『屍人荘の殺人』と『ゴロウ・デラックス』
2018年5月3日放送の『ゴロウ・デラックス』第295回目のゲストは、大御所のミステリー作家さんたちも大絶賛していた、今もっとも注目されているミステリー作家の今村昌弘さん(33歳)
- 作者: エドガー・アラン・ポー,横田美晴,Edgar Allan Poe,金原瑞人
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2002/08/20
- メディア: 単行本
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1841年に始まったと言われる、犯罪をテーマとして扱う推理小説
昨年デビューし、「このミステリーがすごい!2018年版」、「週刊文春 ミステリーベスト10」、「2018 本格ミステリ・ベスト10」と20年以上も続く日本で主なミステリーランキングで3冠を達成。これは2005年の東野圭吾さんの「容疑者Xの献身 」以来と13年ぶり。そしてデビュー作での3冠は史上初!の快挙。ミステリー界の大御所たちも大絶賛。
▶綾辻行人(館シリーズ)
「話題の特殊設定と「端正な本格」とのたいへん良いバランスでの融合」
▶有栖川有栖(学生アリスシリーズ)
「ここ数年来、本格ミステリが新たな時代に入ったことを感じていた。
ついに新・新本格の「目玉」に入った」
ちなみに、部屋で1人で読んでいて怖くなったという吾郎さん。そんな吾郎さんが怖くなった本が今夜の課題図書、
ある映画研究部の合宿で別荘に男女14人が集まる。するとその近くのフェスでテロが発生、混乱の中、別荘内では不可解な殺人が起こる。2つの事件が重なるとき、想像し得ない事態へと発展する新感覚ミステリーだ。そんな「屍人荘の殺人」がなぜそこまで評かされるのか、ネタバレギリギリまで迫ります。
①これまでミステリ界に存在しなかった新しいシチュエーション
ミステリ界の人気あるシチュエーションの一つであるクローズド・サークル*1の始まりと言われているのが1939年、ミステリーの女王、アガサ・クリスティによる謎の主から招待状を貰い、孤島に集まった10人が1人ずつ殺されていくという世界的に大ヒットした作品、
これがクローズド・サークルのきっかけと言われています。以降、様々な著書が80年にわたりクローズド・サークルを描き、最早、ネタは出尽くしたとさえ言われていました。そんな中、今村さんが新しく作り出した状況とは……今回、特別に屍人荘を再現し、新しいクローズド・サークルを吾郎さんらが体験することに。
今村流クローズド・サークル
館の中で殺人が起こるものの、①外に「恐ろしい何か」がいて、②外から「助けが来ない」状況で、その何かによって③外と「連絡が取れない」ことになれば、たとえ鍵がかかっていなくてもある種のクローズド・サークルが出来上がります。そんな状況下で最初に起こる殺人事件について外山さんが朗読。
菅野はマスターキーをスロットに挿し込んだ。
ピッという音がして鍵が開く。
ゆっくりとドアを開けた。
その瞬間、嫌な臭気が鼻をついた。
「ううっ……」
中を覗き込んだ菅野が呻く。
彼の背中越しに、誰も予想しなかった光景が広がっていた。
床に撒き散らかされ、天井にまで飛び散った血。
散乱した肉片。
開け放たれた窓からベランダに乗り出すようにして、ボロ雑巾のように喰い荒らされて見る影もなくなった進藤の死体が倒れていた。
血は至るところに飛び散っているが、室内はさほど荒れていない。
すぐ左手の壁には進藤が持ち帰った長剣が立てかけられている。
進藤は逃げようとしたのかベランダの窓は外に向かって開け放たれ、足跡というほど明確な形ではないが何者かが歩いたような血の跡がベランダの外へと続き、手すりにもべったりと付いていた」
「恐ろしい何か」に囲まれた建物で密室殺人が起こるという二重密室がこの作品で評価されているポイントなのです。
②誰にでも分かるミステリ
今村さん自身はあまりミステリにどっぷり漬かってきた人間ではなかったものの、物を書くようになってからミステリを勉強したら、本格ミステリというジャンルがすごく面白く感じたそうです。ただ、自分が面白く感じるほど世間は本格ミステリに興味を抱いていないように感じ、初めて本格ミステリを読む人、読書の趣味がなかった人にも読みやすくなるような作品にしようと心がけたそうです。
例えば、登場人物を覚えられるように作品の中であえて登場人物の名前と外見、特徴をおさらいするシーンを入れてみたり、ミステリの専門用語を丁寧に説明するブロックなど、誰にでも分かるミステリを目指しところも評価されているポイント。
「分かりやすさ」「読みやすさ」を今村さんが重視するのは、前職が関係しており、実は岡山大学医学部を卒業した後、29歳まで診療放射線技師*2という経歴を持つ今村さん。昔から読書は好きだったものの、雑多なジャンルに手を伸ばす子どもだったため、ミステリを書こうとしたときも分析した結果、「理系」の考えを活かした独特なものになったのです。というわけで今回は神戸にある今村さんのご自宅に伺い、推理小説の書き方を解説していただくことに
ミステリの作り方
部屋には大量のミステリ本とミステリのハウツー本が。仕事を辞めて執筆に入ろうとしたときに、ミステリの作りを知っておかねばと、実際には達しませんでしたが月に100冊を目標に読み始めた今村さん。その中でも特に影響を受けた作品が、
ミステリとは別に宝探しの要素がストーリーとして1つ通っているところが『屍人荘』にも影響したそうです。他にも、
ミステリ界の大御所、綾辻行人先生の著書を参考に、ノートに物語を読みながら何章に何が起こっているかを書き出し、手掛かりの隠し方を分析していた今村さん。『屍人荘の殺人』を書くときに構成を重要視していた今村さんは、分析した結果を自身の作品にも生かしたそうです。そして物語を書く前にノートに何章のときにどんな出来事を起こすのか、すべて書き上げた後に何ページに何が起こっているかもチェックして、増やすべきところ、減らすべきところも分析、修正していったのです。もちろん、そのとおりにはなかなかいかず、最初の事件が起こるまでにかなりのページ数を費やしてしまい、後でエピソードを慌てて削ったそうです。そんな今村さんの分析は書き終えた後も止まらず、ノートに書き終えた作品を見返し、自分の作品にダメ出しをして修正箇所を記入。修正を終えたら消していく作業をしていたそうです。その数、何と30個以上にも及びます。その修正は登場人物の服装、ペンションの内装、喫茶店内でかかっている音楽etcと細かい部分にも及びます。
なぜ今村さんは一度書き終えてからダメ出しを行うのかというと、やはり書き終えた後と良いものが出来たと興奮していることが多いため、冷静な目で見つめ直すには書き終えてからしばらく時間を置いてから作業に戻ることが重要だと思うからなのです。
吾郎さんでミステリを書くなら
吾郎:そうですね。探偵とか、刑事とかが多いですね。
今村:逆に被害者であったり、犯人であったりという役をやってくださったらスゴく面白いんじゃないかと思いますし、またキャラクターとしてすごく良いお兄さんの雰囲気がすごくあるじゃないですか。
吾郎:ありがとうございます。
今村:なので、主人公たちの周りにいて、いつもなんか優しくサポートしてくれるような、優しい先輩格の人物としてずっと行ってて、なのに最後に犯人だと判明するというような。また動機も誰かへの激しい憎しみだとか、そういう金銭目的だとかではなくて、スゴクまともに見える人がちょっと普通の人とは一つ違ったサイコパス的な、ああ、そういうことかという動機で何か犯罪を犯していき、そして最後に自白のシーンではそれを淡々と語るみたいなことを。
吾郎:ああ、何かイメージわく。自分でいうのもなんだけど。
今村:そしたら凄く怖いし。
吾郎:凄いな、何か嬉しいです。その僕で空想していただいて。じゃあ、ちょっと書いてくださいよ。僕のイメージで書いてください!
今村:映像化して稲垣さん出てきたら、「コイツ犯人や!」
吾郎:バレちゃうよね。もう無理だね。
あ、映像化を諦めたw
そしていつもなら消しゴムハンコを披露する時間になったものの、なぜか登場しない山田くん。スタッフから「山田くんが行方不明になっています」というカンペに山田くんの楽屋へと向かう3人。鍵を開けてみれば血まみれになって亡くなっているという小芝居が。そう、棒読みの外山さんがw そんな山田くんが作成した消しゴムハンコが、
山田くんの消しゴムハンコ
ゴロデラのこういう遊び心、嫌いじゃなくてよw
〒107-8066 TBSテレビ『ゴロウ・デラックス』御中
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作者ご本人&出版社Twitter
一ヶ月間黙ってるのが辛かった……!
— 今村昌弘@『屍人荘の殺人』発売中 (@Imamura1985) 2018年4月26日
ゴロウデラックスに出演します!
放送は写真の記載から一週間ずれて、5月3日の深夜0時58分から。
『稲垣吾郎×屍人荘の殺人』ってすごくないですか……?https://t.co/tSVhu95IYX pic.twitter.com/C5Bajj5h1K
まさかまさかですよ!
— 今村昌弘@『屍人荘の殺人』発売中 (@Imamura1985) 2018年4月26日
全国にひっそり蔓延る屍人荘ファンよ、見逃すなぁっ! https://t.co/mx62XG4wHj
明日5/3深夜24:58から、「ゴロウ・デラックス」にて、今村昌弘『屍人荘の殺人』が紹介されます。
— 東京創元社 (@tokyosogensha) 2018年5月2日
今村先生と稲垣吾郎さんのトークをお楽しみに!https://t.co/3Mex3Hg5mw
ゴールデンウィークいかがお過ごしでしょうか。
— 今村昌弘@『屍人荘の殺人』発売中 (@Imamura1985) 2018年5月2日
いよいよ明日5月3日深夜24時58分からゴロウデラックス!
屍人荘の殺人が取り上げられます。
ぜひご覧下さい! pic.twitter.com/5Z2xZnoXRc
このあと24時58分からTBS「ゴロウ・デラックス」にて、今村昌弘『屍人荘の殺人』が紹介されます!
— 東京創元社 (@tokyosogensha) 2018年5月3日
今村先生と稲垣吾郎さんのトークをぜひお見逃しなく!#ゴロデラ#稲垣吾郎#屍人荘https://t.co/kP3hgWzjpi
ゴロウ・デラックスいかがでしたか?
— 今村昌弘@『屍人荘の殺人』発売中 (@Imamura1985) 2018年5月3日
たぶんネタに触れる箇所はカットされただろうなあ……。
あ、ちなみに最後のハンコはもちろん口にしちゃいけない三文字のやつです。 pic.twitter.com/hBA4SLv6og
ゴロウ・デラックスで放送されなかったちょこっと話①
— 今村昌弘@『屍人荘の殺人』発売中 (@Imamura1985) 2018年5月8日
稲垣さんは撮影先の旅館で『屍人荘』を読んでくださったそうです。それだけでも気味が悪いのに、その旅館はどうやら増改築しているらしく、なんと作中の建物のように廊下を区切る不思議な扉があってすごく怖かったとか……。
ゴロウ・デラックスで放送されなかったちょこっと話②
— 今村昌弘@『屍人荘の殺人』発売中 (@Imamura1985) 2018年5月8日
稲垣さん、実は見取り図のあるミステリがとてもお好きらしいです。
『屍人荘』でもあるトリックに関して「ここだよね、ここ!」ととても嬉しそうに見取り図を指差してらっしゃいました。
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