐の大きさを感じずにはいられません。おそらく毎公演ごとにその気持ちは吾郎さんへと向けられると思います。今、直接対面できるのは吾郎さん以外いませんから。きっとその胸中は嵐に見舞われ、荒れたときもあっただろうに、表でエンターテイメントな稲垣吾郎として存在する限りは凪いだままなのでしょう。今、ファンの多くが再放送を望み、要望しているNHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀 SMAPスぺシャル』にて語っていた吾郎さんの言葉を思い出します。

 

「人を否定することなく、自分の仕事に責任をもって、その仕事のメッセージを伝えていく人」

    『NHK / プロフェッショナル 仕事の流儀 SMAPスぺシャル』

 

きっと望まれた役に徹し、その役の持つメッセージを吾郎さんは伝えるために 舞台に立ち続けるでしょう。そして、舞台の上に立った結果、与えられる皆様の声援もどれだけ重かろうと受け止め、受け入れ、それを自身の糧として翌日以降の舞台に反映させてもいくのだと思えば、本当に稲垣吾郎という人物の持つ強さを感じずにはいられません。

ま、要は吾郎さんが好きだということですね。←え?