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- 考える葦 -

某男性アイドルグループ全活動期メンバーで、左利きな彼(稲垣吾郎)を愛でる会

『劇画1964』と『ゴロウ・デラックス』

2016年7月21日放送の『ゴロウ・デラックス』第213回目のゲストは、48年間連載が続く「ゴルゴ13」で有名な劇画界の代表的人物であるさいとう・たかをさん(79歳)

冒頭はなぜか小芝居から始まります。ビルの屋上に怪しげな黒いスーツを着た男の影が。男は下を見下ろせる角に来ると手にしたアルミのアタッシュケースを地面に置き……そこから「ゴルゴ13」の主人公であるデューク・東郷が狙撃に使用するとされるM16自動小銃の姿が。

 

gungeek.doorblog.jp

一方、ビルの下では『ゴロウ・デラックス』収録のためカウントダウンを行うスタッフの声が。そして始まりの挨拶をし始める吾郎さんと外山さん。

 

 

吾郎「夏のロケは駄目ですよ、僕は。覚えてますか、東京水路を行く…

外山「暑かったですねえ(笑)

 

 

その最中に組み立てを終え、構えたM16のスコープが吾郎さんを狙うというコント仕立ての割には本格的なディテール。さすが細部にこだわる『ゴロウ・デラックス』w

 

 

吾郎「ねえ、ちょっと湿度が

外山「そうですね。でも、今日はちょっと……

 

 

そんな会話を交わす最中、吾郎さんの右胸元にはレーザーポインターに狙われた証拠の赤いポインタが。それに気づいた外山さんが“吾郎さん、危ないッ(棒読み)!!”と伝えるものの、すでにライフルから発射された弾は吾郎さんの胸を正確に貫きます。しかし、一瞬よろけるものの、その狙撃された右側に一冊の分厚い本を入れておいたおかげで無事だった吾郎さん。というわけで、本日の課題図書は、

 

 

そして胸元からマグナム44を取り出した吾郎さんがトリガーを引けば、「今回のゲストはさいとう・たかを先生!」と書かれた垂れ幕が。というか、どんな始まり方w

 

ゴルゴ13 (1) (SPコミックス)

ゴルゴ13 (1) (SPコミックス)

 

 

さいとう・たかを先生が描かれる世界最強の殺し屋と呼ばれるデューク・東郷を主人公とした「ゴルゴ13」は、連載を開始してから今年で48年目を迎え、コミックは合計181巻。総発行部数は2億冊を超えるという大ヒットマンガ。中でも特筆すべきはその連載期間である48年間、休載が一度もないということ。しかもその間も「鬼平犯科帳」や「仕掛人 藤掛梅安」といったヒット作品も精力的に世に送り出している凄さ。

実はロケ日は「ゴルゴ13」の締切日。マネージャーさんの許可の元、東京・中野にある“さいとう・プロダクション”のビルの中へ。案内された場所がさいとう先生の個室ということで、さっそくのご挨拶をする吾郎さんと外山さん。

作業中の先生に何をしているのかと尋ねれば、連載中の「ゴルゴ13」の扉絵を描くところだったので描かれるところを見せていただくことに。マジックペンを取り、顏の輪郭、そして中心線のあたりがえんぴつ線で入っているところにいきなり眉を描き始めます。「下書きはされないのですね」と問う吾郎さんに、「20代ぐらいから下書きはしない。表情が出なくなる。なぞるから」とさいとう先生。二人が見守る中、15分ほどでデューク・東郷の線が完成。さらにタイトルをえんぴつ描きで入れ、ページ全体のレイアウトの指定も入れると後はスタッフに任せるのがさいとう・プロダクションのやり方。

変な都市伝説の噂で、先生はゴルゴの目しか描いていないんじゃないかという」確かにそんな都市伝説は昔から聞いていますが、先生曰く、いつの間にやらそんな噂が出たと。ただ、そういう人はまだマシで、中には描いてすらいないという噂まであるそうです。実際、TV収録で撮っているように60年間、ちゃんと描いています。

タバコをくゆらせる先生に促されて背後を見ると、そこには「旭日小綬章」の賞状が。2010年に受賞し、2003年には「紫綬褒章」も受賞されているさいとう先生。ちなみに最初に「紫綬褒章」を頂いたときには、テロリストを描いてて、国から何かもらえるとはねえ(笑)となかなか愉快な先生です。

現在、「ゴルゴ13」が月2本、「鬼平犯科帳」が月1本とあわせて月3本の連載を抱えているさいとう先生。どうやって制作ペースを保っているのか、作業がひと段落した先生と一緒にスタッフさんの仕事場へと移動します。

実は漫画界で分業制を始めたのはさいとう先生。さいとうプロでは①原案・脚本をさいとう先生+脚本家が、②ネームをさいとう先生が、③人物をさいとう先生+スタッフ、背景をまた別のスタッフ、小物などもさらに別のスタッフと細分化され決められているのです。たとえばとあるページで、ゴルゴに女性キャラと男性キャラが登場するシーンがあるとすれば、ゴルゴは当然さいとう先生が描きますが、男性キャラは男性スタッフが、女性キャラは女性スタッフが、そしてゴルゴが持つM16は別の男性スタッフが、背景もさらに別のスタッフと1ページの中で計5人が分担し、作業を行っているのです。そのため、いとう・プロダクションで描かれる漫画の最後にはちゃんと担当スタッフの名が明記されています。

さいとう先生は言います。「ドラマを考える才能と絵を描く才能は絶対別。歌でもそうでしょう?」と。

そして「ゴルゴ13」といえば特に武器などの綿密な描写が有名ですが、武器担当用の資料室があるため、そちらも見せていただくことに。所狭しと並ぶ300挺のモデルガンを見た瞬間に興奮の声を上げる吾郎さん。

 

 

わっ、すごい。わ、わ、すごいですねえ。僕、銃大好きなんですよ!

本当に好きなんです。子どものころから

もう(ケースに)入ってるこの姿でわかりますから。ワルサーPPK。要するに“007”ジェームズ・ボンド

懐かしい。これ南部十四年式っていって日本の、旧日本陸軍とかが使ってた。南部製鉄。ドイツのルガーとかがモチーフにされた銃

 

 

マニアぶりをいかんなく発揮する吾郎さんのコメントに、「良く知ってるな、さすが」とさいとう先生は嬉しそうに答えていましたが、吾郎さんのガンマニアっぷりをご存じなのかしら。ちなみに300挺のモデルガンに警察の方が本物が混じっているのではないかと二度ほど見に来られたこともあるのだとか。こうやっていろいろなスタッフに支えられ、「ゴルゴ13」は48年という長きに亘っての連載が可能になっているのです。

ここから先はさいとう・たかを先生の人生年表を。

1936年に和歌山県に生まれ、大阪で育ちます。10歳で美術コンクールで金賞を受賞するというすでに才能の片りんを見せていたさいとう先生。けれど、その作品をお母様に見せたところ、一言も言わずにクルクルと丸め、竈の中に放られてしまったのだとか。実はさいとう先生のお父様は絵描きや役者を志したものの、結局はものになることはなく、その挫折していく姿をそばで見てきた母親としては食べるに困るような芸術方面を息子には志してほしくない、手に職を持ってほしいという考えがあったようです。実は先ほどの先生の部屋にはそのお母様の写真があり、そのときにも“私がこの世界に入ることを最後まで反対した人です”という紹介をされていたのです。

1948年の12歳で恩師と出会うさいとう先生。実は若い頃はやんちゃに中間試験などは白紙で出していたというさいとう先生。当時の担任だった東郷先生がその白紙をさいとう先生の前に置くと、「これを白紙で出すのは君の意思で出すのだから仕方ないだろう。しかし、これは君の責任のもとに出すのだから名前を書け」と言われたそうです。そこで人間の約束事とはこういうことかと初めて気づいたさいとう先生。その先生への尊敬の気持ちから「ゴルゴ13」の主人公に東郷という名前がついたのです。

1960年にはさいとう・プロダクションを設立。分業制による漫画を確立しました。そして1964年に課題図書となる『さいとう・たかをゴリラコレクション 劇画1964』を発表。この漫画が日本漫画界になくてはならない偉業となるのです。

というのもこの漫画が所謂「ストーリー漫画」のはしりとなるのです。1960年代の大人向けの漫画といえば内容は多くて2~3ページ。1コマや4コマ漫画ばかりだった時代。そんな中、「大人も読める映画のようなストーリー漫画こそ、時代が求めているものだ」と出版社に呼びかけ、大ヒットし、今の数多くある青年誌が続々と誕生するきっかけを生み出したのです。つまり、さいとう先生は青年コミックス誌におけるパイオニアでもあったのです。

というわけで、課題図書の中から「香港ルートをたたけ!」を。吾郎さんが密輸ビジネスを行う主人公の森、その森を殺そうとする刺客に山田くん、女性キャラを外山さんが朗読します。

 

 

外山「もう、おもちゃいじり……ちょっとはあと味を楽しむって気にはなれないの? ムードのない人ね

吾郎「ふん!男と女の違いってやつだ。女はそのときそれがすべてになっても……男にとっちゃあ、しょせん、おもちゃの組み立てと変わらない。でき上がるのを楽しみに組み立てる。でき上がっちまやあそれまでさ!

外山「私もあなたのおもちゃってわけね!

吾郎「できた

外山「ほんとに馬鹿らしいったらありゃあしない!!

~主人公・森は新たな密輸ルート拡大をもくろみ、敵対勢力の会長の息子を誘拐。しかし、その息子は森の野望を阻止する刺客だった。罠にかけられた森は一騎打ちをしかけられる~

吾郎「よしっ!一対一の勝負といこうじゃないかっ!

山田「ふふふ、よかろう!みんな退っていてください!出ろっ、森っ!!

(銃を打ち合い、倒れる森)

山田「このおもちゃは、私の仕事完了の記念にもらっておくよ!!

吾郎「く……くそっ!

外山「達也!

山田「さあみなさん、引きあげましょう!」(車に乗って移動)

外山「カワイイオモチャネ!

山田「あの森くんの力作さ!

吾郎「そ、そろそろ……おもちゃのネジが切れるはずだ!さあ、巻くんだ、いっぱいに巻きこむんだ!

外山「止マッチャッタワ、達也

山田「貸してごらん、ネジを巻いてあげよう!! まったく器用な男だよ、森は……こんなおもちゃをたくさん作ってるんだよ!!

(ネジを巻くとともに車が爆破するシーン)

吾郎「や、やったっ、ふふふ……だてや粋狂でおもちゃいじりが好きなんじゃあねえんだ!! な、なにもかも……ぶっつぶれてしまったぜ!ざ、ざまあみろっ!!

  『さいとう・たかをゴリラコレクション 劇画1964』より一部抜粋

 

 

そして1968年に「ゴルゴ13」の連載が開始。さいとう先生は理詰めでものを考えるため、青年誌で大人ものを描くにはどんな主人公で、どんな話を持っていったらいいのだろうかと検討した結果、世界の情勢も取り入れれば映画みたいな面白さが出るのではないかとそこから世界一の殺し屋であるデューク・東郷が誕生します。

おそらくは締切に間に合うよう、余裕あるスケジュールを組んでいらっしゃるのだろうとは思いますが、やはり当日となれば忙しいでしょうに、少しも嫌な顔をすることもなく、協力してくださったさいとう先生。やはり一流と呼ばれる人は精神の豊かさを持つのでしょうね。だからこそ、一流になったともいえるかもしれませんが。本当にダンディーに素敵な先生でした。

最後は恒例の山田くんの消しゴムハンコ。今回は色違いのデューク・東郷とさいとう先生の消しゴムハンコを。ちょっと見せてとスケッチを手に取り、マジマジと見つめ、「上手いな」と一流の漫画家であるさいとう先生からもお褒めの言葉が。そろそろ作品集が出てもいい感じではないでしょうか。

それといつもの『Book Bang』さんによる番組記事紹介と、以前、さいとう先生が浦沢直樹さんのNHKで放送されている漫勉に出演されたときのHPを紹介しておきますので、もしよろしければご覧ください。

というわけで、公式HPにも番組の感想をお願いします⇒『ゴロウ・デラックス』ご意見・ご感想大募集!| TBS

 

www.nhk.or.jp

www.bookbang.jp