【考える葦】

某男性アイドルグループ全活動期メンバーで、左利きな彼(稲垣吾郎)を愛でる会

『新国立競技場』と『ゴロウ・デラックス』

2016年9月15日放送の『ゴロウ・デラックス』第221回目のゲストは、リオデジャネイロオリンピックを終えたばかりのタイムリーなゲストかもしれません。2020年東京オリンピックパラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場のデザイン担当をすることになった建築家、隈研吾さん(62歳)

今回も外ロケということで始まりは東京メトロ外苑前駅から。リオデジャネイロから帰国したばかりの隈さんの事務所へと向かいます。

2020年に迎える東京オリンピック大会に向け、メイン会場となる予定の国立競技場は施設の老朽化等の問題もあり、2014年5月に改装のため閉鎖されています。また当初に決定されていたザハ・ハディド氏のデザインが予定されていた予算である1300億円を超え、2520億円という膨大なコストがかかることが発覚、他にもデザインが周囲の環境と一致しないことや大会後の維持費等も問題視され始めたのをきっかけに2015年7月17日に安倍総理によって白紙に戻され、ゼロベースで計画を見直すことに。これは東京五輪エンブレムの疑惑等もあり、東京オリンピックの開催に向けてのバッシングが激しくなってきたためと思われますが、見直しのデザイン再応募の結果、隈研吾さんのA案、そして伊東豊雄さんのB案の二つに絞られ、最終的に隈さんのA案が新国立競技場のデザインになることが決定されたのです。

より詳しく知りたい方は下記のA案決定までのまとめを参照ください。

 

www.yomiuri.co.jp

A案に対し、隈さんは

 

隈「森と一体化した、融合した建築。それが私はレガシー(遺産)になる。それが日本らしさではないかというふうに考えました

 

 

ただ依然として東京オリンピックへの風あたりは強く、それにつきまして興味のある方は下記を参照していただくとして、

 

www.nikkeibp.co.jp

というわけで、本日の課題図書は、

 

なぜぼくが新国立競技場をつくるのか

なぜぼくが新国立競技場をつくるのか

 

 

今回は隈さんのデザイン事務所での収録。まずは南青山にある事務所のデザインから。収録は夜に行われましたが、自然の風を感じられるよう広いテラスで、一面を除いた三面がすべてガラス張りのために日中は東京タワーから六本木ヒルズも一望できる開放感溢れるデザインになっています。そのデザインも特殊な構造をしており、ガラス張りの前面では斜めになっている鉄筋が建物を支え、背後の面は本棚の仕切りのように見せかけて柱となっているアクロバティック構造をしているそうです。

 

kkaa.co.jp

そんな世界的にも有名な隈さんのデザインといえば、木を使うことで有名。その木を使った代表的な作品としてスターバックスコーヒー太宰府天満宮表参道店がありますが、そこでは地獄組という日本古来の木組みを現代建築と融合させたデザインを。また、中国では竹を使った“竹の家”で絶賛されてもいるそうです。

 

sunnyhillsjapan.blogspot.jp

 

近年では歌舞伎座の修復など、国内外のビックプロジェクトも手掛ける建築界のトップランナー。その多岐にわたる作品につきましては、下記を参照ください。

 

archipelago.mayuhama.com

あずは隈さんに新国立競技場についてお聞きすることに。テーブルの上には「ゴロウ・デラックス」の美術スタッフが作成した新国立競技場の模型が。実物はオリンピック開催中ということでリオのジャパンハウスに展示中。4年後の日本に関心は高いらしく、模型の前は人だかりだとのこと。そんな中、着々と4年後に向けて進んでいく日本で、隈さんはどのような気持ちで新国立競技場に取り組んでいるのか。

 

 

隈「火中の栗ってこの本にも書いてありますが、エンブレムの問題からなんか必ず皆から色々言われるじゃない。で、そういう時代なんだと思う。ネット社会って。でも、それでもオリンピックって拾うに値する栗だと思う。で、この栗を拾ってやっぱし外苑の森に優しい環境を残したら、何十年、何百年経って、あ、あのときやってくれて良かったなと気にして良かったなと思ってくれるような物を作りたいと思って、それで火中の栗に挑戦したんですよねえ。でもね、やっぱり建築って不思議なもんでね、そうやって色々な人に色々言われるほど、建築家は磨かれて良くなっていくって僕は思ってるから。今度はポジティブに考えて

 

 

実際、隈さんの元には大量のお手紙が来るのだとか。こういうふうにしたらいいんじゃないか、聖火台の案だとかが精密に描かれてものだとか、それだけ国民的関心がある事案なのだという証拠なのかもしれません。

今回は隈さんが新国立競技場を建設するにあたり、工夫したという4つのポイントを紹介。

 

①なるべく高さを低くした……昔は高ければ高いほど目立つ時代だったが、今は低ければ低いほどいい。以前は照明塔の上が60mあったが、A案は一番高いところで49mに抑えている。外苑の森があるため、あまり高くせずに森に調和できるための低さ。ちなみにB案はA案より高く、さらにザハ案は70mという高さを予定していたそうです。

隈さんが調和を重視するのには理由があって、見栄えを重視するあまり、採算を度外視した建築がなされることが多く、大会終了後に運営ができず、荒廃していくケースが多いのです。実際、荒廃している跡地はこちらで確認することができます。

 

www.huffingtonpost.jp

ロンドンオリンピックぐらいから盛んにレガシー(遺産)と言われ始め、後で使うことを前提に考えるようになったものの、実際のロンドンオリンピックの改修費は膨れ上がってしまう結果に。その教訓を活かし、東京オリンピックは後々の変更も簡単に出来る用設定がなされているそうです。

 

www.nikkansports.com

 

②客席を三段式にした……競技場が低いということは客席からフィールドからが近くなり、臨場感が持てるようになる。また避難するのを想定すると、二段式よりも三段式にすることで登る(降りる)高さが軽減され、避難階段にすぐアプローチ出来るというメリットもある。

実はこの工夫、ある建物を改築した際の経験を活かしたそうで、該当箇所を外山さんが朗読します。

 

 

観客席の快適性にこだわる姿勢は、歌舞伎座の建て替えを手がけたときに鍛えられました。古い歌舞伎座(以前の四代目)は風格ある建物でしたが、それぞれの客席のイスが狭く、また傾斜もきつかったので、上のほうに座っていると、つんのめって舞台を観る感じでした。

五代目に建て替えるときは、どこの席からも花道での芝居が観られるようにすることが重要な改善点でした

     ※「なぜぼくが新国立競技場をつくるのか」より一部抜粋

 

 

以前の歌舞伎座も観えない場所はあったし、音が届かない場所も測定してみたらあったそうで、全部の席で観える、聞こえるを徹底したのが五代目となる新歌舞伎座で、新国立競技場も同じような考えからデザインは発しているそうです。

そして三番目のこだわりについてを吾郎さんが朗読。

 

 

こんなふうに言うと少しおおげさに聞こえるかもしれませんが、“コンクリートの時代”を“木の時代”に変えることが自分の使命だと、ぼくは思い始めています。新国立競技場のやり直しコンペ要項には、次のような記述がありました。

“人にやさしく、誰もが安心して集い、競技を楽しむことのできるスタジアム”、“周辺環境と調和し、最先端の技術を結集し、我が国の気候・風土・伝統を現代風に表現するスタジアム”、“地域の防災に役立ち、地球全体の環境保存に貢献するスタジアム”

これを読んだとき、“絶対、木でいくべき”と確信しました

     ※「なぜぼくが新国立競技場をつくるのか」より一部抜粋

 

 

③素材に木を使用する……天井の木は構造としての役割も果たしているため、カラマツという強い木を中心にし、外はスギ中心。日本人は木に繊細だから適材適所の木を使って、できれば震災の地の木もたくさん使用したい。

隈さんの話を聞いた吾郎さんが、最初のうちはすごい木の香りがしますよね?という確認をしたときの、“そうッ!!”と我が意を得たといわんばかりの隈さんの反応が面白いです。歴史と共に木の香りも変わっていく変化も楽しめる競技場になっていくとなれば、定期的に足を運んでみるのも面白いのかもしれません。

そして隈さんといえば木を使った建築ということで、吾郎さんが実際の建築を見にロケへ行ってきたということでVTRを見ることに。

 

そこで始まるどこかで聴いたことのある曲に、どこかで見たことのあるロゴに、そしてどこかで聞いた記憶のある台詞……遊び心があるのは前々から知ってたけど、「渡辺篤史の建もの探訪|テレビ朝日」って他局だからw

訪れたのは隈研吾さん建築の、台湾のパイナップルケーキで有名な南青山にある『サニーヒルズ』

icotto.jp

森を作りたいというコンセプトの店舗に“木が呼吸しているのが伝わりますね”という吾郎さんのコメントを聞いた店長さん、さすが稲垣吾郎さんと言ってらっしゃるような気が(気のせいかしら)

ちなみにお店に来店されるとパイナップルケーキが1ケ無料で試食できるというお得情報が。そのパイナップルケーキを試食し、隈さんがこの建物で一番気に入っている女子トイレを見ることに。カウンター部分に特徴があり、傾斜のある木がそのまま水を流す構造になっているという、清潔感もありオシャレなトイレに。

 

④緻密な計算で作った屋根……屋根の形は太陽の方位等をコンピューターに入れて、芝生に光がまんべんなく当たって育つよう合理的に算出された結果、はじき出された形となっているそうです。

最後には建設中の現場を訪れる三人。時間は夜ですが窓から見ればそこには広大な土地が。隈さんが説明するとおり、周りにはちゃんとした森があるからか、撮影が夏ということもあってかセミがすごくウルサイw感嘆する吾郎さんと外山さんですが、立ったらまた一緒にという外山さんのコメントが嬉しいです。実際に新国立競技場ができた際は隈さんに案内してもらい、それを「ゴロウ・デラックス」で放送できるといいですね。

恒例となった山田くんの消しゴムハンコはといえば、簡単にとはいいましがた新国立競技場に周辺のビルの山、そしてそれを取り囲む森という素敵な風景のハンコが。

新国立競技場は着工が2016年12月1日、そして完了が2019年11月30日を予定しています。まだまだ問題は山積しておりますが、無事に完了し、2020年の東京オリンピックでその素敵なデザインを披露してもらいたいと思います。

というわけで、公式HPにも番組の感想をお願いします⇒『ゴロウ・デラックス』ご意見・ご感想大募集!| TBS

 

www.bookbang.jp

 

www.asahi.com