【考える葦】

某男性アイドルグループ全活動期メンバーで、左利きな彼(稲垣吾郎)を愛でる会

『人騒がせな名画たち』と『ゴロウ・デラックス』

2018年12月13日放送の『ゴロウ・デラックス』第325回目のゲストは、2度目の出演となる木村泰司さん(52歳)

今、東京上野ではフェルメールルーベンスムンクと西洋絵画の巨匠たちの作品が集結。空前の美術館ブームが巻き起こっている。中でも国立西洋美術館で開催中の『ルーベンス展 -バロックの誕生』では、国内では過去最高規模の展覧会として話題沸騰中。

 

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日本ではアニメ「フランダースの犬」でネロが憧れてた画家として有名なルーベンス

 

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実はルノワールドラクロワなど、後世の巨匠たちにも多大なる影響を与えたなど、西洋美術を語る上で避けては通れないほどの人物だったのです。というわけで、今回はルーベンスを通じて、西洋美術をもっと楽しむ方法を木村さんに教えていただきます。

まずは4Kシアターにて「フランダースの犬」のラストシーンでもおなじみな、ベルギーのアントウェルペン聖母大聖堂の映像がお出迎え。というわけで今回の課題図書は、

 

人騒がせな名画たち

人騒がせな名画たち

 

 

誰もが知る名画の裏側にある時代背景や驚きのエピソードが詰まった1冊。まずは今夜のテーマでもある部分を吾郎さんが朗読。

 

吾郎「西洋絵画を本当の意味で「楽しむためには、この「裏」を知らなければ始まりません。
そしてその「裏」を知るには、その土台となる知識が必要です。
つまり「絵画を読む」ための知識です。
西洋絵画は長年にわたり教義や物語、そして倫理観や思想など、さまざまなメッセージを伝えるための手段でした。
そのため、伝統的に感性に訴えるよりも、理性に訴える事を重視してきました。
つまり、「美術は見るものではなく読むもの」なのです

 

19世紀後半より絵画は個人的なものになっていくため、そうやって感覚に訴えていくことはいいのですが、それ以前の西洋美術は聖書や神話を主題として「歴史画」が発展していたために読むことが当たり前だったのです。

 

f:id:kei561208:20180622175426p:plain ルーベンスはスーパースターだった

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ちなみにこの自画像はチャールズ1世がまだ王太子だったころにプレゼントしたため、オリジナルはイギリス王室にあるそうです。当時のスター画家は、今の芸能界でいうスーパースターみたいな感じでした。さらにいえば、当時のルーベンスは名声がヨーロッパ中に轟くほどの国際的に有名な画家でしたので、ポール・マッカートニーレディ・ガガのような存在だったのです。

 

f:id:kei561208:20180622175426p:plain ルーベンスは子煩悩だった!

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上にある自画像にあるように、普通、肖像画というのは斜めの構図なのに対し、子どもの肖像画は正面の構図。つまりはルーベンスがプライベートで子どもの成長を残したいと考えられている。また「幼児イエスと洗礼者聖ヨハネ(1625年~1628年)」のイエスのモデルは息子・ニコラースにしている。当時は絵にタイトルがなく、けれど、どういったものが描かれているかによって誰が描かれているかがわかるようになっているのです。例えば

 

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らくだの毛皮を着て、子羊とともに描かれているために左側の人物は聖ヨハネであることがわかるのです。そして右側の人物は子羊に手を置いているため、イエス・キリストが犠牲になることを暗示しているのです。

子だくさんだったルーベンスは32歳で結婚したイサベラとは3人の子どもをもうけ、死別後の53歳で再婚した2人目の妻・エレーヌとの間には5人の子どもが。ルーベンスが亡くなった(痛風)ときに、8人目の子どもはまだエレーヌのお腹の中にいたのそう。

 

f:id:kei561208:20180622175426p:plain ルーベンスは教養人だった

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ルーベンスは哲学にも精通し、古代ローマの哲学者・セネカを尊敬していたそうです。この絵から何がわかるのか、解説の部分を外山さんが朗読します。

 

外山セネカは水を張ったブロンズのたらいの中に立ち、一人の弟子らしき青年がセネカの最期の言葉を書き取っています。
右手にはセネカの血管を切っている医師が描かれています。
背後では皇帝ネロが遣わした兵士たちが、セネカの自害を見届けようとしています。
古代ローマの歴史家タキトゥスによると、セネカは自分で血管を切ったのですが、ここではルーベンスはあえて医師に切らせているのです。
セネカルーベンスにとって尊敬の対象でした。
ルーベンスや当時の人文主義者たちにとって、この古代ローマの哲学者は敬意の対象だったのです。
また、敬虔なカトリック信者であったルーベンスらしく、キリスト教で禁じられている自殺の罪からセネカを救おうという気持ちも表されています。
その結果がこの史実と違ったセネカ最期の場面の描写になっているのでした
 

 

このリアルな描写は古代ローマの彫刻をモデルとしているそうで、そのモデルとなった彫刻は実はルーベンスが亡くなった後、セネカではないのではと言われるようになったのだとか。また『瀕死のセネカ』というポーズを参考にしたものの、実は今ではその彫刻はアフリカ人の漁夫と考えられているのだとか。そして西洋美術ではよく裸体が描かれているものの、体毛が描かれていないのは、古代ギリシア彫刻がお手本だったからで、古代ギリシア人は体毛が薄い男性が美しいと見なしていたからなのでした。ただし、彫刻の場合はアンダーヘアは表現しています。

 

f:id:kei561208:20180622175426p:plain ルーベンスバロックの巨匠だった!

バロックとはルーベンスが活躍した17世紀ヨーロッパで発展した芸術や文化の様式。背景には、16世紀の宗教改革をきっかけに始まったカトリックプロテスタントの対立があります。プロテスタントでは宗教美術をモーゼの十戒で禁じた偶像崇拝にあたるとして否定、しかしカトリック伝統的に聖書の教えを伝える手段として推進。いわば、目で見る聖書として発展したのがバロック美術。人々の宗教心を高めるため、より感覚的でドラマティックな表現が特徴。そのためサイズが大きいほうが効果的なのです。

 

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聖なる知恵を表す青い衣装を着ているのがマリア様で、イエス・キリストの目を閉ざし、茨の冠を被らされていたために刺さった棘を抜いており、一番右で天を仰いで泣いているブロンドの女性がマグダラのマリア、キリストに従った女性です。そしてその隣には同じテーマで10年前に描かれた作品が、

 

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描かれている人物もほぼ同じなのですが、やはり完成度は10年後のほうが高く、同じ人が描いたとは思えないほどです。実は17世紀初めのベルギーはプロテスタントによる宗教美術の破壊を受カトリック教会による宗教美術復興運動が起こりルーベンスの元にたくさんの依頼が入り、その結果、完成度が高まっていくのです。

 

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こちらの作品は後世に多くの手が入ってしまったため、ルーベンスらしさが損なわれてしまったものの、「アトリビュート」 といって人物や物を象徴する特徴や持ち物が描かれており、片方の足元では骸骨を踏みつけて死への勝利が描かれており、もう片方の足元でヘビを踏みつけ、罪への勝利を描いています。そして手にしている白地に赤の旗は復活の印であり、天使が持つトランペットは復活の合図と宗教画は読めるのです。

 

f:id:kei561208:20180622175426p:plain ルーベンスは敏腕ビジネスマンだった!

大量の依頼を受けていたルーベンスですが、大工房を持っており、何名かのスタッフを抱えていました。王族のようなお客様は「顔は全員ルーベンスが描くように」という契約を交わしていたのだとか。版画も制作し、本の表紙もデザインしたり、まさに株式会社ルーベンススーパースターだったのです。

 

f:id:kei561208:20180622175426p:plain 大工房での制作過程がわかる作品も!

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ちなみにこの2人の間に生まれたのが、のちのローマの建国者であるロムルスとレムスなのだという。そしてその隣には同じ構図ですがサイズがぐっと小さいモデッロ(雛型)と呼ばれる油彩スケッチがあり、ルーベンスはこのモデッロをまず描き、それを基に工房で大規模な作品に仕上げていくのです。モデッロはすべてルーベンスの手によって描かれるため、見比べると絵柄が違うのがわかります。

 

f:id:kei561208:20180622175426p:plain ルーベンスは外交官としても活躍

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画家として確立し、描けることが描けるようになった晩年には、「ヴィーナス、マルスとキューピッド(1630年代初めから半ば)」といった平和をテーマにした作品も多く残している。ルーベンスは外交官をしていたこともあり、戦争平和をテーマにした作品も多く、先ほどの「ヴィーナス、マルスとキューピッド」ではプット―が軍神マルスの鎧の留め具を外すようにしており、戦争に行くのではなく「戦いよりもを」というメッセージが込められている。

 

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こういった作品は寓像画と呼ばれ、象徴などを組み合わせメッセージを暗示的に表現、画家にも解釈する側にも高い教養が必要とされている。つまり、絵としてただ観るだけでももちろん楽しいのですが、もっともっと勉強することで絵画に込められたメッセージを読み取ることが出来るようになり、さらに深く絵画を楽しむことが出来るのです。それが西洋美術史だと木村さんは言います。

 

f:id:kei561208:20180622175426p:plain 山田くんの消しゴムハンコ

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