【考える葦】

某男性アイドルグループ全活動期メンバーで、左利きな彼(稲垣吾郎)を愛でる会

『文豪お墓まいり記』と『ゴロウ・デラックス』

2019年3月7日放送の『ゴロウ・デラックス』第335回目は雑司ヶ谷霊園からお送ります。というのも、今回のゲストが日本を代表する文豪たちのお墓を巡ったエッセイを書き話題に。ということで、今回のゲストは作家の山崎ナオコーラさん(40歳)
山崎さんは2004年のデビュー作『人のセックスを笑うな』が芥川賞にノミネート。 

人のセックスを笑うな (河出文庫)

人のセックスを笑うな (河出文庫)

 

その後も4作品で芥川賞にノミネート。エッセイにも定評ある女流作家さんなのです。実は吾郎さんとは初対面というわけではなく、西加奈子さんとお友達の山崎さんはお花見の席などで吾郎さんとお会いしたことはあるのだとか。でも、そのときは遠巻きに見ていただけで、実際にお話するのは今回が初めてなのだそうです。
というわけで、今回の課題図書は、 

文豪お墓まいり記

文豪お墓まいり記

 

 26人の文豪のお墓参りを行い、感じたことや作品への思いを綴ったエッセイ集。読んだ吾郎さんと外山さんは面白かったと。そしてまだ読んだことのない作家さんもいるので、読んでみたいいうきっかけにもなったと。ではなぜその文豪のお墓参りを書こうと思ったのか、そのきっかけの部分を吾郎さんが朗読します(お墓の前でw)

 

吾郎:「永井荷風(先輩作家)と谷崎純一郎(後輩作家)は七歳差です。
谷崎は少年時代から荷風の小説に憧れていたので、デビューしたとき、先輩作家である荷風から自分の小説を褒めてもらえたことが嬉しくてたまりませんでした。
それから月日が過ぎて、第二次世界大戦が始まります。
そんな二人が、疎開先の岡山で、再会します。
谷崎の仮住まいに、荷風が食事をしに来るのです。
一九四五年八月十四日のこと、終戦の前日でした。
ただ、明日終戦を迎えるなんて、本人たちも、周囲の人たちも知りません。
だから、肉を食べるなんていう贅沢は、白い目で見られる行為です。
でも、
「憧れの作家が来る」
「恩を感じているので、敬意を持って迎えたい」
と谷崎は高揚し、背間よりも自分の気持ちを優先します。
谷崎に財力はあるとはいえども、当時はなかなか手に入れにくかった牛肉を手に入れ、すき焼きでもてなします。
…………このように、文豪たちは互いに関わりながら生きていました。
今は、お墓の中にいます。
時代が違うので、実際には関われませんが、お墓には行けます。
現代の作家が、昔の作家に会いにいきます

 

デビューした当時は自分の本を売らなきゃとか、賞を獲らなきゃと思っていましたが、年を重ねてくると文学全体の大きな流れというか、日本文学史を続けていくための大きな仕事の一助になれば十分なのかもしれないと思うようになった山崎さん。
今回訪れた東京都豊島区にある「雑司ヶ谷霊園」で本に書かれてある文豪たちのお墓参りに行きたいと思います。 まずは永井荷風さんのお墓に向かったところ、何やら見かけたことのあるおじさんの姿がw “ぼくの好きなおじさんだ”ということで、元々『ゴロウ・デラックス』では「ハコのお墓参り ~文豪たちの魂をたずねて~」で文豪に詳しいハコちゃんこと、作家の岩下尚史さんがお墓参りをするコーナーがあったのです。
そんな岩下さんが思うお墓参りの魅力は何かと尋ねられると、若いときに永井荷風随筆を読んでいたときに江戸時代から「掃墓の風雅」というのがあり、個人のお墓を尋ねて、苔を払って先人たちを偲ぶ。金も要らないし、気も使わなくてもいいので、自分のようにだけあってのないやつには一番いい趣味だ、と。 

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まずご紹介するのが巣鴨駅の慈眼寺にある「羅生門」や「地獄変」など数々の名著を残した芥川龍之介 のお墓。

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三鷹駅禅林寺では「斜陽」や「人間失格」 などで知られる太宰治

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四ツ谷駅青山霊園には随筆「武蔵野」を残し、39歳という若さで亡くなった国木田独歩
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◆文豪・永井荷風のお墓参り

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永井荷風明治12年~昭和34年)
明治から昭和にかけて活躍。代表作は小説「濹東(ぼくとう)綺譚」や日記「摘録 断腸亭日乗〈上〉」など。谷崎潤一郎の才能を見出した人としても知られています。

 

左にあるお墓はお父様ので、関東大震災で倒れて欠けてしまっています。実は戦前、お墓は一人につき一つだったのだそうです。

ちなみに作家のお二人から見た永井荷風とはどんな方なのかというと、

f:id:kei561208:20180621012743p:plain 山崎ナオコーラ:「断腸亭日乗」をずっと書き綴っていて、作家の仕事は小説だ、芸術だってことをやるだけでなく、毎日を丁寧に生きたり、ただそのことを書き綴るだけでも作家の仕事と言えるんだなと学んだ。うっとりするような文章は憧れる。

f:id:kei561208:20180621012743p:plain 岩下尚史放蕩息子なんですよね。お父様は日本郵政の重役で、実業家でお金持ちで、お金のために文学をやった人ではない。我々が荷風先生の文学を享受できるのはお父様のおかげなんです。お金のことを考えないで書くというのが本当なんだろうなと(だから私には8億円が必要だとw)

そんな永井荷風は毎年、お父様の命日である1月2日にはお墓参りに必ずやってくるため、お父様との関係を大事にしていたのかもしれません。そして4人でお墓参りを済ませ、もう一人の文豪、夏目漱石のお墓に足を運びます。

その道中、自分はどんなお墓にしたいかという話題となり、吾郎さんは「何かタージマハルみたいな」というのは冗談として、実はこっそりひっそりしていたいので完全個室みたいな、そしてお花に囲まれていたいなと実にらしい答えが。そしてその道中で竹久夢二のお墓を発見。

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浴衣の斬新な模様から日本におけるグラフィックデザインの草分け的存在と言われています。またこの雑司ヶ谷霊園には歴史に名を遺した著名人がたくさん眠っています。

 

 遭難を機に鎖国中の日本でアメリカに渡り、海外の文化を広めたジョン万次郎
「ちいさい秋みつけた」や「うれしいひなまつり」など数々の童謡の作詞を手がけたサトウハチロー
欧米に日本文化を紹介する著書を数多く残したギリシャ生まれの小説家・小泉八雲
尾崎紅葉の門下生であり、幻想文学の先駆者と評される泉鏡花
                            etc、etc

 

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墓石の高さは2メートル以上、霊園の中でもひときわ大きいお墓です。その墓石には 「文献院古道漱石居士(古き道を訪ねる漱石は文を捧げる)」という戒名が刻まれています。ちなみに左側に見える小さいお墓は夏目家のお墓だそうですw 形も変わっていますが、これは安楽椅子をイメージ。

漱石の小説「こころ」にもこの雑司ヶ谷霊園でお墓参りをする場面が出てくるという話から岩下さんが「こころ」は面白いですかと尋ねたところ、“男性同士の関係の描写がすごく上手くて、嫉妬だとか憧れだとかのない混ぜの友情が私が読んで憧れる感情がある”と山崎さん。その言葉を受けて岩下さんが「男性同士の付き合いの中でも今で思うと色恋的なこと。友情恋愛ってあんまり差はなかった。ね、吾郎さん💕」

そして夏目漱石のお墓参りに来たので、彼のゆかりのあるお店にいくことに。ただ岩下さんはここでお別れ。そのお店は東京・神田にある洋食店『松榮亭』

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こちらは明治40年創業で、今年で111年目となるお店で、初代の岩吉さんは東京帝国大学夏目漱石が講義を受けていたケーベル先生のハウスコックをされており、“何か変わったものが食べたい”という漱石のオーダーを受けて考えられたのが「洋風かきあげ」
当時からとか作り方一切変えず、今なお愛され続ける料理がこちら。

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豚肉とタマネギを卵と小麦粉で包んだ百年以上前に作られた一品。見た目はスペイン風オムレツですがふわふわと優しい味がするそうで、皆さん、食べたことがない味だと。またこれを夏目漱石が食べたと思うとありがたいとと山崎さんが言えば、僕は漱石のこと全く忘れていましたと吾郎さんw

 

f:id:kei561208:20180622175426p:plain 山崎ナオコーラさん宅の本棚

ちなみに順番が入れ替わってしまいましたが、料理が届くまでの間、山崎さんのご自宅にある本棚を撮ってきたものを確認。分類ごとに分けたりと、ここ最近ではあまり見ないほど整理整頓がきちんとされていた本棚でした。

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f:id:kei561208:20180622175426p:plain 山田くんの消しゴムハンコ 

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f:id:kei561208:20180622175426p:plain Book Bang 

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