- 考える葦 -

某男性アイドルグループ全活動期メンバーで、左利きな彼(稲垣吾郎)を愛でる会

『劇場』と『ゴロウ・デラックス』

2017年5月18日放送の『ゴロウ・デラックス』第249回目のゲストは、待望の2作目を発表したばかりの又吉直樹さん(36歳)

2015年3月11日に初の中編小説『火花 (文春文庫)』を出版。 

 

火花 (文春文庫)

火花 (文春文庫)

 

 

2015年5月7日に『ゴロウ・デラックス』へと出演されたときには、作家であることに不慣れだったものの、その後は第153回芥川賞受賞、2016年には『火花 (文春文庫)』はドラマ化、今年の11月には映画も公開、その累計発行部数は現在で311万部となり、芸人・又吉直樹は瞬く間に文学界のスターへとのし上がったのです。

そして『火花 (文春文庫)』発行から2年2ヶ月が経ち、待望の2作目である『劇場』を2017年5月11日に出版。初版発行部数は30万部と『火花 (文春文庫)』の倍。それだけで出版社の期待の大きさ、世間の関心の高さも伺えます。本日は読者バラエティーの威信にかけ、その『劇場』を深く掘り下げます! 

 

劇場

劇場

 

 

今回の物語は主軸が恋愛小説となりますが、吾郎さん曰く、“こんなにも主人公のことが嫌いになったり、好きになったりする小説ってあまりないなあって。ちょっとこれは又吉さんの仕掛けなのかな?”とのことですが、登場した又吉さんはといえば、2015年5月7日の初回、2015年8月6日の第153回芥川賞直木賞受賞者回、そして2015年11月12日の古井由吉さんの回で外ロケですが出演し、これで4回目の登場とあって以前に比べるとリラックスして登場(2015年8月13日の又吉SPを含めると放送回数自体は最多の5回)

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 芥川賞受賞後の変化

待望の2冊目に対し、又吉さん自身はようやく書けたなあと、でも自身でも満足のいくものが時間をかけて作れたかなと思っているそうです。芥川賞を受賞することで生活は変貌したかという問いに対しては、又吉さん自身は変わらないものの、やはり仕事のオファーに変化は出て、バラエティーはこれまでどおり出演があるものの、大人の方と話す機会が増えたとのこと。また出版社から依頼される推薦文の帯も増え、書店に行くと又吉さんの帯がついた本を多く見かけるように。

 

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上記リストはその一部。その量の多さに又吉さんの芸人の先輩からも、“本屋行って、お前のオススメやらか買おうと思ったけど、本当のオススメどれやねん”とツッコまれたそうな。でも、どれも本当にオススメだそうですw

www.daily.co.jp

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 2冊目のプレッシャーは?

本人としては気楽に考えていたものの、いろんな方に2作目が大事だと言われて改めて2作目って本当に大事なんだなと実感。

『火花』に対する批評や評価はかなり目を通したそうで、でも意見によっては矛盾しているところも多々あって、最終的にみんなの意見を聞くと何も残らないことに気づいて難しいなと感じていたものの、途中から自分という存在は“子供のころから皆の人気者じゃなかった”という当たり前のことを思い出し、あくまでも世間の意見は参考程度に『劇場』を書き上げました。ちなみに相方の綾部さんは読まなきゃなといってはいるもののまだ未読、『火花』の感想は長かったと……中編小説なのにw

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 『劇場』は恋愛小説

『火花』を書く前に色々なエッセイを書いてきたが、自身の恋愛について書いたことはなかった又吉さん。ただ、それらしきものを書いたのを読んだ編集者の方が、「又吉さんの感覚で恋愛小説を作っていったら、何か面白いものが立ち上がるかも」とアドバイスをいただき、恋愛に詳しい人だけが恋愛の話を書くだけでなく、苦手な自分が書いたらどんなものが出来上がるのか興味が沸いたのが『劇場』のきっかけに。

 

《劇場あらすじ》

小劇団「おろか」を主宰する永田と、女優を目指して青森から上京してきた専門学生・沙希の不器用な恋愛を描いた小説。

 

吾郎さんとしては、主人公にはずっと振り回されたと。ずっと主人公のことを好きじゃなくてもいいんですよね、小説ってと感想を述べれば、又吉さんもいくつもテーマはあるものの、その一つが共感されにくい人物を書きたいというのがあったと。(読者は)面白い共感が一緒になっていることが多くて、でも実は“共感できなかった”としても、何か感じるものがあるはずで、その辺をちょっと描いてみたかったそうです。

稼ぎが少ない永田は、沙希のアパートに居候することに。まずはその二人の関係性がよくわかる場面を吾郎さんと外山アナの掛け合いで朗読することに。

 

吾郎「僕は稼ぎがほとんどなかったし、沙希はまだ学生だった。
アパートの家賃は彼女が大学を卒業するまでは親が払うということになっていて、実家から食料が定期的に小包で送られてきた。その小包を沙希はいつも嬉しそうに抱えたり、重さなどから中身を予想したりして、床に置くと大胆にガムテープをはがした。
“お母さんが、小包送っても半分は知らない男に食べられると思ったら嫌だって言ってたよ”
沙希が上機嫌の調子で僕に言った。
二人で少し酒を飲んでいたので、普段なら言わないようなことが、つい口から出てしまったのだろう。
“なんでそんなこと言うん?”
沙希はガムテープをはがす手を止めて僕を見た。
自分を嫌っている人から与えられたものを食べて生きることほど惨めなことはない。
ましてや、僕の場合は与えられてさえもいなかった。母から娘に送られたものを横から無理やり奪って食っていたのだ。
“気にしなくていいよ。お母さん、本当に嫌だったら送ってこないから”
沙希は僕の雰囲気の変化を察知し、優しい声でそう言ったが、僕の気持ちは収まらなかった。
“俺、沙希ちゃんのおばはん嫌いやわ”
彼女はしばらく無言で僕の顔を見つめていた。そして、小包の中身を取りだしながら
“駄目だよ、そんなこと言っちゃあ。お母さんは悪くないよ”
感情を抑えた声で沙希は言った。
“俺が送る立場やったら、そんな嫌味わざわざ言わんけどな”
沙希は手を止めて小包を見つめている。
“ごめんね。わたしの言い方が悪かったね。お母さん、怒ってないよ”
沙希は無理やり笑顔を作ろうとしている。
“怒ってるかどうかという話やないねん。わざわざ、そんなこと言わんでええやん。性格悪くない?”
語気が強くなっていることに自分でも気づいていた。沙希は顔をあげずに、鼻を啜りはじめた。
“一人で住んでいた頃より、食材も多く入ってるからさ、お母さんも本当は嬉しいんだと思うよ。ごめんね”
このへんが引き際だと思ったが、適当な言葉が見つからなかった。
“わたしの言い方が下手だっただけだよ。本当にごめんね。ほら!”
沙希は頬を濡らしながらサランラップに巻かれた大きな豚肉を両手で持ちあげて僕に見せた。
こんなときだけ壁にかかった時計の針の音が耳に響いた」
※『劇場』より一部抜粋

 

 f:id:kei561208:20170523013943j:plain 主人公・永田と沙希の関係性に込めた思い

永田、居候の身でそのセリフ、ゲスいわあヽ(`Д´)ノ

思わず外山さんも沙希ちゃんの友達みたいな気持ちになって心配になってくるのもわかります。又吉さんは女性の書き方がやはり本当にこれでいいのかと悩んでいたところはあったそうです。昭和は男が偉そうにして、女性が支えるスタイルがあったと。今は男女の捉え方が変化してきて、その中で昔のやり方を引きずっているカップルとか夫婦も存在していて、彼らは今という新しい価値観の中で生きるのは辛いのではないか。沙希という存在は今という時代の中で、そういう生活を送っている人として描いているため、外山さんの感想は嬉しいとのこと。

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 又吉さんの描く可愛らしい女性

吾郎さんにとっては又吉さんがこんなに可愛らしく女性を描くこと自体に驚いたそうですが、その感想を告げられると恥ずかしがる又吉さん。沙希という女性は男が理想とする可愛くて、本当に性格の良い素直な女性を又吉さんが描くのだと。女の子の仕草(壁に背中くっつけて、伸ばしてさ、指でくにゃくにゃくにゃくにゃしてる人とか……描写とか好き)とかと言えば、外山さんに“だろうなと思った”と言われる始末w

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f:id:kei561208:20170523013943j:plain 主人公・永田が劇作家である理由

恋愛と恋愛をしている人の仕事というのは関係があるのではないか。恋愛と仕事が影響し合う人が多いのではないかと考え、ならばどの職業がいいかと思ったときに演劇も脚本があって、演じる人がいて、思いどおりになったりならなかったりと似ている部分もあるし、今回は演劇という設定をしてみた。

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 文豪イレブン

続いては主人公の永田がサッカーのテレビゲームをする場面を吾郎さんが朗読。サッカー部で高校3年生にはインターハイ出場経験があり、文豪マニアとしても知られる又吉さんならではのシーンです。

 

吾郎「僕は憂鬱な表情のままプレーステーションの電源を入れる。サッカーゲームの映像が流れる。トーナメントのモードにして自分で作成したチームで参加する。
漱石のドリブルで相手の中盤を切り裂く。サイドにはった中原中也がボールをトラップし、相手ディフェンダーのスライディングタックルを鮮やかなジャンプで交わす。
中也からボールを受けた芥川は髪の毛を乱しながら快足を飛ばし、ゴール前で待ち構える太宰に右足でセンタリングを上げる。
太宰はダイレクトにボレーシュートを炸裂させゴールネットを揺らす。
両手の拳を強く握りしめた太宰が雄叫びを上げている。
まず芥川が太宰に駆け寄り、少し遅れて漱石が、そして最後に中原中也が太宰の元に駆け寄る。自軍のゴールを守る井伏鱒二は愛弟子のゴールを称えるように頭上で手を叩いている」
※『劇場』より一部抜粋

 

……とりあえず吾郎さんじゃないけど、なんだ、これはw

ただ、又吉さん自身もこういうことをやったことはあるそうで、ならばとばかりに実際のサッカーボードを番組で用意し、作家の作風からサッカーに置き換え、どのポジションがいいか、文豪イレブンについて語ってもらうことに。

 

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まあ、あえてコメントをするならば、又吉さんは(一人で)楽しそうでしたよ、(一人で)盛り上がっていましたよと。吾郎さんも何となくコメントはするものの、サッカー自体わからないので、それ以上会話が続かないというw

実際、小説『劇場』でもこの場面は長かったらしく、それは良いけど、とりあえず沙希ちゃんとの先はどうなるのかを吾郎さんは思っていたそうです。かつてないほどにイキイキと、饒舌な又吉さんに最終的にはこのサッカーボードはお持ち帰りしてくださいと吾郎さんに言われ、“お正月とかこれで遊べます”と又吉さん。

 

www.dailyshincho.jp

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 『火花』と『劇場』の共通点

編集の方曰く、どちらがA面ということはないけれど、『火花』と『劇場』はレコードで言うとA面とB面の関係ですねと仰っていたそうで、又吉さんも似ているとは思っているそうです。吾郎さんもそれを聞き、“『火花』を読んだ方だと『劇場』を続けて読むとすごくいいなあと思って。なんか、こういうスタイルの作家さんなんだなって、僕もやっとわかった感じがして、又吉さんっていうのは

その吾郎さんのコメントを受け、「物語の登場人物には自分にはない勝手な部分とかをちゃんと残したいと思った。特に今は書けるけれど、この先、書きたくもないときは来るかもしれない。だからこそ、今のうちに書いておかなければならないテーマだったのかもしれません」と又吉さん。

 

f:id:kei561208:20170523013943j:plain 恒例の消しゴムハンコ

今回は『劇場』の作中にある劇団「おろか」の公演を消しゴムハンコで再現するものの、“ボウズ”を“お坊さん”と勘違いするという痛恨の山田くんらしいミスw

 

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でもMC役である吾郎さんや外山さんはもちろんのこと、アシスタント兼消しゴムハンコ作者の山田くんも、きちんと課題図書を読んでますよと何気に伝え、それをハンコとして作成するのも書き手としては嬉しいことかもしれませんね。

確かに読書バラエティーの威信をかけて又吉直樹という書き手の言葉をここまで引き出せたのは『ゴロウ・デラックス』ならではだと思います。文豪イレブンという件は長かったもののw、ゲストが楽しいのは一番ですからね。本当に素敵な番組です、『ゴロウ・デラックス』は。

というわけで、公式HPにも番組の感想をお願いします⇒『ゴロウ・デラックス』ご意見・ご感想大募集!| TBS 

 

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