【考える葦】

某男性アイドルグループ全活動期メンバーで、左利きな彼(稲垣吾郎)を愛でる会

『一発屋芸人列伝』と『ゴロウ・デラックス』《後編》

2018年7月19日放送の『ゴロウ・デラックス』第306回目のゲストは、先週に引き続き“雑誌ジャーナリズム賞”を受賞したお笑い芸人・髭男爵山田ルイ53世さん(43歳)

というわけで、今回の課題図書も、 

 

一発屋芸人列伝

一発屋芸人列伝

 

 

f:id:kei561208:20180621012743p:plain SNSを駆使した新世代<ジョイマン>

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ジョイマンはご存じですかと尋ねられ、少々自信なさげに「ナナナナー♪」と答えてみるものの、若干音程が違うと指摘されてしまう吾郎さん。どうやらベートーヴェンが身体の中に残っているようで(冬に舞台やるんで)運命の音程になっていますw

今から10年前の2008年の出来事といえば、北京オリンピックでのアスリートたちの活躍に日本中が湧き、スマホ拡大のきっかけとなったiPhone3Gが日本の初上陸。お笑いかいはというと山田ルイ53世さんの髭男爵を始め、「グゥ~♪」でお馴染みのエド・はるみさん、3のつく数字の世界のナベアツさん、杵と臼を使った餅つきスタイルのクールポコ。さんといった数々のお笑い芸人たちのギャグが流行。そんな中、意味のわからない韻を踏みながら繰り出す"脱力系ラップ"で一世を風靡したジョイマン

▶ジョイマンのSNS活動:SNSで生存確認

エゴサーチをして、「ジョイマン消えた」「ジョイマン死んだ」「ジョイマンどこにいる?いないな」という呟きを山ほど見つけたジョイマンの高木さんは、たまたまその日はお酒が入っていたのか、驚かそうというテンションで「ここにいるよ」という返信をしたそうです。ご本人の予想とは違い、驚くというリアクションもなく、「結局、お前ヒマだな!」みたいな感じになってしまい、その日は傷ついてしまったものの、翌日以降も「ジョイマン消えた」という呟きすべてに「ここにいるよ」「生きてるよ」「消えてないよ」と返信をし始めた結果、SNSで話題となり、今は逆に高木さんからの返信がもらいたいがためにわざと呟くような人たちもいるのだとか。

 

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そのおかげで今では承認待ちがズラリと並んでいるような状況で、お仕事もちょっと盛り返したのだとか。

▶ジョイマンのSNS活動:客ゼロシリーズ

以前にジョイマンのお二人でサイン会を開いたところ(吾郎さん予想に思わずニヤリと笑ってしまう)、 お客様は1人も来ず。誇張でも何でもなく、本当に客ゼロだったと。

 

 

 

 

これを見た吾郎さんが「一発」以降でもここまで「客ゼロ」なるんだと確認すれば、しみじみと山田さんもなりますと答え、 これが"一発"の底なし沼なのだと。これもしかしたら新人とか、売れる前の方「客ゼロ」はないのかもしれないと吾郎さん。実際、名前が浸透している分、誰が来る? ジョイマンか……じゃあ、いいや。となってしまうらしく、山田さん自身も「今日、地元のショッピングモールに髭男爵が来てるの前通ったわ、見たわ。まあ、私はスルーだけど」髭男爵をスルーすることで自分のコミュニティでの地位を上げようとする人もいると。Twitterではそういう心模様も読めますよねと吾郎さん。

ただ山田さん曰く、ジョイマンさんは心が軽いというか、そういう「客ゼロ」の状況で普通ならかなり落ち込むところを受け入れるのが凄いと。普通、そういうことを公にしてしまうとイベンターの方にジョイマンは集客力がないと判断され、イベントに呼んでもらえなくなる可能性があるのに、それよりも面白さが勝ったからSNSに出してしまう。ある意味、彼らは真の芸人さんなのかもしれません。

 

f:id:kei561208:20180621012743p:plain 一発屋界の発明家<ムーディ勝山

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今から11年前の2007年の出来事といえば、お笑いの世界から政治の世界に転身した東国原英夫さんが宮崎県知事に就任、宮崎県産のマンゴーなどが全国的にブームとなり、当時高校生だった男子プロゴルファーの石川遼選手の「ハニカミ王子」流行語大賞に選ばれ一躍スターに。またお笑い界でも小島よしおさんの「そんなの関係ねえ」が空前のブーム。後に切手デザインに選ばれるほどの社会現象に。そしてこの年にブレイクしたのが、

 


再ブレイク中!? 「右から来たものを左へ受け流すの歌」

 

右から来たものを左に受け流すと"ムード歌謡"でブレイクしたムーディ勝山さん。そのムーディ勝山さんは発明を色々されているのだとか。

▶発明その①一発屋芸人の自虐トーク

以前であれば一発屋のブームを終えた後にテレビに呼ばれても、「最近、おまえヒマやろ」「いやいや、そんなことないです。勘弁してくださいよ」といったやり取りだけで終わっていたものが、「家族に仕事がないとバレたくないから、仕事に行くフリをして公園で鳩にエサをあげている」と仕上がった自虐的な漫談を披露し始めたのがムーディ勝山さんで、話し始めたのを見た仲間たちが、そういうやり方もあるのだと同じように自虐トークをし始めたと。

▶発明その②ロケバス*1の運転手

フットボールアワー後藤輝基さんがノリで仲良しグループの皆と旅行に行くときにマイクロバスがあると便利だから、「誰か免許取りいや、あんなの運転出来たら面白いやろ」という話が出たときに、まだ名前も知られていない後輩たちより知名度のある自分がやったほうが面白いんじゃないかと手を上げて中型免許を取得。ネタで「ロケバスの運転手になりました」と披露したところ、露出も増えたと。そして事件が起こります。

 

 

そう2008年に下ネタと詩吟を融合させた"エロ詩吟"でブレイクした天津・木村さん。 彼とムーディー勝山さんによる、一発屋界を騒然とさせた「バスジャック事件」が始まるのです。

 

f:id:kei561208:20180622175426p:plain ムーディ勝山 vs 天津・木村"バスジャック事件"

ロケバスの運転手というネタはムーディ勝山さんが最初に始めたものの、ある日、ムーディさんの元に天津・木村(先輩)さんより「俺もロケバスの運転手やっていいか?」と連絡が入ります。ムーディさんは釈然としない気持ちはあったものの先輩ですし、そのときは「ロケバスの運転手」という言い方はしないでくれとくぎを刺してOKを出します。実はムーディさんが取得した中型免許、ロケバスを運転することは出来るものの、商業目的で客を乗せて運転は出来ないのです。つまりムーディさんの中型免許は本来の目的とする「ロケバスの運転手」は出来ないのですが、それを面白さにあえて表現する形を取っていたのです。そうなると面白くないのが天津・木村さん。それがネタとして面白さには繋がらず、でもどうしても「ロケバスの運転手」という表現を使いたいがために、とうとう本物のロケバスの運転をする会社に就職をしようとして、実際に就職。さらに業務で運転できるようわざわざ秋田県の教習所まで通って大型二種免許を取得。そして「僕もガチのロケバスの運転手になりました」と言い始めたのです。実際に働いている姿がこちら↓

 

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げ、芸人らしさ一切なしw ただ若干反則気味ではありますが、ネタのためにここまで出来る木村さんもまた凄いと山田さん。面白いと思ったネタ話題に対する執念、だからここそムーディさんも天津・木村さんのそれを許したのだとか。

いやあ、色々あるねえと感嘆し、会ってみたいと語る吾郎さんに、こんなに稲垣さんに一発屋のことを説明できて良かった、嬉しいと山田さん。そんな自らも一発屋であり、今回の執筆で数々の一発屋と向き合った山田ルイ53世さんがこの作品にかけた思いの部分を外山さんが朗読。

 

外山:本書にに最後までお付き合い頂いた皆さんに、一つお願いがある。

記憶の玩具箱、そこに詰め込まれた一発屋達を、「消えた」、「死んだ」と捨て去る前に、もう一度、目次のページを眺めて欲しい。

(中略)

ズラリと並んだ芸人達の名が諸君の目に未だ、戦没者リスト、あるいは、墓標のように映るのであれば、それは筆者の力不足。
潔く諦め、降参しよう。
しかし、もしそうでないのなら……グラスを酒で満たし、祝杯を挙げさせて頂く。
手前味噌で申し訳ないが、勿論、乾杯の発声は、
ルネッサーンス!!!」
フランス語で「再生」と「復活」を意味する言葉である。
掲げられた杯は、彼ら一発屋の復活の狼煙、再生の幕開けとなるだろう。

一発屋芸人列伝』より一部抜粋

 

吾郎さんも外山さんも一章一章、最後の何行かがすごく心に響くとのコメントに喜ぶ山田さん。「テレビを観ていらっしゃる方も人生の中で"一発"はあったと思うんですよ。飛び込みで営業がとれたとか、駆けっこで1位をとれたとか。この本に載っている芸人の方たちもそうですけど、大きな"一発"があってもそこで人生は終わらない。そこからずっと続いていく。その人生で良いこと、悪いことあると思うんですけれども、毎日生き続けていくんだと。そこを何か響けばいいなと思います」その山田さんの言葉に共感する人は多いと思うと吾郎さんは言います。人生は常に勝ち続けることは出来ないので、波はあるでしょうし、さらにはそんな「消えた」「死んだ」とかTwitterで打っているヒマがあるならこの本を読んで!とちょっと外山さんお怒り気味w

ここまで取材してきた山田さんに対し、吾郎さんはこれからも書き続けてくださいと語りかけました。 

 

f:id:kei561208:20180622175426p:plain 山田くんの消しゴムハンコ

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吾郎さんの山田くんはまだタレントしてるの?という質問に、もうしていない、ハンコ彫ってるだけという……何しろ、今回の台本で山田という名前がいっぱいあり、今回出演多いなと思ってみたら、山田ルイ53世さんだったというw

そして最後には皆で「再生」と「復活」を願い、ルネッサーンス!!!』と祝杯。 

 

f:id:kei561208:20180622175426p:plain ご本人Twitter

 

 

 

 

f:id:kei561208:20180622175426p:plain Book Bang記事

www.bookbang.jp

*1:映画やテレビ撮影などで、スタッフの移動や機材などを運ぶ場合に使う車両のことで、撮影中のタレントさんのヘアメイクや着替え、待機場所として使われることも