『千年後の百人一首』と『ゴロウ・デラックス』
2017年12月14日放送の『ゴロウ・デラックス』第278回目のゲストは、吾郎さんも写真集などをご覧になったことがある、写真に刺繍を施す独自の手法で注目を浴び、現在、その活動はアート作品から映像、広告、空間デザインなど多岐に亘るアーティスト・清川あさみさん(38歳)
代表作でもある『美女採集』は女性を動物や植物に例えて表現する話題のシリーズ。シリーズとしては14年、収集した美女は200人ぐらいになるそうです。
清川流人物像の見極め方
『美女採集』のイメージはどうやって膨らますのか?という問いに対しては、"佇まいや写真を見て、後は動画を見てから。最近だとSNSとかもその人の内面が出るので、そういうのを見て分析していく"清川さん。案外、直接会ってしまうとわからなくなってしまう。例えば仲良くなりすぎると作品にしづらくなったりするので。ただ、意外にも自分が抱いたイメージは直接会った後でも変わることがないと語る清川さん。
栗山千明×カマキリ
吾郎「なんかわかるというか、男気があるというか。言っちゃあなんですけどね、結構サバサバしていて男前なんですよ。これでも栗山さんの胸元にあるお花は写真だよね。衣装につけている装飾」
清川「そうです、そうです。(聞き取れず)その現場でその方のイメージでバアッと作っていく」
吾郎「栗山さんってひそかに思ってたんだけど、すっげえ手が長いんですよ。すごい美しいなと思ってて、でもそれ言うと気持ち悪いおじさんと思われたら嫌だなあって。千明さんって手が長いよねって言ってないんだけど。だからすごくこのポージングとかさせてるのも何かそういうのもあったのかなあっと思って」
壇蜜×ナメクジ
吾郎「あ~、なんかわかるなあ」
清川「人の心にじわあっと侵略していくこの色気と」
吾郎「ねっとりしてますね」
清川「どこか儚い?塩をかけるとパッといなくなっちゃう儚さをナメクジに例えたんですけども」
吾郎「外山さんのナメクジが見たいなあ」
外山「どういうことですか?」
⇒まあ、そういうちょっと儚い色気のある外山さんが見てみたいということですよw
なお、男性の場合は歴史上の人物になぞらえ、刺繍を施したシリーズが。例えば松尾スズキさんは解体新書を書いた江戸時代の医者・杉田玄白。
新国立競技場を設計した隈健吾さんは松尾芭蕉に例えて表現。
さらに清川さんは絵本の制作も続けている。
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これは自身が子どものころに読んだ名作を現代のアートで表現し、今の時代に蘇らせるという試み。その最新作とも言える作品が今夜の課題図書でもある、
千年前から伝わる百人一首をモチーフに絵札の部分を清川あさみさんが制作、そして歌の部分はSNSを中心に活動し、詩集が映画化されるなど、若者たちから支持を集める注目の詩人・最果タヒさんが書き下ろし。現代の感性と言葉で生み出された新しい百人一首が誕生。
歌の良し悪しでその人の能力がすべて試されたり、短い文章で思いを伝えたりとか、現在に通じるものがあるのではないかと。だからこそ、現代的に解読して表現していくと面白いのではと。
現代版!小野小町を刺繍で表現
絶世の美女といわれた小野小町が年をとった自分を嘆いた歌を清川さんはこう表現。
歌には掛詞というダジャレみたいなものも入っており、"わが身世にふる"には「時が降る/雨が降る」という意味があったりするので、雨が降った後の桜をイメージしたりだとか、足先のペディキュアは現代を象徴してみたりだとか、「絶世の美女」というイメージで基本的にはバランスを取ながら制作していったそうです。
次に関所を行きかう人々を見て、世の中の無常観を詠んだ歌がこんな1枚に。
イメージとしては東京のスクランブル交差点で、下のビーズは東京の景色を表現。この歌を詩人・最果タヒさんは現代の言葉・感性でどう表現したのかというと、
さようなら、さようなら、こんにちは、こんにちは、
私の瞳を見てくれた、忘れてくれた、
さようなら、こんにちは、
あの人の顔を忘れてしまった、こんにちは、
知らぬ人、知らぬ人、知らぬ人のまんなかに、
立ち尽くしている知らぬ人、それが、それが私。
私のことを私は、
生きるためにすこしずつ忘れていきながら、
すれちがう人々の瞳の中にその欠片を、託していく。
日々、溶ける手前の雪のように、預けていく。
知らぬ人、知らぬ人、忘れても、いいから。
目があう、すれちがう、それでもまた忘れていく、
さようなら、私の過去が、私の体でおわらずに、
だれかの瞳を通過して消えていくならきっと、
なかったことにはならないはずだ。
ここは、逢坂の関。
結晶になど、触感になど、なれないけれど、
私の体温は、あなたの体温は、そこにある、
ありましたよ、さようなら」
『千年後の百人一首』より一部抜粋
絵と詩のイメージが合っていると言われたものの、実際には一切打ち合わせは行わずに同時進行だったため、出来上がったものを二人でせーので見せあったぐらいだったと。
清川さんの作業と私の作業は、同時進行だったので、こうして清川さんの考えていたことをいま聞いて、驚いたり不思議なぐらいしっくりすることも多いです。 #ゴロデラ
— 最果タヒ(Tahi Saihate) (@tt_ss) 2017年12月14日
人生を振り返っている感じも受けて、1本の糸がたくさん並んでいて、それが絵になっていればいいなと、静かな絵が描きたかった清川さん。道因法師は80歳で出家し、平安時代後期の歌人で、男性の恋愛のテーマは人生を語って大きいなと。吾郎さんはロマンチックだなと語る中、外山さんは"この人きっと遊んでたんでしょうね"とw
何を言ってるのと言いつつ、実は読んでいてそんな気がしていた吾郎さん。遊んできた男が80歳になって気づいたみたいな。
ゴロウの過去 破れた恋…
道因法師の話からずっと引きずっている恋はあると吾郎さん。後悔しているわけではないけれど、やはり他とは別のフォルダに保存されている恋。ただ、その恋が叶っていたら今の自分はいないわけだし……と語っていたら、"吾郎さんが出家する日が来るかもしれない"と言って、なおかつリンゴに矢が刺さるアニメを差し込む外山さんとゴロデラスタッフが大好きですw
また別のトンネルのある絵を見てはその絵があることでそういう発想が出てくると。そのトンネルの向こうに自分の過去が思い浮かんだ吾郎さん。"思い出しちゃった、あの恋のことを……O.Aして、O.Aして💕"と。ちなみに語っている最中、"まあ、そうですかあ"とあっさり棒読みでスルーする外山さんもやはり大好きです。
順徳院*1戦に敗れて佐渡に流され、貴族の世の終わりを偲んで詠んだ歌。一つの時代が終わっていくというのはちょっとロマンチックで、何かがまた動き出す様を描きたくて、いろんな色の蝶がいる絵にしたかった清川さん。
この最後の順徳院の作品について、歌を担当している最果さんよりコメントをいただいているそうで、
清川さんの100番の絵が届いたときは、まだこの歌のことは考えていなかったんですが、絵を見た途端、「これを訳すのは最後にしよう」と決めていました。
たくさんの蝶が重なり合っているのをみて、これらの蝶は、宮殿に生きたひとびとの一つ一つの思い、でもあるのだけれど、また一方で、100の歌のことでもあるだろう、と思ったんです。
だから、全ての歌を訳してから、訳したいなあ、と思いました。
清川さんの絵から浮かんだ言葉なのかなと思うのが、
私がここにいるというそのこと以外、
すべてが私には見えていない。
何千の声が聞こえるか、
何千の歌が聞こえるか、
本当は、ずっとここでこだましている。」
『千年後の百人一首』より一部抜粋
そして今回は特別に清川さんが『ゴロウ・デラックス』とコラボしてくださることに。
清川さんとしては吾郎さんの頭の中を覗いてみたいという思いがあるため、宿題として「稲垣さんが思う、今もっとも美しいと思う人か、モノか、1日を写真で切り取ってきてほしい」と。ただ単純にキレイだから撮るのではなく、"なんでキレイなのか?"深読みしそうな美しいものを撮ってきてほしいと。(吾郎:どうします?自分を撮ってきたら。外山:私も自撮りする吾郎さんが浮かんだw)
その収録から4週間が経ち、実際に吾郎さんの写真に清川さんが刺繍を施した作品が完成しました。今回のテーマは「吾郎が今一番美しいと思うものの写真」ということで、吾郎さんが提出した写真が、
ヒロくんと行った長野県佐久の元々ゴルフ場だった場所から見た夕焼け。それがどう生まれ変わったか、作品制作途中の清川さんのアトリエに行くと、写真を印刷された紙に普通に刺繍を施す清川さんの姿が。吾郎さんとのコラボ作品への思いを聞くと、
A.来た写真はイメージ通りでした、吾郎さんの。「自分がすごいキレイだと思っているものには光が当たってる」って。光は影があるから美しく光るんじゃないかという話をされてたんですよ。それをこの作品に出そうかなと思っています。
Q.コンセプトはずばりなんでしょうか?
A.影があるから光があるというので、まさに吾郎さんだなあと思ったから、吾郎さんの自画像ってことにしようと思って。
テーマ「光と影を併せ持つ吾郎さんの自画像」ということで、早速作品をOPENしようとキャンバスを覆った布をとろうとしてイーゼルに引っかけてしまう外山さん。さらに強引に引っ張ろうとして、吾郎さんに"ちょっと!! 何考えてるの!"と言われているのに爆笑してしまう外山さんが本当に大好きですw
そして改めてOPENされた作品がこちら、
キラキラした中、右側には吾郎さんの横顔が。この空を見た時に、僕はこんな気持ちになっていましたと吾郎さん。清川さんとすごく共鳴し合っている感じがしてすごくうれしいと。
⇒とにかく美しい作品ですが、実際この目で見るとまた違った感想が出てきそうな感じがするので、もし作品展が行われるのであればこの目で見てみたいと思いました。
山田くんの消しゴムハンコ
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