ベートーヴェンと「No.9 - 不滅の旋律 - 」
2015年10月10日から行われた吾郎さんの舞台【No.9 - 不滅の旋律 - 】(全28公演)がWOWOW presents「勝手に演劇大賞 2015」の作品賞ストレートプレイ部門、演出家賞、女優賞受賞の3冠を達成したのと、【えんぶチャート2015】の作品部門にて「No.9 - 不滅の旋律 -」が第2位を、そして俳優部門にて稲垣吾郎さんが第1位を獲得した記念に、当時Twitterはしていたもののブログは行っていなかったのでログを残しておこうかと思います。
その前に【No.9 - 不滅の旋律 - 】が初日を迎えるまでの流れを。
最初に【No.9 - 不滅の旋律 - 】に関する発表があったのは2015年6月4日(木)でした。当初発表されたのは共演に大島優子さんが、そして演出に白井晃さん、脚本に中島かずきさん(劇団☆新感線座付き作家)、音楽監督に三宅純さんという豪華さに東京、大阪、そして北九州の3か所での公演を行うという内容でした。
稲垣吾郎・主演「No.9-不滅の旋律-」共演・大島優子 他 2015年秋上演決定!豪華キャスト、スケジュール等は近日発表! http://t.co/USKVs7rk7l @no9stage
— No.9-不滅の旋律- 公式 (@no9stage) 2015年6月3日
『五右衛門VS轟天』大阪本番中『阿弖流為』稽古スタートという中、もう一つ、新作舞台の発表がありました。ベートーヴェンの生涯を描く『No.9』。演出の白井晃さんとはまた組みたかったし、主演の稲垣吾郎さんとは久しぶりの舞台。楽しみです。http://t.co/W1soxxQ4jd
— 中島かずき (@k_z_ki) 2015年6月4日
近来稀に見る早期発表に吾郎さんファンがどよめき、 またその内容にもどよめいたのは言うまでもありませんが、翌月の7月3日(金)には全キャストが発表され、
全キャスト発表!稲垣吾郎主演舞台『No.9-不滅の旋律-』
たとえ耳が聞こえなくなっても、私の頭の中には音楽が鳴り響いている……。
作曲家として人間として、劇的な半生を送ったベートーヴェン。交響曲をはじめ数々の名曲を生み出した恐るべき天才。最後の交響曲「第九番」まで、彼はどんな時間を生きたのか。
誰もが知る作曲家の、誰も知らない時間。閉ざされた聴覚の中に響き渡るのは、音楽か耳鳴りか。天才を襲った悲劇は、美しい珠玉の名曲を生むための運命なのか。聴覚を失ってから作曲された最後の交響曲「第九番」、しかしその聴衆の熱烈な歓声が彼の耳に届くことは無かった……。
【出演】稲垣吾郎/大島優子/片桐 仁/マイコ/加藤和樹/山中 崇/深水元基/施 鐘泰(JONTE)/広澤 草/小川ゲン/高岡早紀/長谷川初範/田山涼成
【演出】白井晃
【脚本】中島かずき(劇団☆新感線)
【音楽監督】三宅純
【東京】2015年10月10日(土)~25日(日)赤坂ACTシアター
※7月18日(土)チケット発売
【大阪】2015年10月31日(土)~11月3日(火・祝)オリックス劇場
※8月23日(日)チケット発売
【北九州】2015年11月13日(金)~15日(日)北九州芸術劇場大ホール
※8月8日(土)チケット発売
人気・実力のある役者さんたちの出演に否応なしに期待感は高まり、同月14日(火)には制作発表がなされました。
本日「No.9-不滅の旋律-」製作発表を行いました!
— No.9-不滅の旋律- 公式 (@no9stage) 2015年7月14日
登壇者:【出演】稲垣吾郎、大島優子【演出】白井晃【脚本】中島かずき
テレビ、新聞、雑誌、WEBなどメディア情報を是非ご確認ください!!http://t.co/BtkKqMt345
10月から始まる舞台
— 大島優子 (@Oshima__Yuko) 2015年7月14日
「No.9-不滅の旋律-」
の制作発表でした
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『五右衛門vs轟天』も『阿弖流為』も好評なうちに公演を重ねていて非常に嬉しいのですが、そんな中、今日はベートーベンを題材にした新作舞台『No.9 不滅の旋律』の製作発表。稲垣吾郎さん大島優子さん、演出の白井晃さんと登壇してきました。http://t.co/aTXrGD2Zl6
— 中島かずき (@k_z_ki) 2015年7月14日
中島かずき脚本、白井晃演出、稲垣吾郎主演の舞台『No.9-不滅の旋律-』で、大島優子がいよいよ本格的な舞台に初挑戦![インタビュー]⇒http://t.co/xxkT9GJFm6 pic.twitter.com/66c8eJyb6I
— e+(イープラス) (@eplusjp) 2015年7月28日
公式HPがすでになくなっているため、公式Twitterよりそれぞれの役どころをツイートした内容を転載しておきます。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(稲垣吾郎)権力や貴族・身分の違いにへつらうことを嫌い、誰に対しても慇懃無礼に振舞う。細かく偏屈な性格のためメイドも次々辞めていく。衰えゆく聴力に悩まされながらも、頭の中の完璧な音楽を信じて作曲に没頭する。
— No.9-不滅の旋律- 公式 (@no9stage) 2015年8月19日
マリア・シュタイン(大島優子)ピアノ作りで著名だった父親のピアノ工房を、姉夫婦と共に切り盛りしている。ベートーヴェンの才能を認めながらも彼の聴力に疑いをもったことから、真相を探るべく彼の家のメイドとなる。 pic.twitter.com/1M6Nzf2d9X
— No.9-不滅の旋律- 公式 (@no9stage) 2015年8月20日
ヨハン・ネポムク・メルツェル(片桐仁)補聴器やメトロノームをベートーヴェンに提供した評判の高い発明家だが、実業家の側面が強く、それがお調子者のように見えることもある。 pic.twitter.com/n7XrRH3Y4H
— No.9-不滅の旋律- 公式 (@no9stage) 2015年8月21日
ナネッテ・シュタイン・シュトライヒャー(マイコ)当時殆どいなかった女性のピアノ職人。夫と共に父のピアノ工房を切り盛りする。ベートーヴェンが難聴であると知りながら、困難にも思える彼からの注文に答えようと採算度外視でピアノ作りに没頭する。 pic.twitter.com/vztsB31NGU
— No.9-不滅の旋律- 公式 (@no9stage) 2015年8月22日
ニコラウス・ヨーハン・ベートーヴェン(加藤和樹)ベートーヴェン3兄弟の末弟。幼い頃、次弟カスパールと共にベートーヴェンに養われていた。難聴である兄を支える心優しい青年だが、彼のわがままな気性に振り回される。 pic.twitter.com/mdFP9P1A8P
— No.9-不滅の旋律- 公式 (@no9stage) 2015年8月24日
ヨハン・アンドレアス・シュトライヒャー(山中崇)ナネッテの夫でピアノ職人。ナネッテの父から引き継いだ工房を切り盛りする。妻の方が優れた職人であると認識した上で、ピアノ作りに生涯を捧げ、音楽と共に生きている妻やマリアを温かく見守る。 pic.twitter.com/cX5UGrUD0d
— No.9-不滅の旋律- 公式 (@no9stage) 2015年8月25日
フリッツ・ザイデル(深水元基)警察官。アンドレアスの友人でもあり、よく工房に出入りし、彼らと親しくしていた。情勢が変わり、ナポレオンの形勢が不利となると、台頭してきたメッテルニヒ大臣の秘密警察となり尊大な態度をとるようになる。 pic.twitter.com/QYpiSHTIzK
— No.9-不滅の旋律- 公式 (@no9stage) 2015年8月26日
カスパール・アント・カール・ベートーヴェン(施鐘泰(JONTE))ベートーヴェンの次弟。病弱。彼を支えていたが、ヨハンナとの結婚を執拗に反対され疎遠に。病に侵され死期を悟り、息子カールの後見人になってほしいとベートーヴェンに懇請する。 pic.twitter.com/NhFk6etVHt
— No.9-不滅の旋律- 公式 (@no9stage) 2015年8月27日
ヨハンナ(広澤草)カスパールの妻。カスパールとの結婚を反対され、結婚後も
— No.9-不滅の旋律- 公式 (@no9stage) 2015年8月28日
ベートーヴェンに目の敵にされる。カスパールの死後、息子のカールの後見を巡ってベートーヴェンと激しく争うが、結果カールを強引に奪われることになる。 pic.twitter.com/a2rNTjyWJQ
カール・ヴァン・ベートーヴェン(小川ゲン)カスパールの息子。父親の死後、ベートーヴェンに引き取られる。自分の後を継ぐ音楽家にするためにと母親から離され、厳しい教育を施すベートーヴェンに悩まされ反発する。 pic.twitter.com/ym1clDd6E5
— No.9-不滅の旋律- 公式 (@no9stage) 2015年8月29日
ヨゼフィーネ・フォン・ブルンスヴィク(高岡早紀)貴族。ベートーヴェンの恋人であったが、当時、平民と貴族の結婚はあり得ないことだった為、父親の強い勧めで平民のベートーヴェンではなく貴族の男性と結婚。その後もベートーヴェンを翻弄する。 pic.twitter.com/WVRdMa48fG
— No.9-不滅の旋律- 公式 (@no9stage) 2015年8月30日
ヴィクトル・ヴァン・ハスラー(長谷川初範)商人。ヨゼフィーネの父の知り合いとして、ベートーヴェンの音楽の才能を理解し、当時台頭していたナポレオンのための曲を作ることを依頼、商売を持ちかける。 pic.twitter.com/Gqk6mBHb8l
— No.9-不滅の旋律- 公式 (@no9stage) 2015年8月31日
ヨハン・ヴァン・ベートーヴェン(田山涼成)ベートーヴェンの父。酒に溺れ、ベートーヴェンの幼少期に暴力を伴う激しい音楽教育を施していた。既に故人だが、ベートーヴェンの前に幻として現れる。 pic.twitter.com/HRAWKGJS7U
— No.9-不滅の旋律- 公式 (@no9stage) 2015年9月1日
公式HPに吾郎さんのベートーヴェン姿がUPされたとき、そのあまりの美しさへのどよめきもまた忘れられない記憶です。UPしたいですけどね。そして9月に入り稽古が始まり、9月2日より立ち稽古が開始されますが、カンパニーの多くがSNSを通し、稽古の様が盛り上がっていくのを教えてくださったため、ファンもまた一緒になって徐々に気持ちが高鳴っていったのも【No.9 - 不滅の旋律 - 】の特徴だったかもしれません。
日本でのミッッションはベートヴェンの半生を描いた舞台「No.9 不滅の旋律」の音楽監督です。楽聖に最大限の敬意を表して今回はオリジナルスコアではなく、サウンドデザインと現場監督に徹します。キャストに加え3人のピアニストと合唱隊が出演。
— Jun Miyake /三宅純 (@jun_miyake) 2015年8月30日
舞台稽古だたよ
— 大島優子 (@Oshima__Yuko) 2015年9月2日
すごくすごく勉強になることばかり!
楽しいよ〜#no9 #不滅の旋律 #ベートーヴェン https://t.co/jNYig8pCAx
夏が戻ってきた感じな天気。本日から立ち稽古!白井さん演出、楽しみだ。
— 加藤和樹 (@kazuki_kato1007) 2015年9月3日
合唱が入ると舞台も一気に華やかになる。音楽の絶妙なバランスも新鮮。毎日が刺激的で、学びに溢れてます。全ての関係者に心から感謝です。#不滅の旋律 #ベートーヴェン #no.9
— tadashi suenaga (@tadashisuenaga) 2015年9月17日
今日も稽古が終わりました。
— 岡嶋晃彦@粒オペやりたい (@vivatenore) 2015年9月24日
ひとつの場面に時間をかけて、丁寧に創り上げています。
そろそろ全貌が見えてきました。
好きな役者さんを観に来ても、その人だけでなく、他の出演者、そして、物語に引き込まれる、そんな舞台になるのではないでしょうか。
#No9不滅の旋律
お元気様です。
— 岡嶋晃彦@粒オペやりたい (@vivatenore) 2015年10月2日
本日は、衣装パレード、そして稽古でした。
シーン毎に衣装を着た出演者が並ぶと、圧巻です。
物語の時の流れが、衣装にも反映され、イメージが濃くなります。
稽古でも、さらにテンション上がってきました!
いよいよ、稽古も大詰めです!
#No9不滅の旋律
初日まで一週間を切った。この一ヶ月とにかくがむしゃらに稽古にしがみついた。音楽的にも新鮮で刺激的な経験。この作品は舞台上の役者と音楽家の共演で成っているものではない。これに関わる人たち全てが共演して出来ている。#不滅の旋律 #no9 pic.twitter.com/h1H6Ti1LnI
— tadashi suenaga (@tadashisuenaga) 2015年10月4日
そして10月9日(金)には10日(土)の初日に先駆けてプレスコール及び囲み取材が行われたわけです。
◆ベートーベン稲垣吾郎の情熱的なラブシーンにも注目!舞台『No.9-不滅の旋律-』ゲネプロ公開 | エンタステージ
◆稲垣吾郎 大島優子『No.9-不滅の旋律-』10月10日初日!囲み取材&公開ゲネプロ - Astage-アステージ-
「no9-不滅の旋律-」本日初日を迎えました。僕に新たなベートーヴェン像を与えてくれたこの舞台。観客の皆さまはじめ、全ての関係者に心からの感謝と愛を持って思いきり演奏させて頂きます。#no9 #不滅の旋律 #ベートーヴェン
— tadashi suenaga (@tadashisuenaga) 2015年10月10日
おはようございます。本日ついに舞台 NO.9初日。うずうずと緊張で楽屋1番乗り(笑)もちろん準備もあるけれど、初日はやることがたくさん。いい初日になるよう、全力でぶつかります! pic.twitter.com/VTqNkqkssz
— 加藤和樹 (@kazuki_kato1007) 2015年10月10日
いよいよ、初舞台へ!!「No.9ー不滅の旋律ー」
— 大島優子 (@Oshima__Yuko) 2015年10月10日
すべてをぶつけます!! pic.twitter.com/OJ38L2gsnm
『No.9』いよいよ初日です。
— 中島かずき (@k_z_ki) 2015年10月10日
昨年末の『ジャンヌダルク』から始まった『真田十勇士』『五右衛門vs轟天』と続いた赤坂ACTシアターシリーズの掉尾を飾る新作です。
来年は福岡での芝居しかないので、この規模の舞台とはしばらくお別れ。
少し毛色の変わった作品ですが楽しんでいただければ。
その後、初日に観劇された皆様の感激ぶりは語るまでもなく、期待値を上げて観劇に行かれてもそのボルテージは下がるどころか日増しに熱狂的になっていったわけです。
自分の「No.9 - 不滅の旋律 -」観劇した感想ツイートのログを残しておこうと思ったけど、その前置きが長すぎたw
ログは別記事にUPするとして、この【No.9 - 不滅の旋律 -】をプロデュースされたTBSテレビの熊谷信也さんインタビューを。熊谷さんは2008年よりTBSに赤坂サカスが誕生したときより事業局赤坂サカス推進部長として携わり、「サカス広場」のほか「赤坂ACTシアター」やライブハウス「赤坂BLITZ」のイベントの多くをプロデュースされている方です。
細田:「No.9 - 不滅の旋律 -」の見どころは
熊谷:10月10日から赤坂ACTシアターで上演される「No.9‐不滅の旋律‐」。着想から約5年、ようやく皆様にお届けすることができます。きっかけはベートーヴェンという人に興味を持ったこと。これだけ悲劇を抱えた音楽家がいたのかと、彼の生き方にとにかく感動しました。知れば知るほどすごいと思い、これをどうにか舞台で上演したいと思ったのです。主演はSMAPの稲垣吾郎さん、そして初舞台の大島優子さん。最高のキャスティングになりました。
(中略)
舞台作品をご覧になりながら迫力ある音楽を体にダイレクトに感じ、きっとご満足していただけることでしょう。まさにここでしか味わえない唯一のリアルな作品です。
テレビ、デジタル、ライブ、メディアの手法は違えども、我々が追求しているのは"リアルな体験は最高の価値"とお客様が感じてくれることなのです。
細田知美のMerci ! インタビュー/TBSプロデューサー・熊谷信也さん『"リアルな体験は最高の価値"と感じてもらうためのおもてなし』(2015.10.02)
同じくFacebookで「TBS ヴィンテージ クラシックス」というのがあり、そちらでも舞台期間中【「No.9-不滅の旋律ー」開幕記念連続エッセイ:TBSとベートーヴェン】というエッセイが書かれていたため、吾郎さんに関連する部分のみちらりとですがこちらに転載しておきます。
稲垣吾郎は、真正面から挑戦する。ベートーヴェンを人間として描くのだ。神格化でもない。苦悩というステレオタイプでもない。稲垣は、朝日新聞の記事で「チャーミングなエンターテイナー」という切り口を示した。ベートーヴェンは、欠点も多々あった人物である。欠点もあるというのは、人間だということだ。神ではない。今回の舞台をプロデュースした熊谷信也氏は、「俳優人生を賭けた挑戦。入魂の演技が見ものである。」と語っている。大いに期待したい。さあ、あと3時間で幕開けである。
「No.9-不滅の旋律ー」開幕記念連続エッセイ:TBSとベートーヴェン① 2015年10月10日 TBSヴィンテージクラシックス 小島英人
主役は、稲垣吾郎。生身のベートーヴェンを大熱演した。興行11日目。身体を張り、気持ちを張る舞台である。本日などは、マチネもこなし、夜公演では、さすがにやつれが見えた。それが苦悩の人の企まざる演出となっていた。ベートーヴェンの激情と破天荒を演じきった。ブラボーの声が飛んだ。
「No.9-不滅の旋律ー」開幕記念連続エッセイ:TBSとベートーヴェン③ 2015年10月21日 TBSヴィンテージクラシックス 小島英人
稽古は丸ひと月、行われた。ベートーヴェン役の稲垣吾郎さんは100%の時間を稽古に専念できたわけではない。稲垣吾郎さんのSMAPの一員としての仕事は、この期間ですら休みであるはずがない。テレビ局のレギュラー番組のみならず、この時期は期首編成の特番、CM、そして音楽活動と、他のキャストより確実に稽古時間が短い。おそらくは自宅でも睡眠時間を削って台詞を覚え、仕事の時間を縫って芝居の稽古に臨まなければならなかったに違いない。脚本家中島かずきの台本はそのようなことに全く左右されず、これでもかと言う程の台詞量であった。製本された台本を見た時、「やばい3時間半を超えるか・・・」と私ですら思った。なぜなら220ページの厚さだったから(中略)演出家の思う稲垣ベートーヴェンを作り出して行く。ストイックな稲垣吾郎さんは稽古場で声を震わせ身体を震わせ、不遇のベートーヴェンに近づいてゆく。本番の約10日前、「初通し」(1幕から2幕まで始めて通して稽古をすること)を見たとき私は思わず泣いていた。
ただひたすら芸術のための孤独な戦いと絶望の中から希望を見い出し交響曲第九番へと歩んでいく稲垣ベートーヴェンがそこにいたからである。
「No.9-不滅の旋律ー」開幕記念連続エッセイ:TBSとベートーヴェン⑩ 2015年10月29日 No.9―不滅の旋律―プロデューサー TBSテレビ 熊谷信也
稲垣吾郎への献辞
テレビ・映画・舞台と俳優としての活躍の舞台は広い。
どんな作品でも彼は、彼でしか果たし得ないアプローチをする。とくに演劇関係者からの評価が高いのも頷ける。
新しいベートーベン像を彼なら創ってくれるに違いない。
「No.9-不滅の旋律ー」開幕記念連続エッセイ:TBSとベートーヴェン⑪ 2015年10月31日 市川哲夫
稲垣吾郎ベートーヴェンは、大阪公演をやりきった。三階までの満堂。大喝采が大滝のごとく演じ終えた役者たちに降り注いだ。
稲垣吾郎は、かつて明智小五郎だった。金田一耕助のときもあった。
それぞれによかった。かげりの味がよい。複雑味がある。
しかし、ベートーヴェンが役者人生のはまり役となったのではないか。
きょうご覧になった方からのコメントである。
「大感動でした。泣かせて頂きました。稲垣吾郎さんは、ベートーヴェンそのものでした。素晴らしいです。家内も大喜びでした。」
この方は、お年嵩の大変なクラシック音楽通の方である。
稲垣吾郎さん、皆さん、お疲れ様でした。
あまり引用しすぎてもアレなので(もうかなり引用しすぎてるけど)、実際にご興味のある方は「TBS ヴィンテージ クラシックス」にてご確認ください。
とにかく当初発表された地点で大掛かりなプロジェクトの一環ではないかと予想していましたがそれは正解だったらしく、熊谷さんによる5年構想の、しかも白井さん、中島さん、三宅さんありきの舞台であったと、それの主演として役者、稲垣吾郎がこれまで培ってきた舞台経験と実績を買われて選ばれたことは本当に喜ばしい事実です。またこの舞台で一つの結果を出し、さらに前進していくだろう吾郎さんをこれからも一ファンとして少しでも応援していければいいなと思います。
そして自身の感想ログについては、後日ひっそりUPしておきます……多分。