J事務所に公正取引委員会より注意喚起
その驚く速報が入ったのは2019年7月17日(水)20時59分のNHKで。
【速報 JUST IN 】元SMAP3人の出演に圧力か ジャニーズ事務所に注意 公取委 #nhk_news https://t.co/LRdzLcChzO
— NHKニュース (@nhk_news) July 17, 2019
と一報が入り、その直後に放送された「ニュースウォッチ9」でもトップニュースで取り上げ、突然の出来事にファンはもちろん、ネットでも一気に話題騒然となりました。そして、まずこの公正取引委員会による独占禁止法違反についてですが、
独占禁止法(どくせんきんしほう)または競争法(きょうそうほう)とは、資本主義の市場経済において、健全で公正な競争状態を維持するために独占的、協調的、あるいは競争方法として不公正な行動を防ぐことを目的とする法令の総称ないし法分野である。
2018年2月に公正取引委員会が芸能人などの個人事業者、フリーランスが労働基準法の適用外となっているため、独占禁止法を適用すると発表。
独占禁止法における違反事件に対しては、まずは職権探知や一般からの報告(申告)によって公正取引委員会の調査が入り、排除措置命令*1、警告*2、注意、打ち切りといった対応がなされます。今回はこの業界としては初の『違反行為の存在を疑うに足る証拠が得られないものの、違反につながるおそれがある行為がみられ、未然防止を図る観点から注意を行った』に該当します。
そしてこの公正取引委員会からの注意に関するNHKのニュース速報を受け、J事務所がリリースしたコメントは下記のとおり、
【2019年7月17日報道に関するご報告】
弊社が公正取引委員会より独占禁止法違反につながるおそれがあるとして注意を受けたとされる報道につきましてご報告申し上げます。
弊社がテレビ局に圧力などをかけた事実はなく、公正取引委員会からも独占禁止法違反行為があったとして行政処分や警告を受けたものでもありません。とはいえ、このような当局からの調査を受けたことは重く受け止め、今後は誤解を受けないように留意したいと思います。
多くの方がネット上でも指摘したように、この文章はレトリック交じりで、上にも説明しましたが公正取引委員会による独占禁止法違反への対応には「行政措置」と「警告」、そして「注意」の3種類があります。今回のJ事務所による公正取引委員会に対するリリースでは「行政措置」と「警告」を受けてはいないと強調、受けたはずの「注意」がぼやかされるような文章となっており、読む人によっては誤解を招く内容です。そしてこのニュースを民放各局がどのように取り上げたのかというと、
書きました。/テレビ各局は「ジャニーズ事務所を公取委が注意」をどう報じたか(てれびのスキマ) - Y!ニュース https://t.co/kvdcTaVAN9
— てれびのスキマ/戸部田 誠 (@u5u) July 19, 2019
上記が上手くまとまっていますので参照ください。ちなみに事務所タレントがMCを務めるTBSの“ビビット”では報道も一切取り扱わなかったそうで、この内容から察するにメディアによる忖度は間違いなくあるのだと言わざるを得ないのではないでしょうか。
その他関連報道
「吾郎ちゃんら元SMAP3人、なぜテレビに出ないの?」に公取委が判断 ジャニーズに注意https://t.co/UdlGYF1z5V
— 毎日新聞 (@mainichi) July 17, 2019
SMAP元メンバーの稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんへの対応をめぐり、ジャニーズ事務所を注意した公正取引委員会。背景には、2018年2月に有識者会議が出した報告書があります。https://t.co/JdJlHed265
— 日本経済新聞 電子版 (@nikkei) July 17, 2019
この件について、Yahoo!ニュースで記事を書きました。背景やこれまでの経緯を説明し、そして今後の課題についても言及しています。
— MATSUTANI Soichiro (@TRiCKPuSH) July 18, 2019
↓
ジャニーズに対する公取委の注意、その背景とこれまでの文脈とは──今後の注目はテレビ局の対応(松谷創一郎) - Y!ニュース https://t.co/ReusXhaghW
ERA(日本エンターテイナーライツ協会)として声明を出しました。
— 望月宣武Hiromu MOCHIZUKI (@166mochizuki) July 18, 2019
【声明】ジャニーズ事務所に対する公正取引委員会の注意について | 芸能人の権利を守る 日本エンターテイナーライツ協会 https://t.co/lDELkmzk4B
結局、ジャニーズ事務所の圧力があったのかどうかを巡って、ネット上で混乱が広がっていることを受けてハフポストで取材しました。
— 泉谷 由梨子(Ꙭ) ハフポスト (@IzutaniYuriko) July 18, 2019
公取委の「注意」って何なの?疑問に思った方は読んでみてください。#ジャニーズ事務所 #SMAP #新しい地図https://t.co/YeScFlxq7z
公正取引委員会が独占禁止法違反につながるおそれがあるとして #ジャニーズ事務所 を注意した問題。「SMAP元メンバーが関わっている場合は所属タレントは出演させられないと圧力をかけられた」民放テレビ局の関係者がこう証言していたことがわかりました。 #ニュースウオッチ9https://t.co/z5JABCZfwi pic.twitter.com/WUEosPWnxy
— ニュースウオッチ9 (@nhk_nw9) July 18, 2019
公取委が独禁法違反につながるおそれがあるとしてジャニーズ事務所を注意した問題で、民放テレビ局関係者が公取委に「ジャニーズ事務所に『SMAPの元メンバー3人が関わっている場合は所属タレントは出演させられない』と圧力をかけられた」と証言していたことがわかった。https://t.co/2NGIydaKH2
— NHK@首都圏 (@nhk_shutoken) July 18, 2019
「どんな世界にも忖度はあるんだと思います。でもそれを仕向けるようなことはあってはならない」
— ハフポスト日本版 (@HuffPostJapan) July 19, 2019
ジャニーズ事務所による元SMAPメンバー「 #新しい地図 」への圧力疑惑。
民放各社の報道が鈍い中、NHKニュースウオッチ9の有馬嘉男キャスターがこう踏み込みました。https://t.co/hQ6OizyeRv
【ジャニーズ「圧力疑惑」への対応に浮かぶ大疑問】 証拠の有無は問題ではなく解釈が甘すぎる#東洋経済オンラインhttps://t.co/4v8Lvs7eP0
— 東洋経済オンライン (@Toyokeizai) July 19, 2019
ジャニーズ事務所が公取委から注意を受けた問題で、日刊スポーツが不可解な報道をしています。空白の173分に何があったのか、元記者の立場で書きました。https://t.co/JfRR7pasfW
— 松田隆 (@DUby0p5UODEbNC6) July 18, 2019
ちなみに誤解をしてほしくないのですが、今回のこの公正取引委員会による独占禁止法違反に対する注意は飯島さんを含む彼ら側が仕掛けたものではないということです。上のほうにも説明していますが、一般からの報告(申告)や職権探知によって公正取引委員会が調査に入ったのは記事によると今年の春だそうです。さらに言えば、J事務所への「注意」は今月始めに行われており、この時期のニュースになったのは事務所側に社長が倒れ、お亡くなりになるなどいろいろあった結果かもしれません。
『スッキリ』で語られた加藤浩次さんが言うとおり、この業界には古くから暗黙の了解が存在しており、その結果、多くの芸能人の方々が突然、表舞台から消えていくのを何度となく視聴者も見て、察してきました。だから今回のニュース速報に驚きはないし、何を今さらといった思いを抱く方も多いでしょう。吾郎さん、剛くん、慎吾くんの3人はかつてJ事務所の庇護下にあり、その恩恵を受けていました。さらに言えば、新しい地図社長であり、J事務所で彼らのマネージャーだった飯島さんがその強権側にあり、その力を揮っていたことだってあっただろうとも思いますが、今回、彼らの名前が上がったのをきっかけに、彼らだけでなく、これまで、そしてこれから活動していく人たちが不当な扱いを受けることなく、活動できる環境作りが出来ることを望みます。時には本名で活動をしていたために、本名すら取り上げられてしまうだなんて普通ではありませんし、決して受け入れられることではありません。
さらに言えば、事務所は圧力をかけたかもしれませんが、それを過剰に受け入れ、忖度したテレビ局側にも多大な問題があると思っています。今、テレビというメディアは過渡期に来ています。多くの視聴者はテレビに対する期待を捨て、ネットなど新しい環境へと移行しつつあります。かつてテレビは楽しいものでした。今回の動きを受け、テレビ局側がどう変わっていくのか。事務所もテレビ局側も危機管理能力をこれからどう発揮していき、ファンを、そして視聴者を楽しませるのか、改めて注目していきたいと思います。
もちろん、今回のニュースを受け、一朝一夕で事態が改善されるとは思っていません。むしろこれから始まっていくでしょうし、これからが大事にもなっていくと思います。
ファンとして事態に注目しつつ、さらに頑張っていくだろう吾郎さん、剛くん、慎吾くんらを応援する、ただそれだけだと感じています。
参照資料(パンフレット/PDF)