『anan』特別対談:稲垣吾郎&宇多丸
先週、6月28日(水)に発売された【anan No.2059】は『映画と本と。』特集。
まず一言、まだ入手されていない方がいらっしゃいましたら、ぜひ、ぜひ、この吾郎さんは見ていただきたいので、本屋さんでもいいですし、ネットショップでもいいのでバックナンバーを取り寄せください。と言いたいぐらい見て損はない、明らかにこれまでとは違った吾郎さんがそこにはいます。麗しいのはもちろんのこと、そこに教養+渋味が加わり、得も言われぬ色気を発する40代のアンニュイ吾郎さんに間違いなく悶えます。さらに吾郎さんというトラップに引っかかってしまい、内容が頭の中に入ってこないことも間違いなし。←ダメじゃんw
というわけで、通常の"稲垣吾郎シネマナビ!"とは別に、「夏に観たい映画」をさらに3つのテーマにわけて、それぞれセレクトした映画について吾郎さん&宇多丸さんのお二人で語っていただくことに。
ちなみに吾郎さんと宇多丸さんといえば、Twitterなどでも、そして一部ネット記事にも出ましたが、2005年にクエンティン・タランティーノ氏による製作総指揮、監督&脚本イーライ・ロス氏の『ホステル』という映画……いわゆる、ホラー映画というよりは残虐な拷問映画をスマステの月イチゴローで観ることになってしまった吾郎さん。当然ながら好みとは相反する内容に、個人としては"存在すら認めない"とバッサリ。
⇒2006年10月20日『SmaSTATION!!』放送分「SmaTIMES #221」
そんな吾郎さんのコメントに腹を立てた宇多丸さんが、個人的制裁として自身のラジオでSMAPの楽曲を1年流さないと宣言、実行していた時期があり(ただし、1年経つ前に楽曲は流していましたが)、のちに『十三人の刺客』*1での吾郎さんを大絶賛するという、ちょっとねじれた流れがあります。まあ、個々の嗜好の問題なので、因縁というほどでもないのですが。
もちろん、宇多丸さんも、吾郎さんも大人ですから、そういう過去云々もあるはずもなく、冒頭から吾郎さんの「シネマナビ」について、宇多丸さんのラジオでの映画評、そして『SmaSTATION!!』の映画話から個人的な好みの話を入れつつ、さらに二人の共通点としてガンマニアであるというお話が。その詳細については『anan』で語られることはありませんでしたが、その週の宇多丸さんのTBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』にて吾郎さんとのお話が2分ほど出てきて、そちらで詳細が語られています。下記でそのガンマニアなど、宇多丸さんのラジオでの吾郎さんとのコメントが書き起こしされていますのでよろしければ参照ください。
そんな吾郎さんと宇多丸さんが、今回は「夏に観たい映画」ということでそれぞれのテーマ別にオススメ映画をピックアップ。それについてお互いへプレゼンするかのように語ります。
なお、1週間が経ち、【anan No.2060】も発売されたため、これから先は「夏に観たい映画」特別対談:稲垣吾郎&宇多丸の内容に触れていきます。内容はこれから読む、ネタバレはされたくない方は閲覧にご注意ください。すでに既読、もしくは未読ですが問題ない方のみ"続きを読む"をクリックください。
「蒸し暑い夏を乗り切る映画」
宇多丸さんセレクト
《あらすじ》
歌舞伎町の医者を自称する男(杉浦直樹)は、謎の組織から若い男(沢田研二)の世話を引き受ける。男は暗殺者で、暗殺指令を待っていた。田舎町の別荘で暮らす2人に、ある日、組織から若い女(樋口可南子)が派遣される。3人の共同生活が始まり、その中で女はやがて暗殺者を愛するように。しかしそれも束の間、暗殺司令が下り、暗殺者は犯行予定地へ向かう。(映画.COMより抜粋)
⇒当時トップスターだった沢田研二さんにテロリストでありながら、内にこもったナイフオタクの冴えない男を演じさせたということで、話は『十三人の刺客』の吾郎さんのお話もちらりと。不思議なオフビート感があり、映像と音楽もスタイリッシュで、オープニングは映画史上トップクラスの格好の良さと語る宇多丸さんに観てみたいと吾郎さん。
吾郎さんセレクト
《あらすじ》
1999年、中国の華北地方。ひとりの男の切断された死体が、6つの都市にまたがる15カ所の石炭工場で次々と発見されるという事件が発生。刑事のジャン(リャオ・ファン)が捜査を担当するが、容疑者の兄弟が逮捕時に抵抗して射殺されてしまい、真相は闇の中に葬られてしまう。それから5年、警察を辞め、しがない警備員として暮らしていたジャンは、警察が5年前と似た手口の事件を追っていると知り、独自に調査を開始。被害者はいずれも若く美しいウー(グイ・ルンメイ)という未亡人と親密な関係にあり、ジャンもまたウーにひかれていくが……。(映画.COMより抜粋)
⇒2014年12月26日発売の『anan No.1936』シネマナビ、そして2015年のシネマナビ第3位にも選ばれた『薄氷の殺人』ですが、同じく宇多丸さんもラジオにて絶賛。とはいっても宇多丸さんの場合は2015年に観た映画ベスト10にはギリギリ入らなかったんですが。とにかくヒロインを演ずるグイ・ルンメイが美しいと吾郎さん、シネマナビで紹介されたときから絶賛です。
旅気分にさせてくれる映画
宇多丸さんセレクション
《あらすじ》
ヴェトナム戦争真最中の1971年。アメリカのテキサス州オースチンの大学寮のルームメイト5人組「グルーバーズ」は、メンバーの1人であるワグナー(サム・ロバーズ)の独身最後のパーティを開いていた。ところが、召集令状を手にしたワグナーが突然、結婚中止を宣言する。一同が茫然とする中で、同じように令状を受けとっていたリーダーのガードナー(ケヴィン・コスナー)が、今こそグルーバーズの友情の絆を捜し求める時だと...(映画.COMより抜粋)
⇒『スタンド・バイ・ミー』の年上版みたいな青春が終わるその瞬間を描いたロードムービー。吾郎さんとしては誰かが死んだり、声高に青春の痛みとかを謳ったりする映画は好みではないものの、宇多丸さん曰く、この映画はラストもさらっとしていると。そして登場する男性たちのちょっとダメな感じが、同じ経験をしていなくてもどこか自分に当てはめて観ることが出来そうと吾郎さん。
吾郎さんセレクション
《あらすじ》
かつて爆弾の専門家として数々の歴史的事件に立ちあってきた老人アラン(ロバート・グスタフソン)は、記念すべき100回目の誕生日に老人ホームを抜けだしてしまう。ふとしたことから大金入りケースを手に入れた彼は、ギャングからも警察からも追われるハメに。アランは自身の波瀾万丈な人生を振り返りながら、道中で出会った個性的な仲間たちと共に次々とトラブルを乗りこえていくが……。スウェーデンを代表するコメディ俳優ロバート・グスタフソンが、青年時代から100歳までの主人公を好演した。(映画.COMより抜粋)
⇒こちらも2014年10月22日発売の『anan No.1927』のシネマナビで紹介され、2014年のシネマナビ第3位にも選ばれた『100歳の華麗なる冒険』ですが、宇多丸さんはご覧になったことはなかった模様。こうやって映画評をする方が、お互いの対談をきっかけに新たな映画を知るのも素敵ですよね。ちなみに宇多丸さん曰く、ナチスが出てくる映画は3割増しで面白くなるとのこと。
夏といえば、コレ!という一本
宇多丸さんセレクション
《あらすじ》
アメリカ、デトロイトの郊外を舞台に、夏休み最後の一週間の「Sleep Over(お泊まり会)」を通して、一目ぼれした女性を探す少年や、双子の姉妹の間で揺れる大学生、「楽しいなにか」を求める少女など、それぞれの青春を追いかける思春期の少年少女たちが、精神的に成熟していく過程をみずみずしく描いた。カンヌ国際映画祭の批評家週間などで上映された。(映画.COMより抜粋)
⇒同じく、宇多丸さんセレクションによって吾郎さんが知った映画がこちら。これは日本では限定的にしか公開されず、DVDも9月4日に発売予定なのですが、この作品のプロデュースとカメラは第89回アカデミー賞作品賞を受賞した『ムーンライト』と同じ方で、色彩がコントロールされた計算された美しさなのだとか(映像が美しいって大事。 by:吾郎)。この映画を監督されたデビッド・ロバート・ミッチェル氏はいずれアメリカを代表する監督になるだろうから今のうちに観ておくといいかもと宇多丸さん。
そして『anan』の宇多丸さんと吾郎さんの対談で、自身が配給する『アメリカン・スリープオーバー』がピックアップされたのを知った降矢聡さんからあがる歓喜の声♡
きたああああああああああ!今日発売のanan掲載の宇多丸さん×稲垣吾郎さん「夏に観たい映画」対談で、宇多丸さんが夏のオススメ映画として『アメリカン・スリープオーバー』挙げてくれてるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ❗ pic.twitter.com/YRYx533jwK
— 降矢聡 (@satoshifuruya) 2017年6月28日
ついに国民的アイドルの元SMAP稲垣吾郎さんにまで『アメリカン・スリープオーバー』が届いたよ……ママ、やったよ。
— 降矢聡 (@satoshifuruya) 2017年6月28日
吾郎さんセレクション
《あらすじ》
タトゥのデザイナーで、自らの身体にも多数のタトゥを彫り込んでいる信仰心あついエリーゼ(ベルル・バーテンス)と、ブルーグラスバンドでバンジョーを弾きながら、自由の国アメリカに理想を抱くアナーキストのディディエ(ヨハン・ヘルデンベルグ)。2人は恋に落ち、天性の歌の才能を発揮したエリーゼは、ディディエのバンドで歌うようになる。音楽を通して2人の絆はさらに深まり、やがて子どもを授かる。幸せな日々が続くかに思われたが、愛娘のメイベルが重い病気にかかったことから、生活が一変し……。(映画.COMより抜粋)
⇒こちらもDVD化されるまでに期間があったため、良い機会なので紹介。2014年3月22日O.Aされた"ゴローのムービージャッジ"が掲載されている「SmaTIME #540」のコメントに、その後は2014年4月2日発売の『anan No.1900』シネマナビでもあの吾郎さんにこの映画の良さを上手く説明できないと言わしめ、そして2014年7月2日放送の「おはスマ」でも水曜日ということでレディースデーで面白かった映画に『オーバー・ザ・ブルースカイ』をあげています。ハッピーエンドとはいかないものの、ブルーグラスがすごく心に響く物語と絶賛。
対談も冒頭できちんと吾郎さんはホラーやアメコミ原作が苦手で、宇多丸さんは逆にそっちが好きと互いの映画に対する嗜好を明確にして始まるところが素晴らしい。それぞれのファンはすでに嗜好は知ってはいても、読者全員が知るわけもないですし、それぞれの嗜好がどちらかといえば真逆にあることを知った上でテーマに沿ったチョイスを互いプレゼンするから面白いと思うし、きちんと互いへの敬意が対談から伝わってくるのも良い。
それに上にも書きましたが、映画評をして、人より多く映画を観ている方が互いの対談から新たに知らなかった映画を知り、世界が広がっていく様も良いですよね。特に『シネマナビ』はどちらかというと吾郎さんの好みを中心にチョイスされていく映画ですから、知らない世界の幅を知っていくというのは吾郎さんにとっても良いことだと思うので、映画特集が行われる際には宇多丸さんや他、映画好きの方との対談などでさらに吾郎さんの世界を広げていくのもありかな。そう、これからはどんどんそういう交流が出来る環境が整っていくでしょうから、吾郎さんにはこれまで出来なかったことにもチャレンジしていってほしいと願います。
というわけで、今後も『anan』さんに"シネマナビ"以外でも取り上げていただくためには、やはり反響が大事ですのでanan編集部さんへその声を届けていかねば。
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