【考える葦】

某男性アイドルグループ全活動期メンバーで、左利きな彼(稲垣吾郎)を愛でる会

『漫画 君たちはどう生きるか』と『ゴロウ・デラックス』

2018年2月1日放送の『ゴロウ・デラックス』第283回目のゲストは、1937(昭和12)年に文学者・吉野源三郎さんによる児童書『君たちはどう生きるか』戦後の小中学校の教科書にも掲載。あの池上彰さんや宮崎駿監督の愛読書だったというまさに歴史的名著を昨年、初の漫画化。しかも発売5ヶ月で170万部を突破する大ヒットを遂げたのです。

そんなまさに今、大人が読みたい、読ませたい1冊『漫画 君たちはどう生きるか』を描かれた漫画家の羽賀翔一さん(31歳)

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 宮崎駿監督が同名映画

若干31歳でミリオンセラーに加え、あの宮崎駿監督の長編アニメ復帰作が『君たちはどう生きるか』であるとTwitterで知った羽賀さん。さすがの出来事にいまだ状況が把握できないような状態にあるという。そんな羽賀さんの今夜の課題図書が、 

 

漫画 君たちはどう生きるか

漫画 君たちはどう生きるか

 

 

 

漫画 君たちはどう生きるか・あらすじ】 
物語の主人公は中学2年生のコペル君。父を亡くし、お母さんと2人暮らしをしています。そんなコペル君の良き理解者が、お母さんの弟で近所に住んでいるおじさん。いじめなど、学校の出来事にどう向き合うのか悩むコペル君に、おじさんはどう生きるべきか、たくさんのアドバイスをコペル君とやり取りするノートに書いてくれるのです。この本ではコペル君が経験した出来事⇒漫画おじさんの書いたノートが活字となって折り重なり、若者へのメッセージとなっている構成。

 

f:id:kei561208:20170413024747j:plain ある日、学校で怖い噂を聞いたコペル君。それは上級生たちが友達のガッチンに目をつけ、懲らしめようとしているもの。それにコペル君たちは逃げず皆で戦うと約束したのです。しかしその数日後、校庭で遊んでいると、「……そうか。こんな生意気な奴らを上級生が見過ごしていたら、学校の規律が乱れてしまうな……おうっ、他にも仲間がいるなら出てこいっ!!」といざ上級生を前にすると一歩も前に動けないコペル君。そして制裁されるガッチン。以来、学校をズル休みしてしまうコペル君を描いたシーン。

お見舞いにやってきたおじさんを吾郎さん、そしてコペル君を外山さんで朗読。

 

おじさん(吾郎)「そうか。ガッチンを守るって約束、守れなかったんだね……」
コペル君(外山)「うん。ほんとにすまないことをしたと思ってるんだ……何度も何度もあのときのことを思い出しては、死んでしまいたい気持ちになる。あの日からずっと、ずっと後悔ばかり押しよせて、一歩も身動きがとれないような感じなんだ」
おじさん(吾郎)「だからって、いつまでもうずくまっていても何も変わらないよ……コペル君」
コペル君(外山)「……ねぇ、おじさん。僕の気持ちをおじさんがガッチンたちに話してくれない? それを聞いたらみんなは許してくれるかもしれない」
おじさん(吾郎)「そんなの……わからないよ」
コペル君(外山)「じゃあ、もうずっとこのままでいる……」
(コペル君不貞腐れて布団の中に入る)
おじさん(吾郎)「コペル君。なあ、起きろよ。君の考えは間違ってるぜ。君は勇気を出せずに、大事な約束を破っちまったんだろう? 上級生のゲンコツがこわくて、君一人だけ皆のところに駆けつけられなかったんだろう? いま苦しい思いをしたから許してもらおうなんて、そんなことを言える刺客は君にはないはずだ。君は絶交されたってしかたないことをしちまったんだ」
コペル君(外山)「……じゃあ僕は……いったい、どうすればいいんだよっ……おじさん……」
おじさん(吾郎)「そんなの、本当はもうわかってるはずさ。コペル君はさっき、後悔ばかり押しよせるって言ったよね……。でも……君がしてしまったことをいくら思い返したって、ガッチンたちがどう思っているかをいくら考えたって、それは君に変えられることじゃない。だったら、一度考えるのをやめてごらんよ」
コペル君(外山)「考えるのをやめる……?」
おじさん(吾郎)「そう。変えられないことを考えるのをやめれば、余計な感情に足をとられない……。いま自分がいなけれkばならないことに、まっすぐむかっていける。同じ間違いを二度くり返しちゃいけないよ、コペル君」
コペル君(外山)「おじさん……僕……ガッチンと水谷君と浦川君に……ちゃんと謝らなくちゃ……」
おじさん(吾郎)「……ああ」
コペル君(外山):僕がしてしまったことをぜんぶおじさんに話した次の日……おじさんから渡されたのは……
 
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おじさん(吾郎):コペル君、いま君は、大きな苦しみを感じている。
なぜそれほど苦しまなければならないのか。
それはね、コペル君、君が正しい道に向かおうとしているからなんだ。
「死んでしまいたい」
と思うほど自分を責めるのは、君が正しい生き方を強く求めているからだ。
さあ、コペル君、いまこそ答えを見つけよう。
ここには、君が決してゴマ化すことなく考えてきた、気づきと発見が記されている。
おじさんのノートを最後まで読んでくれれば、きっと君は、自分を取り戻せる。
あらたな一歩を踏み出すことができる。
僕たち人間は、自分で自分を決定する力をもっているのだから。

漫画 君たちはどう生きるか』より一部抜粋

 

朗読が終わって早々に外山さんへと"少年が得意ですね。女性役より良い"と感想を言う吾郎さんw 羽賀さんはどんな思いを込めてこのシーンを描かれたのか、

 

羽賀:おじさんの手紙の中にある心が苦しいと感じるのは、その正しい方向に進もうとしているから感じるんだっていうのは、悩んでいる最中とか、渦中にいるとなかなか引きの視点で考えられないと思うんですけど、こういうおじさんみたいな存在が一歩こう引いたところからアドバイスというか、言葉をおくってくれるのはすごく今まさに悩んでいる中学生、高校生が読むにはいいんじゃないかなと思いながら描きました。
2018年2月1日『ゴロウ・デラックス』より一部抜粋

 

吾郎さんもこの本については自分たちが小中学生のころに出会いたかったと語っていましたが、そんな吾郎さんが謝りたいけれど謝れなかった人はいるのか?という外山さんの問いに対し、

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain ゴロウ少年の謝りたかった人

小学校1年生ぐらいのときに一緒に遊んでいた友達⇒そこまで親しくはなかったものの、ある日ジャングルジムで遊んでいて、ふざけっ子をしていて、その子が落下してしまった。その子は救急車で運ばれていったのですが、その後はまだ小さいということもあり、両親同士で話は解決してしまい、吾郎さん自身もその子に謝ることができず、今に至ると。謝れなかった要因の一つに相手に怪我を負わせてしまった現実を怖がっている自分もいたのかなと吾郎さん。コペル君と一緒で謝る勇気がなかったと。

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 漫画を描くとき声に出して読む?

続いての朗読では羽賀さんにも協力していただくことになり、漫画を描く際にも台詞を声に出して描いたりするのかという吾郎さんの問いに頷く羽賀さん。全部ではないものの、台詞として違和感がないかと読むときはありますと。ネームといい、下書きをやり直したりしているときと羽賀さんが言えば、吾郎さんも最近、ブログをやり始めたので、スクロールの間を何センチ空けたほうがこの気持ちは伝わるのかなとそういう部分で比較するのもアレですが漫画との共通点はあるのかなと。

f:id:kei561208:20170413024747j:plain ある日、コペル君が学校を休みがちな友達・浦川君の家を訪ねたとこのこと。ノートに字を詰めて書くと読みづらいのではないかと浦川君に指摘するコペル君に対し、ノートを何冊も買える環境ではないと告げる浦川君。初めて貧富の差を知ったコペル君は家に帰り、おじさんにそのことを話すというシーン。

実はこのシーンには漫画化する際に、原作にはないある仕掛けを施したと言います。一体、どこなのか。浦川君役として羽賀さんが朗読に参加します。

 

おじさん(吾郎)「なるほど。それでそんなに刺激を受けてるわけか……」
コペル君(外山)「……もし僕が浦川君の立場だったら……ひょっとしたら投げ出しちゃってるかもしれない。勉強も、家の手伝いも……。でも浦川くんは学校でも家でも逃げない……!! どれだけむかい風が吹いたって、一歩一歩すすんでる」
おじさん(吾郎)「うん。ちょっと外に出ようか、コペル君」
コペル君(外山)「?」
おじさん(吾郎)「おじさんもじっとしていられなくなってきた」
(二人で早歩きするシーン)
コペル君(外山)「おじさんも浦川君に刺激を受けた?」
おじさん(吾郎)「……いや、浦川君からだけじゃない……君からもまた刺激を受けた。コペル君は浦川君の家の貧しさを知って、驚きはしたかもしれないけど、ばかにするようなことは少しもなかった。浦川君にしてあげられることを君なりにやったんだ……!! 君だって浦河くんのようにどんな状況でも向きあって立ちむかえる……!!」
コペル君(外山)「……うん。あのさ、おじさん……」
おじさん(吾郎)「お父さんが亡くなったあとも、君は立派に頑張ってるんだから……!!」
コペル君(外山)「おじさん、ちょっと速すぎ……」
(土手で休憩する二人)
おじさん(吾郎)「この程度で疲れちゃうとは情けないぞ」
コペル君(外山)「……うるさいなあ」
おじさん(吾郎)「なあ、コペル君。自分じゃまだ気がついてないかもしれないけど、君はある大きなものを日々生み出している」
コペル君(外山)「……僕が?」
おじさん(吾郎)「それはなんだと思う?」
(そこへ浦川君が通りかかる)
浦川君(羽賀)「あっ、本田君。ここにいたっ……」
コペル君(外山)浦川君……!!」
浦川君(羽賀)「君ん家いったらいなくて……ずっと探してたよ」
コペル君(外山)「うん……ごめん、どうしたの?」
浦川君(羽賀)「これ、さっき電報きたんだ」
電報:ハナシツイタ、コンヤカエル
コペル君(外山)「……お父さん?(頷く浦川君)やった―――――っ」
コペル君(外山):僕はまた浦川君が学校に行けるのが嬉しくて、おじさんの投げかけた質問のことはすっかり忘れてしまった。

漫画 君たちはどう生きるか』より一部抜粋

 

 実はこの朗読か所、原作では"コペル君は、ひどい風の吹きつける大通りを、ときどき顔を伏せて風を避けながら、ぐんぐんと歩いてゆきました"とコペル君だけが歩くシーンを、おじさん自身もコペル君と一緒に前に進んでいくというか、変化していくのを原作より漫画版では強調したかった。おじさんも変化するとか、葛藤があるとか、一緒に前に進んでいくのを見せることで、なるべく上から下へとベクトルがいかないよう意識しながら描いたそうです。

ちなみに活字のブロックは多少の省略はありますがほぼ原作と同じだそうです。だからか、活字の文章から感じるおじさんのキャラクターよりは、羽賀さんが漫画で描いたおじさんのほうが吾郎さんは好きだそうです。

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 小説版と漫画版のおじさんの違い

活字版のおじさんは威厳のある、説教ムードの強いため、漫画版の部分でもそのおじさんが登場してしまうと読みづらかったかもしれないし、すっと話が入ってこなかったかもしれないと吾郎さん。活字部分でしっかり締めるところは締め、でも親近感を持ってもらえるようにちょっと可愛げのある部分を漫画でとそのバランスを見極めるのは難しかったそうです。

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 投げっぱなしの質問

実は朗読でおじさんの投げかけた質問に対する答えは本の中ではなく、それは原作も同様に具体的なこれというのは書かれていなかったそうです。漫画化するにあたり、この答えを後半で入れたほうがいいのか編集者の方といろいろ悩まれたそうですが、君たちはどう生きるかというタイトルではあるものの、"こう生きなさい"という本ではないので、あえてここは質問を投げたままで、それぞれ読んだ人が考えたり、想像する余白として残しておくことにしたのです。

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 締め切りを1年オーバー

この『漫画 君たちはどう生きるか』がミリオンセラーとなり、一躍人気漫画家の仲間入りとなった羽賀さんですが、実はこの漫画、当初は1年かけての予定が2年かかって完成したそうです。原作の概要を伝えるガイドブック的な漫画ではなく、漫画としてちゃんと面白いものにしようと羽賀さんは思っていて、自身の力量不足もあったとは思いますがなかなか遅々として進まず、気がつけば2年という年月がかかってしまったのです。しかし、時間をかけたからこそ、描けた部分もあると羽賀さん。

今後についてはオリジナルストーリーを描きたいと思っているし、まだ『宇宙兄弟』のアシスタントもしているので、その漫画を描かれている小山宙哉先生とコラボもしていきたいと。小山先生もこの漫画がミリオンセラーとなったのを喜んでくださっているそうで、まさにおじさんとコペル君の関係(吾郎)のようです。

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 山田くんの消しゴムハンコ

 

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コペル君と羽賀さんの素敵なハンコに漫画は描かれないのかと山田くんに尋ねる羽賀さん。漫画は机にそんなに向かえないので描けないと……どんな理由w

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain Twitter上での素敵な交流

実は放送前に『ゴロウ・デラックス』出演記念で羽賀さんがおじさん役を朗読した吾郎さんのイラストを描いてくださったのですが、翌日に『ゴロデラ』Twitterは引用ツイートを、そしてそれに気づいた吾郎さんがまたお礼に引用ツイートをと素敵な交流がありましたので記念にこちらにも残しておきます。またこういう素敵な交流がファンの目に見える形で行われたのも嬉しいですよね。

 

 

 

 

そして次週は特別篇として、10年ぶりに改訂されたばかりの「広辞苑」を出版した辞典編集部を直撃!! 今回新たに追加された言葉とは!? 

 

 

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